各種疾患の漢方治療

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風邪の引き始め

風邪の引き始めは、上手に汗を出すことが大切です。漢方薬を温服(おんぷく)して、うどんやお粥などの温かい食べ物をとって治してください。
漢方では汗を出して風邪を治すことを「解表(げひょう)」といいます。
まず、インフルエンザなどでは、寒気、頭痛、発熱が引き始めの代表的な症状ですが、汗がすでに出ている人は、桂枝湯(けいしとう)を服用し、汗が出た分を温かい飲み物で補充してください。
熱が出ても汗が出ない人は葛根湯(かっこんとう)、あるいは麻黄湯(まおうとう)を2~3時間毎に汗が出るまで服用してください。汗を出すのを漢方薬が手伝います。5分ぐらいで体が温まった感じがして、じわっと汗が出てきて、30~40分で解熱に向かいます。汗が出た後は脱水に成らないように、温かい飲物をとってください。
麻黄湯と葛根湯は「麻黄(まおう)」という、胃にもたれる生薬が入っていますので胃腸が弱い人や、続けて服用する方は注意してください。
さて、麻黄湯と葛根湯のどちらを選ぶかですが、これは結構、専門家でも難しいです。教科書には載ってないですが、簡単な鑑別法は、麻黄湯は顔が紅く、布団をかけると、「もう暑くていやになる」、あるいは、「具合が悪くなる」と訴えます。葛根湯は普通の顔で、布団をかけると、「気持ち良い」という。子供では布団を跳ね除ける(=麻黄湯)か、布団にもぐってしまう(=葛根湯)か、で鑑別する。これが一番確実な鑑別法です。
インフルエンザでない、普通感冒では、参蘇飲(じんそいん)が良いでしょう。参蘇飲は、”漢方の総合感冒薬”と呼ばれている方剤です。
鼻水やくしゃみなどの鼻かぜには、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が有効です。
寒気がないのに熱がある(高熱でも重症感のない場合がよい)時には、桂枝湯と麻黄湯を合わせた桂麻各半湯(けいまかくはんとう)を使います。
汗の有無を問わず、非常に強い症状があろうがなかろうが、咳をしていようがいまいが(かぜの初期から咳のでるような場合や、少々かぜをこじらせて、かすかに寒気が残り、咳がなかなか止まらないような時にもよい)使えるので非常に使いでがある薬です。
のどの痛みには桔梗湯(ききょうとう)が有効です。飲み方は、1包分を湯水なしにそのまま口に含み、自分の唾液で少しずつ溶かしながら嚥下すると良く効きます。
具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:インフルエンザ?

  • 引き始めのかぜを追い払う特効のツボ療法
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    風門(ふうもん)‥首を前に曲げて、後ろ首のつけ根を触ると、ぴょこんと突き出た大きな背骨の出っ張り(第7頚椎)があるのがわかる。そこから下がって、二つ目の背骨の出っ張り(第2胸椎)と三つ目の出っ張り(第3胸椎)の間から、左右へ指幅二本分だけ外側にあるツボ。
    暖かい部屋で、ここを歯ブラシで、縦に、下に向かって1~2分こするか、ドライヤーをあてるとよい。
  • 風邪「ふうじゃ」の話
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現在の“風邪”と古代中国の“風”はその意味合いが異なっています。古代中国で言う風とは空気のように動く物(気)です。古代中国では、にわかに病気になったことを風のように目に見えないものが体内に入り、作用していると言ったのでしょう。 
風は隙間があるとどこへでも入って行きます。人間にも隙間があります。疲れなどで体が虚ろになっている状態のことです。
風はまず汗腺から入ります。汗腺が開けば発汗して冷えを起し、汗線が閉じればうつ熱して煩悶を起します。この、風が皮膚の表面に入った状態を"感冒(かんぼう)"と言い、発汗すると、汗とともに風邪(ふうじゃ)を体内からだすことができると考えられています。
それが悪化すると風邪は絡脈に入り込みます。この状態が"傷風(しょうふう)"といわれ悪寒や発熱の症状になり、この状態になると発汗のみでなく気の流れを調えていくことが必要だとされています。
さらに風が進行すると今度は内臓に入ります。これを"中風(ちゅうふう)"といい様々な病をもたらすと言われています。中風の症状には半身不随や言語障害・意識障害などがあるとされています。
風の入ってくる隙間(汗腺)は生体の虚ろな状態です。予防的な観点から身体が虚ろになるような様々な原因を避ける工夫が健康に繋がるというのは、現在でも共通して言えることではないでしょうか。
(黄帝内経より )

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冷え症

漢方では体のエネルギーである『気』は暖める作用を持っており、『気』が届くと体が暖まると考えます。この『気』が届かないと冷えが起こります。
漢方医学では冷えそのものを全身の症状として捉え、すべての病気や症状の原因と考えています。すなわち冷えを、病気になる前(未病(みびょう))の一つのシグナルと捉え重視しています。冷えは漢方医学の得意分野でもあります。
冷えることによって具体的にはどのような影響があるのでしょうか?大きく分けると次の三点に集約されます。

