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551.うつ状態の漢方治療

次の症例は37歳、男性です。
もともと、きちきちした性格で、物事を適当にできないそうです。またすぐに責任の所在を自分だと思ってしまうそうです。
平成27年7月、ストレスでダウンされたそうです。
症状は、不安感、体のだるさ(特に朝がしんどい)、やる気がない、舌の両端が苦いなどの症状があったそうです。
心療内科を受診したところ、うつ状態と診断され、レクサプロ(選択的セロトニン再取り込み阻害薬と 呼ばれる抗うつ剤)を処方され、3日間飲まれましたが、体のだるさ・不眠・食欲不振が出現したため中止されたそうです。
不安感、落ち着かない・気分の落ち込み・悲しさなどの症状のため、仕事を一ヶ月間休まれたそうです。休業により、体調はずいぶん回復されたそうです。
そこで、復職され、

  • 9月第1週は体調良く出勤されたそうです。
  • 9月第2週は、朝早く(4時半ぐらい)目覚めてしまい、不安感に襲われる日が続き、体もだるかったそうです。
  • 9月第3週は、昼過ぎまで体がだるかったそうです。再度心療内科を受診したところ、別の薬を処方されたそうですが、飲まれなかったそうです。

そこで、近くの漢方薬局で、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、363、432、484参照)を処方され、それで、10月初旬まで調子いい日が続いたそうです。
しかし、10月第2週になると、再びだるさ・しんどさが続くようになったそうです。そこで、再び漢方薬局へ行き、補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512参照)を処方されたそうです(現在内服4日目)。
ホームページをみて、平成27年11月2日、漢方治療を目的に宍粟市より受診されました。
身長177cm、体重54kg、BMI17.2とやせを認めます。
今の症状として、下痢・胃がもたれる・口が苦い・顔がむくむ・汗をかかない・口が渇く・肩こり・鼻づまり・風邪が治りにくい・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・手足が冷える・気分が沈む・いやな夢をみるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
「気虚」に対して六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548参照)甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう;症例61、168、434、460、461、500、502参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、11月24日に来られ、「朝はまだしんどいですが、ずいぶんよくなりました。プールで2週間に1回泳いでいます。」といわれました。
平成28年1月20日には、「少ししんどいくらいです。不安感はありません。」といわれました。
3月14日には、「胃腸の具合はとてもいいです。口も苦くありません。普通に生活できています。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

甘麦大棗湯を構成する3つの生薬にはいずれも鎮静作用が期待されます。心身の興奮状態を鎮めて、不安定な状態を改善させるのが、この薬の主な働きです。
甘麦大棗湯は、神経症、不眠症、うつ状態、更年期障害、白律神経失調症などによく処方されます。
興奮、不眠、不安、あるいは悲観的な言動などが処方の目安です。

 

552.瞑眩(めんげん)と考えられた症例 (4)

症例は21歳女性です。
生理が今まで35日間隔ぐらいで来ていたのが、平成27年11月初旬に来てから、1月まで来なかったそうです。
また様々な体調不良があるため、知人の紹介で平成28年2月25日、漢方治療を求めて姫路市より受診されました。
身長153cm、体重48kg、BMI20.5。
症状として、便秘・快便感がない・腹がはる・薬で胃があれやすい・頻尿・汗をかかない・口が渇く・頭痛・肩こり・風邪が治りにくい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・立ちくらみ・手足が冷える・いやな夢をみるなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
漢方薬は「気虚」に六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543参照)と、生理不順に対して当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531)を合わせて処方したところ、3月24日に来られ、「内服を始めて1週間ぐらいしてから、にきびが口の周りから始まり、頬やおでこまで拡がりました(今までは口のまわりに少し出るくらいだった)。副作用かと思いましたが、続けて飲んだところ、にきびは治っていき、それとともに他の症状がすべてとれました。生理はすぐきましたし、便通もよくなりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

