AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。成人男性によくみられる、髪が薄くなる状態の事です。抜け毛、薄毛は日常のストレスや遺伝、生活習慣などが関係していると言われています。

思春期以降(AGAの平均発症は25歳くらい。はやければ13歳で薬を投与する症例もある。)に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。男性型脱毛症は全国で1,260万人といわれています。何もせずにほうっておくと髪の毛の数は減り続け、徐々に薄くなっていきます。

治療効果は、
1.治療開始時が若い(40歳未満が理想)ほど
2.AGAの進行度がすすんでいないほど効果があるといわれています。

毛周期は成長期、退行期、休止期と分けられ、一般的に成長期は2~6年といわれています。男性型脱毛は、成長期の毛包が、早く退行期、休止期に移行してしまい、毛包が十分に成長せず小さくなる、いわゆる毛包のミニチュア化が起こります。
さらに成長期の毛髪の割合が減少し、細い毛髪が増え、抜け毛が増えます。症状は進行性で、一度症状が出始めると、その後は徐々に薄毛が進行していきます。

当院の処方

費用

プロペシア:9450円(28日分)
プロペシアジェネリック:7490円(28日分)
ザガーロ:9630円(28日分)

当院ではAGAの内服治療薬プロペシア(MSD株式会社)を処方しております(ジェネリック医薬品もあります)。
プロペシアは、一般名フィナステリドと呼ばれ米国メルク社が開発し、現在すでに世界60カ国以上で承認されている、世界で初めて医師が処方する、1日1回の内服による男性型脱毛症用薬(AGA治療薬)です。日本では、MSD株式会社が2001年よりプロペシアの臨床試験を開始し、2003年に厚生労働省へ承認申請をして、2005年12月より処方されています。

脱毛を進行させてしまう物質として、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質が挙げられます。ジヒドロテストステロンが生まれるプロセスは、次のようなものです。
テストステロンという男性ホルモンが過剰なまでに分泌されるようになると、毛根の毛包と呼ばれる部分の皮脂腺に存在している、5α-還元酵素と呼ばれる酵素が働き始めます。この酵素の働きによって、テストステロンが抜け毛を起こすジヒドロテストステロンに変化してしまうのです。
ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合すると、脱毛シグナルが出されて毛の成長が止まってしまいます。そのために毛髪が太い長い毛に成長する前に抜けてしまうのです。十分に育たない細く短い毛髪が多くなる事で、全体として薄毛が目立つようになります。

プロペシアの効果

プロペシア内服治療の効果の目安は抜け毛が減ることです。
長期投与(1年半以上)で、毛量増加効果が期待できるといわれています。
その効果は、
現状維持以上…100%
軽度改善以上…99.4%
といわれています。

効果を持続するためには、継続して内服する必要があります。

服用を中止した場合、1年以内に内服前の状態に戻るとされてます(プロペシアによる発毛は自然なものですから、中断により増えた分が一気に抜けるのではなく、以前のペースで徐々に脱毛すると考えられます)。
また、服用を続けることによって、前立腺肥大の進行がゆるやかになりますし、前立腺癌の予防効果もあると言われておりますのでぜひ続けて下さい。

他の薬との飲み合わせについて

プロペシアは併用注意の情報がありません。つまり通常はどのお薬を飲まれていてもプロペシアを服用してかまいません。

まとめ

  • 保険の利かない自由診療です。費用は、一ヶ月分の薬代と診察代で一万円程度となります。
  • 待望の5α還元酵素阻害剤ジェネリックが2015年4月6日ファイザー社より発売されました。一月あたりのコストを千円程度下げることが可能になりました。ご希望の方は薬剤師にお伝えください。
  • 服用方法は1日1回 1錠です。食前でも食後でも効果に差はありません。成人の男性のみ服用できます
  • 錠剤を割って飲まないでください。錠剤を割って服用した場合の有効性も保証されておりません。
  • 家族や他の人に譲渡しないでください。
  • 前立腺がんの検診を受ける予定のある方は、検査を実施される医師に本剤を服用していることをお知らせください。プロペシアの成分は、前立腺がん検査で測定されるPSA値を約50%低下させることがわかっています。したがって、測定したPSA濃度を2倍した値を目安として評価してください。
  • 重大な副作用は見られていません

副作用の頻度は、
3177人中23人(0.7%)で、主なものは、

1. 性欲減退 400人に1人(性機能に関係するのは、DHTではなく、テストステロンなので、ホルモン学的には考えにくいといわれています)
2. 肝機能障害 1000人に1人
3. 片側性乳房肥大 1500人に1人

このように、プロペシアは安全性の高い薬剤と考えられます。

ザガーロについて

ザガーロとは2015年9月28日に承認されたグラクソ・スミスクライン(GSK)社の新しい薄毛・AGA治療薬です。
元々は2001年に前立腺肥大症(BPH)の治療薬として国際誕生した薬で既に102ヶ国以上で承認取得しています。国内でもBPH治療では20%以上のシェアがあるため既に大多数の日本人が毎日服用しています。

商品名は「ザガーロカプセル0.1㎎・同0.5㎎」で0.1㎎と0.5㎎の製剤があります。主成分は「デュタステリド」でMSD社のプロペシアと同じ「5α還元酵素阻害薬」に分類され、生え際や前頭部、頭頂部における効果はプロペシアよりも強力とされています。名前の由来は「究極」を意味する「Z」に男性型脱毛症の「AGA」からつけられたそうです。

飲み方・服用方法は1日1回で食事の影響は受けません。

プロペシアと同じく、自由診療で保険適応はありません。

プロペシアで効果が実感できていない方はザガーロへの切り替えでより発毛が期待できるとされています。
プロペシアとザガーロとの併用はできません。ミノキシジルとは作用機序が違うため併用するとより効果が高いとされています。

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個人輸入に要注意!

世界中で膨大な量の医薬品がネットで流通していますが、WHO(世界保健機構)ではかなり高い割合でニセモノが流通していると警告しています。外観を似せるなど簡単で、パッケージだけでは信用はできません。特に内服薬では取り返しがつかない副作用がある危険性がありますので十分に注意してください。