  • 自律神経の働きが狂う
  • 血行が悪くなる
  • 免疫力が低下する

なかなか治らない疾病には、頑固な冷えが併存していることがあります。昔から、日本人は冷え症が多いと言われています。それは、数千年前から穀類や野菜を中心とした食生活をしてきた民族であるため、肉類や乳製品を中心にした欧米人に比べると、熱効率が悪い身体構造になっていて、体温も低めで、その分外界の寒さには弱いのです。また、女性の方が冷え症が多いと言われています。実際、現代女性の3人に1人が冷えを実感していと言われています。理由としては、末梢にまで血液が循環するためには、血液を送り出す心臓のポンプ作用とそれを末梢にまで運ぶ筋肉運動の力が必要です。女性は男性に比べこの両者が劣っており、また、また毎月の月経にかなりのエネルギーを要します。女性ホルモンの微妙なバランスは気温やストレスの影響を受けやすいため、自律神経が狂いやすく、温度調節能力も低下しやすいのです。

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極度の冷え症の人は低血圧や月経障害、心の不安、皮膚のトラブル、アレルギーの悪化など多彩な症状を併せて訴え、身体全体の問題を引き起こします。また中高年になった時に更年期障害、骨関節疾患、泌尿器疾患などを誘発し、一生の問題となります。








冷え症は、

1)全身型;からだ全体、とくに体幹部が冷えるタイプ
2)上熱下寒型;下半身は冷えるが、上半身は 火照るタイプ
3)四肢末端型;手足末梢が冷えるタイプ

に、分類され(三瀦による)、それぞれ、1)茯苓四逆湯(ぶくりょうしぎゃくとう)人参湯(にんじんとう)、2)は、寒証では、五積散(ごしゃくさん)・温経湯(うんけいとう)を、瘀血体質では、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を、気滞体質では、加味逍遥散(かみしょうようさん)・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を使います。3)は、水毒体質では、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を、水毒体質でなければ、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を使います。

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  • バケツなどにくるぶしが隠れる位のお湯を入れます。
  • お湯の温度は、足を浸けた時に気持ちいい温度から、徐々にお湯を足して、我慢できるぎりぎりの熱さにします。入浴温度よりかなり高めになります。
  • 両足を8~10分ほど浸けます。
  • 途中、お湯が冷めてきたらさらに熱いお湯を足していきます。

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  • 足腰(みぞおちから下)を、40℃前後のぬるま湯に最低20分以上浸かって温めます。
  • お湯が冷めてきたら、追い炊きをするか、熱いお湯を足して40℃前後を保つようにします。
    *腕はお湯につけずに湯船から出してください。
    *心臓の弱い方は汗をかきすぎないようにご注意ください。
    具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:冷え症・慢性の下痢

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更年期障害

更年期障害は、40歳過ぎ頃から、50代半ば頃まで見られる、閉経前後の女性ホルモン減少に伴う身体的、精神的な諸症状のことを言います。とくに、卵巣機能が衰えて、卵巣で作られるエストロゲンが消失することで、体と心に様々な影響を及ぼします。 [check]こちらをクリック画像の説明 更年期障害の簡単チェックシート
また、男性も50歳を過ぎた頃から女性と同じような症状が現れることがあります。女性に比べて緩やかですが、男性ホルモンの減少が影響しています。主にのぼせ、動悸、性欲の減退、腰痛、不眠、不安定、焦燥感といった症状が現れます。

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これからの生活をより豊かにするためには、自分に合った方法で前向きに過ごすことが大切です。閉経が近づきエストロゲンの減少がはじまると、ホルモンのバランスが崩れ、それが引き金となって自律神経系の調整がうまくいかなかったりして多彩な症状が見られるようになります。原因のはっきりしないほてり、のぼせ、発汗、不快感の訴えが最も多く、冷え、動悸、頭痛、腰痛、めまい、不眠、不安、うつ気分、イライラ感の他、便秘や排尿障害、不正出血などの症状もみられます。 ひとりでいくつもの症状を抱えたり、日によって症状が変わることもあります。

また、体の変調に加えて、家庭環境の変化(子供の巣立ち、親の介護など)や個人の性格といった背景も影響して「不安」や「不眠」や「記憶力減退」といった精神神経障害の症状を引き起こします。

このような症状はエストロゲンの減少に体が順応してくれば除々におさまってきますが、影響はそれだけではありません。 エストロゲン減少状態は長い間には膣、尿道、皮膚はもちろん、骨にさえその影響が顕著に現れてきます。
例えば、膣や尿道の萎縮や皮膚の乾燥がみられるようになります。また、エストロゲンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する作用があるので、閉経後にカルシウム不足が続きますと急激に骨がもろくなり、骨折をおこしやすくなってしまいます。これを一般的に骨粗鬆症と言います。