なお瞑眩(めんげん;漢方薬が著効を示す直前にみられる特殊な生体反応)については症例411、447、548も参照してください。

553.ホットフラッシュの漢方治療

症例は48歳女性です。
1年くらい前より、ホットフラッシュ(下記参照)が出現し、また様々な体調不良もあるため、知人の紹介で平成27年10月5日、漢方治療を求めて姫路市より受診されました。
身長157cm、体重55kg、BMI22.3。
他の症状として、腹がはる・胃がもたれる・胸やけ・のどがつかえる・頻尿・汗をかきやすい・頭痛・肩こり・疲れやすい・イライラする・めまい・腰痛・生理痛が強い・生理の出血量が多い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。また紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543参照)を合わせて処方したところ、10月27日に来られ、「胃の調子がよくなりましたが、ホットフラッシュは変化ありません。」といわれました。さらに続けたところ、11月27日に来られ、「全体的にだいぶよくなってきました。時々、低気圧が近づくと頭痛がします。」といわれましたので、五苓散(ごれいさん;症例196参照)を頓服で飲むように処方したところ、12月25日に来られ、「五苓散がとてもよく効きました。また生理痛がなくなりました。」といわれました。さらに続けたところ、平成28年1月22日に来られ、「とても調子いいです。体温も上昇し、かぜも引かず、気力も増してきました。ホットフラッシュもありません。」といわれました。
3月25日に来られた時には、「今までは黒いレバーのような塊の経血だったのが、今は明るい赤色のさらさらした経血になりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

ホットフラッシュについて

女性は個人差はあるものの40代半ばぐらいになると「更年期」という時期を迎えます。この時期は、女性が閉経を迎える前後10年間のことをいいます。
「更年期」には、あらゆる症状が起こりますが、そのなかのひとつに「ホットフラッシュ」という、血管運動神経の興奮によってもたらされる「のぼせ・ほてり・急な発汗」の症状があります。
外気の温度は関係なく、突然体温が上がり発汗するので、初めて発症したときには戸惑う人も少なくはありません。

 

554.月経前症候群の漢方治療

症例は37歳女性です。
生理前になると、頭痛や動悸がしたり、舌がピリピリと痛むため、平成27年11月13日、漢方治療を求めて姫路市より受診されました。
身長162cm、体重50kg、BMI19.1とやせを認めます。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例141参照)と体を温める附子末(ブシ末;症例2参照)を合わせて処方したところ、平成28年1月6日に来られ、「舌のピリピリがおさまり、動悸もしなくなりました。」といわれました。
2月10日に来られた時には、「生理痛と頭痛がまだあります。」といわれましたので、生理痛には芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう;症例32参照)を、頭痛には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例478参照)をそれぞれ頓服で飲むように追加したところ、3月25日に来られ、「とても調子いいです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

月経前症候群(PMS)についての解説は症例143をご参照ください。
また、PMSの症例は、症例143、371、388、390、419、478、508、521を参照ください。

555.月経前症候群の漢方治療

症例は41歳女性です。
吐き気、疲れがとれない、立ちくらみ等を訴え、平成26年6月27日、漢方治療を求めて赤穂市より受診された方です。
血圧が94/64mmHgと低血圧気味です。
身長163cm、体重53kg、BMI19.9とやせ気味です。
症状として、のどがつかえる・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・生理痛が強い・歯ぎしり・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550参照)抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489、512、548参照)で、まずまずの体調に戻られましたが、平成28年2月10日に来られた時に、「生理前の頭痛・吐き気・嘔吐がどうにもつらいんです。」といわれましたので、抑肝散加陳皮半夏を加味逍遥散(かみしょうようさん;症例141参照)に変えたところ、3月25日に来られ、「こんなにも効くのかとびっくりしました。今回の生理前は頭痛も嘔吐もまったくありませんでした。」と大変喜んでいただきました。

漢方がお役にたててよかったです。

556.産後の体調不良の漢方治療

次の症例は25歳、女性です。
平成27年11月22日、第1子を出産。
1週間前より、頭痛・肩こり・立ちくらみ・微熱が続くなどの症状があるため産婦人科の主治医に相談したところ、カロナール(解熱鎮痛薬)を処方されたそうですが、授乳中のため飲むのがためらわれたため、漢方治療を求めて、平成28年3月16日来院されました。
身長166cm、体重51Kg、BMI18.5とやせを認めます。
産後ならどんな症状に使ってもよいといわれている芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん;症例143、308、338、527、538参照)を2週間分処方したところ、3月29日に来られ、「肩こり以外の症状はすべてとれて、とても調子いいです。」といわれましたので、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう;症例12参照)を追加して、さらに一ヶ月分処方させていただいたところ、4月27日に来られ、「体がとても楽です。肩こりもありません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

