漢方薬の適応する病気は?

アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症)
皮膚病(にきび、じんましんなど)
心身症(過敏性腸症候群、咽喉頭異常感症など)
耳鼻科(浸出性中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、メニエル病)
消化器疾患(胃炎、習慣性便秘など)
産婦人科(生理不順、不妊症、不育症、出産前後の心身不調など)
小児科(夜尿症、夜泣き、起立性調節障害など)
( )内は代表疾患です。

その他「西洋医学的に病気として扱われないような状態」例えば、風邪をひいてばかりいる、すぐに疲れて寝込んでしまう、すぐおなかが痛くなる、体が冷えて困る、こうした症状で病院で検査を受けても何も異常が無いと言われる、そんな方は漢方治療が最適です。

漢方薬は長く服用しないと効きませんか?

必ずしもそうではありません。風邪のひきかけに漢方薬を使って、うまく薬があっていれば30分ほどで効果が実感できるはずです。月経痛や月経前症候群に漢方薬を服用し始めて最初の月経で、ずいぶん楽になった、という実感が得られる例も珍しくありません。

 また、一番治したい症状には変化が無くても、他に良いところが感じられる場合もあります。たとえば、なんとなく元気に生活できる気がする、なんとなく体が温かく感じられ気持ちが良い、などです。こうした変化は、薬が患者さんの状態に合っている証拠で、後から一番治したい病気や症状が良くなってくる前兆のことがよくあります。

 服用中の薬が患者さんの状態にあっているかいないかは、2~4週間ほど服用を続けてみれば、ある程度判断できる場合が多いと思います。効果がないと判断がつけば、薬の種類を変更してみるのが定法ですし、患者さんの状態は変わっていくものですから、それに合わせて薬を変更していくこともよく行います。

 効果がよくわからないままに、漫然と同じ漢方薬を長い間飲み続けるようなやり方は、避けるべきだと考えています。

一度悪くなってから治ると聞きますが本当ですか?

たとえば麻疹(はしか)の時、皮疹が出るのを抑えるのではなく助けてあげた方が結局早くよくなる。風邪の時も、熱を冷ますのではなくて、早く熱を出してあげた方が早くよくなる。こういう考え方は漢方の中にしっかりあります。そんな場合、一時的にはかえって悪くなったように見えるかもしれません。
 上のような場合とは違い、医師にも予想外の症状変化が起きて驚いたのだが、それがきっかけとなったように、長く続いた病気が治った、というような話は、昔から少なからず伝わっています。これを瞑眩(めんげん)と呼んでいます。瞑眩(めんげん)か副作用かの判断は、患者さまにとっては大変難しいので、医師に直接ご相談下さい。最初の例とも二番目の例とも違うような悪化は、単に薬が効いていないか、かえって薬のために悪くしてしまっただけ、と考えるべきだと思います。
 一般に、一度悪くならないと良くならない、などということは、ありません。

漢方薬に副作用はありませんか?

残念ながらそうは言えません。漢方薬にも副作用があり得ることは是非知っておいていただきたいと思います。

 たとえば食欲がない、胃がもたれる、下痢、便秘、動悸、不眠、尿が出にくい、などはときどき経験する副作用です。原因になる薬の服用を止めればすぐに治ります。

 漢方薬が原因で肝障害が起きることも報告されています。肝障害は、かなり重くならないと自覚症状がありません。比較的肝障害を起こしやすい漢方薬はある程度わかっていますので、該当する漢方薬を長期に服用する方は、副作用チェックのために年に2回程度は血液検査をお受けになるようお勧めします。

 薬剤性間質性肺炎という生命に関わる副作用も、稀ではありますが、報告されています。幸い当院では経験がありません。薬剤性間質性肺炎では、咳、発熱など風邪と区別がつきにくい症状も出ますが、特に息切れが強く現れ、特有の聴診所見が聴かれると言われています。もし万が一、急に強い空咳と息切れが現れてきたような場合は、薬の服用を中止して至急御連絡ください。

 また甘草(かんぞう)という生薬に含まれるグリチルリチンという成分のために、血清中のカリウムの値が下がって不整脈や筋肉の脱力、むくみ、血圧上昇といった副作用が現れることがあります。甘草の服用を止めれば元に戻りますが、発見が遅れると生命に関わることもある怖い副作用です。甘草は多くの漢方薬に配合されているだけでなく、仁丹や調味料などにも使われており、医師も患者も知らぬ間に大量の甘草を服用する結果になっていることがあります。またこの副作用は、いくつかの西洋薬との併用で起きやすくなります。他の医療機関から処方されている薬、薬局などで購入している薬やサプリメント、健康食、常用している嗜好品など、できるだけ正直に申告してください。当院では、この副作用の早期発見の意味もあって、受診時には必ず血圧の測定をしていますが、自宅でも血圧を測定していただくようお願いする場合があります。こんなに書いたので、ちょっと心配になりましたか?一般的総括的に言えば、漢方薬は現代西洋医学の薬に比べれば、かなり安全な薬と考えて良いと思います(正確なデーターはありませんが、臨床経験上、西洋薬の1/100~1/1000と言われてます)当方はもちろん、そのあたりを十分意識して使っているつもりですが、ご心配がある時には、診察の時に遠慮なく御相談ください。

生活する上で注意することはありますか?

誰でも勧める、きっとご自分でも承知されている、ごく当たり前のことだけです。食事内容は、野菜を多く摂るよう心がけ、油脂や砂糖、菓子や加工食品は少なく摂るよう心がけましょう。過食や不規則な食事はできるだけ避け、ゆっくり食べましょう。お酒は、ほどほどに。翌朝の体調が万全で無かったり、肝機能検査に異常が出たり、自分で適量と思うよりもつい量が多くなってしまうのは、危険な飲み過ぎのサインです。喫煙はぜひ止めましょう定期的に体を動かしましょう。休日には、平日に動かしていな部分を動かしましょう。ふだん指と目と前頭葉ばかり使っていませんか。休日にはそれらを休め、腕、脚、腰を使いましょう。腕や脚の筋肉ばかり使っている肉体労働者であれば、休日には筋肉を休め、耳や口や心を使いましょう。その反対に、全部きちんと心がけているのに体調が悪く、何が悪いのか?と苦しんでいる方もいます。病気や不調は、生活習慣だけで決まるわけではありません。自分を責めるのは止めて、気楽にやりましょう。淡々と、そして喜び楽しみをもって生活しましょう。

残留農薬の危険性はありませんか?

先に結論を書きます。安心して服用していただいて大丈夫です。日本で医療用に使われているものに関しては、です。確かに、漢方薬の原料生薬の多くは、中国産です。それは、日本にない物や国産品があっても価格が何倍も高く使えない物が多いからです。日本の漢方薬のメーカーは、神経と労力とお金をかけ、より安全な生薬の確保に努めています。重要なのは、リスクがきちんと管理されているかどうか、です。日本で医療用に使われている生薬は、食料以上にしっかり管理されていますので安心してお飲み下さい。