漢方では更年期を、ホルモン関連の機能をつかさどる、「腎(じん)」の働きが衰え、女性ホルモンの分泌が悪くなって老化が訪れたととらえます。

腎は「精(せい)を蔵し生長・発育・生殖を計る」とされ生命を維持する物質(つまり精)を貯める所であり、現代医学でいう腎臓の機能にとどまらず、広くホルモン系・免疫系・カルシウム代謝・水液代謝などの機能を併せもった生命の源と考えられます。

また、新陳代謝が落ちる更年期は、気血水(画像の説明気血水について)が乱れて瘀血(画像の説明漢方体質診断:瘀血体質)も進んでいます。そのため、血管など臓器に障害が起こりやすいので、症状の程度にかかわらずケアが重要です。更年期に入ったら、六味丸(ろくみがん)などで低下した「腎」を補いながら、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などで瘀血を改善して全身の機能を高めることが、基本治療となります。不定愁訴に強い漢方は、更年期障害の治療に適しています。気・血・水のバランス是正は、まさに更年期の肉体・精神の不安定状態を正すのに適した考え方なのです。

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花粉症

花粉(抗原)に対して過敏になった生体が、抗体を作り、抗原抗体反応を起こし、アレルギー細胞を介して、ヒスタミンなどの化学物質を放出し、これがくしゃみ、鼻水、鼻閉を起こします。抗原抗体反応は、本来細菌や、ウイルスを撃退する良性の反応ですが、花粉症のようなアレルギー疾患では過剰に働いて、様々な症状を引き起こします。

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花粉症は、花粉に対するアレルギーですから、アレルギー性鼻炎あるいは鼻アレルギーともいわれています。花粉症は、スギの他に、ヒノキ、ハンノキ、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ヨモギ、ブタクサ、カナムグラなど多数あります。植物の花粉の発生する時期が異なりますので、花粉症もその時期だけで、季節型といわれています。

アレルギー性鼻炎と同時に起こり、目が痒く、流涙が多いのがアレルギー性結膜炎です。花粉の浮遊が最盛期になると、殆どの人が、この症状を併発します。花粉予防の眼鏡も売られているようです。

漢方では、現代医学的病因と無関係に治療できますので、花粉症でもアレルギー性鼻炎でも、アレルギー性結膜炎でも同じ漢方薬で、治療可能ですし、極めて有効です。
花粉症は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を特徴としますが、この漢方医学的病態は、水毒(画像の説明漢方体質診断:水毒)です。
この場合は鼻に過剰な水分が遍在して、鼻汁や鼻閉を起こします。鼻汁は水分が多く、色の付いていない、さらさらしたものです。
一般に水分が体に過剰に存在すると、冷えやすく、顔色も青白く、冷えっぽい顔色をしています。
昨年までの花粉の少ない年では、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などでうまく治療できましたが、今年は例年の3~4倍飛散していますので、より強力な、それも2剤の漢方薬が必要でした。主な組み合わせは、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)+小青竜湯麻杏甘石湯+越婢加朮湯(えっぴかじゅっとう)です。具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:花粉症

健康茶について

花粉症の多くの方が、ドクダミ、甜茶、杉の葉茶など、民間療法に興味があったり、実際に試されているのを拝見して驚いています。こういうものも漢方だと思っている方もいらっしゃいますが、漢方薬とは全く違い民間療法と言います。また、このような健康茶の飲用後の効果は、ある程度長期に続けて多少良いような気がする場合も含め、実際には20%くらいの方しか実感できないというのが本当のところです。健康茶はあくまで食品ですから安全であることは間違いないと思いますが、宣伝文句に惑わされることなく、過度の期待を持たずにお飲みになられるのが良いと思います。民間療法と、しっかりした漢方療法は治療理論の根本が違いますし、当然、効果にも大きな違いがあります。

花粉症を一回の注射で治す?

注射剤で、花粉症の症状を抑える治療をしているところもあるようですが、それはケナコルトというステロイド剤です。これは、体内に貯留し、ステロイドを外部から補充し続けますから花粉症の症状は確かに抑制されます。
しかし、同時に人体の副腎皮質の活動も1シーズンは抑制され続けます。その間人体は注入されたステロイドの強制的な放出をコントロールすることはできません。アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏でさえ副作用が問題になることがあります。軟膏は塗布を止めれば作用も中断しますが、ケナコルトの注射は前述のようにコントロール不可能です。
ケナコルトの作用で抑制された副腎皮質の機能が十分に回復しない可能性さえありますし、これは危険な治療と考えます。花粉症にケナコルトを使用するのはやり過ぎだと思いますので私はお薦めしません。最近では製薬会社もケナコルトの自主回収を行っているようです。