同じような症例を、症例308に載せております。

557.首のあたりが熱いの漢方治療

次の症例は52歳、女性です。
数年前より、上半身、特に首のあたりが熱いため、知人の紹介で平成27年11月14日、漢方治療を求めて多可郡多可町より受診されました。
身長162cm、体重46kg、BMI17.5とやせを認めます。
他の症状として、口内炎ができやすい・にきび・肩こり・体がだるい・疲れやすい・イライラする・手足が冷える・気分が沈むなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。また紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例141参照)を合わせて1日2回処方したところ、平成28年1月20日に来られ、「ほてりはずいぶんましになりました。しかし、しもやけができて、左坐骨神経痛が出ています。」といわれましたので、加味逍遥散を1日2回から1回にへらし、そのかわり、当帰四逆加呉茱萸生姜湯 (とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう;症例92、468、529参照)を1日2回、六君子湯とともに投与したところ、3月19日に来られ、「とても調子いいです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

558.舌痛症の漢方治療

次の症例は55歳、女性です。
2年前より、舌がぴりぴりと痛む(とくに1年前よりひどくなった)ため、口腔外科を受診したところ、「唾液の分泌が正常の2/3ぐらいに低下しているが、シェーグレン症候群ではない。」といわれ治療を受けましたが、全く効かないため、姫路市から平成27年12月25日当院へ来院されました。
身長157cm、体重56kg、BMI22.7。
他の症状として、腹がはる・のどがつかえる・口の中が苦い・汗をかかない・咳がよく出る・体がだるい・疲れやすい・イライラする・動悸がする・気分が沈むがあります。
この方の舌を診ると、紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
また舌先が紅くなっていました(舌尖紅潮;症例72、141参照)。
加味逍遥散(かみしょうようさん)(症例141参照)茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555参照)を合わせて処方したところ、平成28年1月20日に来られ、「症状が7/10ぐらいになりました。胃の具合はいいです。」といわれました。さらに続けたところ、2月23日に来られ、「痛みは変わりません。いつもガムをかんでいないとひりひりします。」といわれましたので、茯苓飲合半夏厚朴湯を麦門冬湯(ばくもんどうとう;症例615参照)に変えたところ、4月5日に来られ、「唾液がよく出るようになり、痛みがよくなりました。」といわれました。
4月27日に来られた時には、「今困ることはなにもありません。体調はとてもいいです。」といわれました。

麦門冬湯は、口乾にいちばんよく使います。その名のとおり、麦門冬が主成分で、ほかに半夏と人参が配合されています。のどに違和感があり、タンが詰まって出にくい場合に適しています。麦門冬湯には、気の巡りを整えて、水を潤滑にする作用があります。

漢方がお役に立ててよかったです。

舌痛症については、症例164、375、395、429、491、493も参照してください。

559.漢方を長く飲んでいるといいことがあります、という症例

次の症例は71歳、女性です。
平成26年1月31日に、咳がひどく微熱(37℃くらい)があり、家族4人がインフルエンザA型に罹患しているため、来院されました。
検査の結果やはりインフルエンザA型でした。
タミフル等で加療しましたが、なかなか改善せず、2月19日になっても、咳や鼻水が続き、その他にも、

  • 体が冷えて尿が近い
  • 普段体温が低い
  • 疲れやすい
  • めまい

などがあるため、人参湯(にんじんとう;症例8、110、437参照)と体を温める、ブシ末を併用して処方したところ、3月22日には、「めまいもありませんし、胃の調子もとてもいいです。」といわれました。
5月27日には、「下半身がまだ冷えます。」といわれましたので、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう;症例41、481、517、534参照)を追加させていただきました。
以後体調は良好で、2年以上たった平成28年3月31日には、「かぜも全く引かなくなりました(漢方を飲みだしてから、かぜを引いたのは、平成26年5月20日、9月12日、最後かぜを引いたのは平成27年1月31日)。」
また他の人に、「最近元気そうで、どうしたの、とよくいわれるんです。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

560.動悸・不安感・不眠の漢方治療

次の症例は75歳、女性です。
平成28年3月8日より、咳、37.8℃の発熱あり、近医で西洋薬のかぜぐすりをもらわれましたが、合わなかったようで、3月9日、漢方治療を求めて受診されました。
症例81に書いたように、参蘇飲(じんそいん)麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を合わせて、1週間分投与しました。
すると、3月11日に来られ、「漢方は長く飲まないと効かないと思っていたのに、2日で治りました。」といわれました。
そして、「最近、動悸や不安感、不眠などがあり、食欲もなく、体重が5kgも減った。」といわれました。ただ、血液検査や心電図、胸部X線などの検査では全く異常なかったそうです。
そこで、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、431参照))と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて処方したところ、平成28年4月4日に来られ、「とても体調がよくなりました。」と大変喜んでいただきました。