最後に花粉症の一般的な注意点をのせておきます。

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老化防止

八味地黄丸(はちみじおうがん)ほど中年以降の年代の人にありがたい薬はありません。
一言でいえば老化予防の薬といえます。中年以降になりますと、免疫力が低下し、足腰が衰えてつまずきやすくなり、髪が薄くなり、骨も脆くなり、皮膚もカサカサしてきます。物忘れがひどくなり、白内障になります。性欲も減退し、耳鳴りや、男性では前立腺肥大症になります。 これらは、みな老化に伴うものです 。漢方ではこの状態を「腎虚(じんきょ)」(腎虚についてはこちら画像の説明 田辺三菱製薬生薬学校)といいます。この腎虚に対する薬の代表が八味地黄丸なのです。老化はある程度仕方ありませんが、八味地黄丸でその速度を遅らせることはできます。
そのためには、早めに八味地黄丸の服用を開始することです。有名な漢方医の藤平健先生は、「四十過ぎたら八味地黄丸」といわれています。本当に漢方をされている先生は、この八味地黄丸を飲まれている方が多いです。実は、この私も4年以上しっかりと毎日飲んでおります。皆様もいかかですか?

腎帯について

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腰の、パンツのゴムの位置が黒ずんでいる人ってけっこういるのですが、これは『腎虚の身体ですよ』との身体からの信号の一つなんです。
海水浴で日焼けしたのだと思っている人もいますが、男性なら、日焼けしやすい背中の方が白く、腰の所だけが黒いのがはっきりわかるので違いがわかります。女性なら、古い言い方かもしれませんがビキニ型(セパレート型)の水着の人でも、日焼けしやすい背中の下方よりパンツのゴムの位置の方がずっと黒いのです。
『腎帯』と言う呼び名は、柔道の「黒帯」の様に帯状に黒くなっている事によるものとかで、本当に帯状に黒くなっています。一度自分の体をチェックしてみてください。

参考:古村和子の漢方総合療法

不老長寿の『仙薬(せんやく)』について

若さを保って、かつ不老長寿であることは、古来から万人の強い願望でした。 特に強大な権力を握った人は、その権力を使って不老長寿を手に入れようと異常なくらいの努力をしたようです。
秦の始皇帝もその一人で, 紀元前二世紀ころに強大な軍隊と高度な戦術により中国を統一しました。ほとんどの権力を手に入れた始皇帝は、自分が築づいた広大な帝国を末永く維持するために、若さを保ち、かつ不老長寿を強く願うようになりました。当時中国には、中国の人々が行かないような山奥や遠い島には仙人が住んでいて、仙人は不老長寿の『仙薬』を持っているといわれていました。
そこで始皇帝は、その『仙薬』を手に入れることができれば、自分も不老長寿でいられると考え、多くの家来を山奥や遠い島に送り、『仙薬』を手に入れてくるように命令しました。その中の一つに除福を東方の島である瀛州に派遣したという話があります。 どうも瀛州は日本のことらしく、山陰地方には除福の墓が残っているそうです。
もちろん,始皇帝の求めていた『仙薬』は手に入らなかったようです。 始皇帝は『仙薬』を探させる一方、暴政をくり返したため、官僚や民衆の反発を招き、暗殺者に狙われるようになり、ストレスがたまる一方となり、ついには 五十才で死んでしまいました。
今から考えて見ると、始皇帝が探させていた不老長寿の『仙薬』とは『有形の薬』ではなく、『無形の養生の教え』ではなかったのではないでしょうか。すなわち、『無形の養生の教え』とは、ぜいたくな食事(肉・酒など)を控え、活性酸素の除去作用を持つ粗食 (ゴマ・サツマイモ・唐辛子・ほうれんそうなど)にし、常に人に感謝し、許す気持ちをもってストレスのたまらない生活を送ることであったのではないでしょうか。

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膝の痛み

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膝の痛みはとてもつらいものです。歩くたびに痛いから、だんだん歩かなくなり、運動不足から身体が不調となり、それがまた膝にとってよくない状態を招きます。
最終的には整形外科で膝の手術(関節鏡や人工膝関節置換術)ということになります。それまで、普通どうするかというと、痛み止めを飲みながら、そうすると胃が荒れるから、胃の薬もいっしょに飲んで過ごすわけです。それで痛みが楽になる方はそれでいいでしょう。しかし、全員がそうではありません。なかにはまったくといっていいほど薬が効かず、「痛い、痛い。」のつらい生活が続く方もいらっしゃいます。なぜなら、痛み止めが体を冷やすからです。膝の痛みには漢方薬が本当に良く効きます。当院ではすでに、100例近い有効例があります。
使う漢方薬は、薏苡仁湯加附子(よくいにんとうかぶし)という漢方薬を中心にして、様々な漢方薬をミックスして使っていきます。私は整形外科の専門ではありませんが、本当によく効きます。なかなか治らない膝の痛みを抱えておられる方は、ぜひ漢方による膝の治療を受けてみてください。
具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:瘀血による両膝の痛みの症例

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腰痛症

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腰が痛いのはつらいものです。
歩くたびに痛い。立つ時に痛い。寝て起きるときが痛い。いすに座っていると痛くなってくる。振り向くときが痛い。寝返りができない。足をまっすぐして寝られない‥‥。一口に腰痛といっても、人それぞれ、症状は違っています。当然その原因も違うわけです。
椎間板ヘルニアの事もあるでしょう。脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)もあります。ほかにも腰椎付近の様々な筋肉や関節がおかしくなって痛みの原因になっていることもあります。それぞれに違った治療法、薬があります。ただ痛み止めだけ飲んでいれば治るという簡単なものではありません(そうこうしているうちに治ってしまう元気な方もいらっしゃいますが)。それから、注意しなくてはいけないのは、ヘルニアならヘルニアという同じ原因でもそれを抱えている人の体質という問題があります。これを無視して治療してもなかなか効かないということになりかねません。
当院の治療はその人それぞれの体質に沿った治療法を考えることからはじめます。多くの場合、特に長年我慢してきた腰痛の場合は、漢方薬をうまく使えば腰痛は楽になってきます。もちろん、西洋医学的な診断が重要ですから、一度は、整形外科で検査を受けていただく必要がありますが、悪性疾患がない場合は、「もう、しかたがない。」とあきらめずに、ぜひ一度漢方による腰痛治療を試してみてください。

  • 腰が冷えて痛む;苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)・五積散(ごしゃくさん)
  • 瘀血体質;治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 腎虚;八味地黄丸(はちみじおうがん)など

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便秘症

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便秘は現代医学の薬を使う場合、どのタイプの薬も便を出すだけの効能なので、初めは便は出るものの、やがて腸が疲れて効きが悪くなり、薬を増やすとさらに腸が疲れるという悪循環に陥ります。
漢方には、様々なタイプの便秘薬があります。現代医学と同じく便を出すだけのものもありますが、補助的に使いあまり中心的には使いません。漢方の一般的な便秘薬は『便を出す薬』と『他の効能のある薬』を組み合わせるのが特徴です。例えば、

  • 体に潤いがなく便秘になる人は、『便を出す薬』と『潤う薬』を、
    (例:潤腸湯(じゅんちょうとう)・麻子仁丸(ましにがん))‥ウサギのフンのようにコロコロした便は「水」の不足で起こると考えられることから、潤いを与える方剤が必要
  • 血液のめぐりが悪く便秘になる人は『便を出す薬』と『血液を巡らせる薬』を、
    (例:桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
  • 気が動かず便秘になる人は『便を出す薬』と『気を動かす薬』を、
    (例:調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
  • 腸がけいれん状態で便秘になる人は『便を出す薬』と『腸の動きを整える薬』を 
    (例:大建中湯(だいけんちゅうとう)

と、言った具合に様々です。漢方の便秘薬を使うと腹痛がなく気持ちよく便が出せて、しかも腸が疲れず少ない薬で便が出るように変わって行きますので、患者様に喜んでいただいています。

参考:寒タイプの便秘
手足が冷えて寒がり、ときどき腹痛があり暖めると軽くなる、口は乾かない、夜間によく小便に起きるという傾向のある人の便秘です。寒タイプの人には桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使います。この漢方薬は、体を温める薬が主な成分です。処方されている薬の中でも、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)などは腸の運動を整えて、大黄には下剤の効果があります。お腹が張って腹痛などを伴う便秘の人に効きます。

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不妊症

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妊娠をする為には、胎児を育てる子宮にエネルギーである『気』や『血』が充分に届き、循環する必要があります。また、子宮が胎児を保つ力を充分に持つことも必要です。これがうまくいかないと、妊娠出来なかったり、流産を起こすことになります。
『気』や『血』が少ない時は、子宮に充分届きませんので、『気』や『血』を増やす治療をします。『気』や『血』は、中医学でいう「脾(ひ)」、つまり胃腸で作られるため、まず、胃腸を丈夫にすることが一番大切です。不妊治療で有名な寺師先生は、「脾胃」は、根で、「根がなければ卵巣はしおれてしまう。」と、説明されております。四君子湯(しくんしとう)や六君子湯(りっくんしとう)などを使います。
また、『気』や『血』の流れを邪魔するものが存在する時も『気』や『血』は子宮に届きません。邪魔をするものとしては、冷えや、粘って流れを邪魔する痰湿(たんしつ)、『血』を止めて邪魔する瘀血(おけつ)、うつうつして気を止める気滞(きたい)などがあります。(それぞれの体質は画像の説明漢方体質診断 参考のこと)
冷えは、川の流れを凍らせるように、『気』や『血』の流れを止めてしまいます。治療には真武湯(しんぶとう)などの暖める漢方薬を使います。
痰湿に関しては、古典に「太った人は、水気が多く、体の脂が充満して子宮を圧迫している。それで痰をとって、この子宮の圧迫をとったら子供はできる。」と書いてあります。
瘀血の治療は主に桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などで、「古血(ふるち)」を出して、血液をきれいにします。
『気滞』という状態で、『気』が止まれば、『血』も止まってしまい、子宮には届きません。治療はストレスを減らしたり、『気』を強制的に流す、加味逍遥散(かみしょうようさん)などの漢方薬を使います。
漢方では生殖に最も重要な臓器は「腎(じん)」とされています。
この「腎」が弱いと子宮自体が弱くなりますので、その時は「腎」を強くする漢方薬で治療します。
実際の不妊症はこれらの要因が単独で存在することは少なく、いくつもの要因が複雑にからまっており、診断が最も重要になってきます。
男性の場合は、精子を作る能力が落ちている場合が多く、漢方的には「腎」の力を高める、八味地黄丸(はちみじおうがん)や桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などの漢方薬を使います。
具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:不妊症

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肩こり

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肩こりとは、筋肉に疲労物質がたまってこり固まった状態のことを言います。それを引き起こしている原因は、血行不良です。なんらかの原因で血流が滞ると、その部分の筋肉に栄養や酸素が行きわたらず、筋肉の活動がにぶります。すると、乳酸などの疲労物質が筋肉に蓄積し、筋肉が固まり、ますます血管を圧迫して・・・そんな具合に、どんどん血行を悪くしていく悪循環に陥ってしまいます。その原因は、「気・血・水」の停滞が、凝りやだるさを引き起こした結果生じます。原因別に整理すると次のようになります。

  • 気滞(きたい)タイプ
    特徴は、後頭部から首、肩が張って痛む・頭痛・憂うつ・ため息が多い・怒りっぽいなどの症状がみられる。ストレスが原因です。押すと痛みます。加味逍遥散(かみしょうようさん)など
  • 瘀血(おけつ)タイプ
    肩で「血」が停滞し、うっ血しておこります。特徴は、首の後ろが痛む・肩に硬いしこりがある・姿勢の悪さや外傷がきっかけになって起こることもあります。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など
  • 痰湿(たんしつ)タイプ
    痰湿(体内の余分な水分)が停滞し、循環を悪くして凝りを起こします。筋肉が張る・凝りを自覚するけれど、触ってみるとあまりかたくない。防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)など
  • 血虚(けっきょ)タイプ
    「血」が不足して、筋肉に潤いがなくなり、凝りを起こします。
    顔色が悪い・頭がボーッとする・筋肉は硬いけれど、凝りの自覚はない。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など

その他、上半身のこりで筋肉が硬くなっているときや、風邪のひきはじめにみられる肩こりには、葛根湯(かっこんとう)を、中年以降の慢性頭痛や肩こりには、釣藤散(ちょうとうさん)を使ったりします。
具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:肩こり

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過敏性腸症候群

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過敏性腸症候群とは、大腸や小腸に原因となる異常が見つからないのに、便通異常と腹部症状が続く病気です。英語では、Irritable Bowel Syndrome(略してIBS)といいます。IBSの主な原因はストレスと考えられています。排便は自律神経の副交感神経に支配されていますが、過剰なストレスを受けると自律神経のバランスが崩れ、その働きが狂ってくるのです。

主な症状は腹痛、腹部不快感や下痢、便秘などの便通異常です。大きく、次の2つのタイプに分けられます。

  • しょっちゅうおなかが痛くなり、下痢をするタイプ。
    【例】 緊張すると、おなかが痛くなって下痢をする。
    電車に乗ると、おなかが痛くなって、何度も途中下車してトイレにかけ込む。
  • 便秘が続き、排便の前におなかが苦しくなることが多いタイプ。
    【例】 何日も排便がなく、うさぎの糞のようなコロコロとした固い便しか出ない。
  • なかには下痢と便秘を交互にくり返す人もいます。

下痢や便秘などの症状が1か月以上続いていて、ほかに原因となる病気がない方は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性が考えられます。
東洋医学では、心身一如(しんしんいちにょ)といって“心と体は一つ”という概念に根ざしています。ですから、ストレスが根っこにあるような体のトラブルである本症は最も得意とするところです。
ストレス社会の現代、増加傾向にあります。
過剰なストレス・悩みが消化管の働きに影響を与えることはよく知られています。
漢方の認識によれば、五臓六腑(ごぞうろっぷ)など全身の諸器官は、「気」が過不足なく、円滑に巡ることで本来の機能をはたすことができます。したがって、気の巡りが乱れると諸器官の機能も乱れます。過剰なストレスの影響を受けやすいのが、「肝の気」です。肝気の働きの一つに、精神を伸びやかにするという役割があります。
肝気が伸びやかに巡ることで、精神も伸びやかになるのです。ところが過剰なストレス環境では、肝気が鬱屈し、鬱屈した気は時に横へ走り、憂い悩みとともに脾と胃の気の巡りを阻害します。脾胃は、ペアで消化吸収機能を受け持つとされる臓腑です。西洋医学でいうところの小腸や大腸の機能も一部含みます。したがって脾胃の気の乱れにより、食欲不振、吐き気、腹の脹り痛み、下痢や便秘等の症状がでます。
そこでIBSの漢方治療は、直接的に脾胃の気の巡りを整えて機能を回復させるか、鬱屈・横走した肝気を伸びやかにすることが基本です。
治療は、8割は桂枝加芍薬湯(けいししゃくやくとう)もしくは、漢方の下剤である大黄を加えた桂枝加芍薬大黄湯(けいししゃくやくだいおうとう)(大黄の量を0.5~3gまでで加減)のどちらかでコントロールできます。下痢、便秘のほか腹痛や冷えなどIBSのあらゆる症状に有効で、証に関係なく効果が期待できますが、残りの2割は、ひとつは''半夏瀉心湯'(はんげしゃしんとう)'か、もうひとつは柴胡桂枝湯(さいこけいしとうで効く例があります。
半夏瀉心湯が適応する便の性状は、ベトベトしやすくて、トイレットペーパーで非常にふき取りにくくて、水で流してもこびりつきやすいような時です。そして、便やおならの臭気が強いことが多いです。排便時に肛門部がひりひりするなどの症状があります。ほかの症状では、胃のもたれや吐き気・口臭・腹部膨満感がある・食欲低下・尿量が少なく色が濃いなどがあげられます。体がだるくて脂性な状態であることも特徴です。
柴胡桂枝湯は子供から大体20歳代まで(特に中・高校生)に使うことが多いです。やや遷延する炎症性疾患で消化器症状を来たしたもの(上気道炎・胃十二指腸潰瘍・ストレス性膵炎など)の他、心身症にもよく使います。特に起立性調節障害の児童で突発する腹痛を訴え(これを心腹卒中痛という)、登校拒否に陥る者によく奏効します。
さらには糖分控えめ、カルシウム多めの食事、適度な運動、価値観の転換など、ライフスタイルの再検討もすすめます。

具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:過敏性腸症候群

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不眠症

「不眠」と一言でいっても、東洋学的にも原因はさまざまです。
その中でも、何かの疾患によるものを除くと、最も一般的なのが、慢性的な「肝の疲労」によるものです。

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というのも、東洋医学的には肝の働きは自律神経系(交感神経と副交感神経)と関連していると考えるからです。
東洋医学的に観る「気の作用」というものが、西洋医学的には「自律神経系の働き」に相当すると考えて良いでしょう。
そう考えると、「気滞(きたい)」や「気虚(ききょ)」(画像の説明漢方体質診断 気滞・気虚体質)は、「自律神経のコントロールが悪い状態」なのです。
また、「瘀血(おけつ)」(画像の説明漢方体質診断 瘀血体質)による場合も考えられます。
前述の通り、不眠の原因の多くは肝臓の疲労によるものなので、酸棗仁湯(さんそうにんとう)抑肝散・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)のような肝臓の働きを助けたり抑えたりするような漢方薬が有効です。
また、瘀血によって寝付けないときには、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)のような瘀血を改善させる方剤が有効な場合もあります。

不眠症の場合でいうと、就寝前の過ごし方で次のような点に注意すると治療効果は向上します。

  • おなかに飲食物が入ったままだと眠りが悪くなります。
    夜9時以降の食事は避けましょう。もし夕食が遅くなってしまったら、おかゆや雑炊、よく煮たうどんなど、消化のよいものを軽くとるにとどめましょう。
  • 寝る前の風呂は、少しぬるめのお湯にゆっくり入りましょう。足が冷える人は足湯などで足を温めてから床に入るのも良いでしょう。
  • おちょこ2杯くらいのお酒は、睡眠薬代わりによいのですが、けっして度を越しませんように。
  • 就寝前に足の三陰交(さんいんこう)、三里(さんり)、手首の神門(しんもん)を左右とも指圧します。指圧は親指の先で爪あとをつけるようなつもりで押してください。
    具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:不眠症

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頭痛

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反復性・慢性の頭痛は、外から侵入した病因物質(「風・寒・熱・湿(痰)といった邪」)によって頭部の活動が妨げられたり、五臓の機能がおとろえ、全身の活動に必要な基本物質(「精・気・血・水」)が不足することによって、頭が十分に滋養(じよう)されなくなるために起こります。
いろいろなタイプの頭痛があり、それぞれ使う方剤が異なります。

  • 気虚(ききょ)頭痛
    疲れたときに頭痛が強くなります。過労によって、胃腸が弱くなり、食物や体の気血(きけつ)の栄養が頭部に行き届かなくなり、頭痛がおこります。息切れや倦怠感、食欲不振、下痢、軟便、便秘なども伴います。
    補中益気湯(ほちゅうえっきとう)で 胃腸を強くして、体力をつけて治します。
  • 血虚(けっきょ)頭痛
    めまいがして、頭がふらつくことの多い頭痛です。
    顔色が悪い(顔面蒼白)、動悸、不眠などの症状があり、女性では月経前後におこることもあります。生理の後半には、生理により血液が不足するために、血虚の頭痛が おこりやすいです。
    生理前半の頭痛、月経前症候群(PMS)の頭痛は、血虚頭痛にプラスして、気滞頭痛が加わっていることが多いです。
    四物湯(しもつとう)、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)などで、身体の増血機能を強くすることで解消していきます。
  • 腎虚(じんきょ)頭痛
    痛みは強くないが、慢性化する頭痛です。
    めまい、耳鳴り、手足が冷える、足腰がだるい、力が入らない、物忘れなどの症状を伴います。一般には、年配の方の老化現象に多くみられます。
    六味丸(ろくみがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などを証にあわせて用います。
  • 気滞(きたい)頭痛
    ストレスが原因となります。週末のほっとしたときに、頭痛が起こることもあります。気滞頭痛は 緊張型頭痛や、女性の人では、月経前症候群(PMS)を伴う頭痛などが知られています。イライラしたり、ため息をつくことが多いです。
    「ストレスを緩和する漢方薬」や加味逍遥散(かみしょうようさん)などを服用して、ストレスを解消していきます。
    排卵時の不調や生理前の不調(PMS)にも、これらの方剤は有効です。
  • 肝火(かんか)頭痛
    片頭痛や、高血圧の人に多い頭痛です。熱感、赤ら顔、目の充血、口が苦い、口渇、難聴、便秘などの症状を伴います。
    気滞で、ストレスが長期間溜まってしまい、うまくストレスを解消できないと、気がこもってしまい、「熱」に変わってしまうのです。肝火頭痛は、したがって気滞頭痛の要因も含みますので、イライラしやすかったり、貧乏ゆすりをしたり、怒りっぽい人に多いです。わりと男性の短気な人に見られやすいです。
    釣藤散などを用いて、体の興奮状態を抑えます。
  • 痰濁(たんだく)頭痛
    水分のめぐりが悪く、頭が重く痛むものをいいます。頭痛は、しつこく長引くことがあります。めまい、胸がムカムカして悪心、嘔吐なども見られ、舌の苔は厚くなります。
    胃腸が弱い人や、水分の取りすぎによることが多く、雨の日や低気圧前線にも左右されやすいです。
    半夏白朮天麻湯、五苓散、呉茱萸湯などを用いて、水分の代謝を改善して治します。
  • 瘀血(おけつ)頭痛
    血液がドロドロしていて、血行不良となり、瘀血の症状が特徴です。肩こりを伴う緊張型頭痛に多く見られやすいです。痛みは固定痛で刺されたように激しいときもあります。
    桂枝茯苓丸などで、血液をサラサラにして 血流を改善します。
    具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:頚椎性頭痛、水毒による頭痛

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めまい

近年、めまいを訴える患者さんは、社会機構の複雑化、ストレスの
増加、高齢化社会の推移に伴って増加の傾向があるという報告が
あります。
めまいは西洋医学的には、平衡障害の全身的感覚とみられており、前庭迷路、視覚、四肢自己受容器からの情報が中枢神経で統御さ、れ、視器、四肢の筋肉、自律神経系に反射する体系の異常によって誘発されると言われています。
一方、漢方医学的には、めまいは「水」が体内に貯留し、偏在する病態、すなわち水毒によるものが最も多いとされており、メニエール病のような内リンパ腫はこの病態によるものとみられています。もちろん、水毒以外に血虚、気虚も関与していると考えられます。
以下に多く使われる処方を挙げてみます。

  • 苓桂朮甘湯(レイケイジュツカントウ)
    めまいのほとんどに試みる価値のある処方です。起立性のめまい、いわゆる立ちくらみや、体がぐらぐら揺れるような感覚などが起こったときによく使われます。腹部が軟弱で、尿の出も悪く、胃内に水がたまっている人が対象となり、飲みやすい薬で数日以内に効果を現すことが多いです。
  • 半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
    胃腸虚弱者の、めまい・頭重・頭痛に用います。尿量が少なく、胃薬の六君子湯が基本となっていますので胃下垂の人や、胃内に水がたまっている人が対象となります。
  • 真武湯(シンブトウ)
    身体動揺感(ふわふわしためまい)を主とするめまいに用います。「雲の中を歩く様な」感じです。四肢が冷え、下痢しやすい。新陳代謝も衰え、倦怠感・無力感を訴えることも目標になります。
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
    妊娠中や、出産後におこっためまいにはよい適応です。冷え性で、月経不順や月経痛があような人にいいです。
  • 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
    冷えのぼせがあり、頭痛、肩こり、月経不順を伴い、性格は神経質で、不定愁訴が多いような人に使います。
  • 釣藤散(チョウトウサン)
    肩こり、のぼせ、朝の頭重感・頭痛、眼球結膜充血、耳鳴りを伴い、高血圧気味の人に使います。脳の循環障害と思われる例に用います。
  • 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
    のぼせて身体動揺感を訴える例に用います。顔面紅潮し、興奮気味で、高血圧を伴っていることが多いです。
  • 五苓散(ゴレイサン)
    車酔いなどの動揺病に用います。
    具体的な症例は、こちら画像の説明当院の漢方著効例:めまい

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