漢方で元気になられてよかったです。

561.体調不良の漢方治療

次の症例は54歳、女性です。
高コレステロール血症で、リピトールを服用されています。
最近、何もやる気にならない、血圧が高め(140-150/90-100mmHg)、頭痛、耳鳴りなどがあるため、平成28年2月27日、漢方治療を求めて山梨県中央市から当院へ来院されました。
身長163cm、体重65kg、BMI24.8。
他の症状として、軟便・胸やけ・頻尿・足が冷える・ホットフラッシュ・汗をかかない・口が渇く・むくみやすい・頭痛(前額部)・肩こり・動悸・風邪が治りにくい・疲れやすい・体がだるい・イライラする・手足が冷える・些細なことが気になる・くよくよする・憂うつ・集中力がない・髪の毛が抜けやすい・爪がもろい・痔などがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。また紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
釣藤散(ちょうとうさん;症例60、132、274、324、445、451)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例141参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて1日2回処方したところ、3月26日に来られ、

  • やる気がでてきた
  • イライラや憂うつが消えた
  • 体もだるくない
  • むくみが引いた
  • 頭痛がとれた
  • 肩こりがよくなった
  • ホットフラッシュが軽減した
  • 胸やけがなくなった
  • 耳鳴りはまだある

といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

同じような症例を、症例132、324に載せています。

釣藤散については、こちらをクリック画像の説明漢方セラピー

 

562.漢方を長く飲んでいるといいことがあります、という症例(2)

次の症例は47歳、女性です。
子宮筋腫があり、婦人科でホルモン剤の投与を受けられています。
体がむくみやすいので、平成27年5月30日、漢方治療を求めて太子町より受診されました。
身長150cm、体重56kg、BMI24.9。
他の症状として、便秘・快便感がない・腹がはる・腹が鳴る・のどがつかえる・頭痛・肩こり・疲れやすい・体がだるい・食後眠くなる・立ちくらみ・手足が冷える・夜中に目がさめる・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて処方したところ、6月27日に来られ、「便通がよくなりました。疲れやすいのがましです。」といわれました。
7月25日に来られた時に、「腰痛と左坐骨神経痛がでています。」といわれましたので、疎経活血湯(そけいかっけつとう;症例1参照)を合わせたところ、8月22日には、「時々臀部が痛む程度になりました。」といわれました。
さらに同じ処方で続けたところ、平成28年2月6日には、「手足があたたかく、とても体の調子がいいです。」といわれました。
4月2日には、「漢方を飲む以前は、35℃前半だった体温が、今は36℃後半になり、皆が寒い寒いというときも、私はとてもあたたかいです。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

体温と免疫について

昔は子どもの体温は37度近く、大人は 36.5~36.8度くらいだったのですが、今日では高い人でも36.2~36.3度、ほとんどの人が35度台だそうです。
「体を温める」と病気は必ず治る―クスリをいっさい使わない最善の内臓強化法などの著書のあるイシハラクリニック院長、石原結實先生は、「体温が1度下がると 免疫力が37%落ちます。代謝は12%落ちます。体温が平熱より1度上がると免疫力は5倍に上がります。だから病気をすると体温が上がるんです。体温が下がるのは由々しきことです。」といわれています。

また、身体が冷えると血流が悪くなり、いわゆる「瘀血(おけつ)」状態になりやすくなります。「瘀血(おけつ)」は万病の元になるのは、まさに東洋医学が教える所です。

 

563.腰部脊柱管狭窄症の漢方治療

次の症例は74歳、女性です。
平成27年6月、腰痛と肢の痛み・しびれがあり、整形外科で腰部脊柱管狭窄症と診断されました。
セレコックス(解熱鎮痛薬)とムコスタ(胃薬)が処方されましたが症状は改善しないため、10月23日漢方治療を求め香川県高松市から来院されました。
睡眠時無呼吸症候群があり、Continuous Positive Airway Pressure;CPAP(シーパップ)療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法をされています。
身長155cm、体重63kg、BMI26.2と肥満を認めました。
他の症状として、便秘・薬で胃があれやすい・夜間頻尿・足がむくむ・汗をかきやすい・肩こり・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・手足が冷えるなどがあります
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
腎虚に使う牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47、222,223、252、253参照)疎経活血湯(そけいかっけつとう;症例1参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて処方しました。
少しずつ、症状が改善され、平成28年4月11日には、「最近とても体調がよく、いままでより、ずいぶん動きやすくなりました。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

564.自律神経失調症の漢方治療

次の症例は41歳、女性です。
3年前より、不安感や緊張が強く、無意識に呼吸が荒くなったり、動悸がしたり、また普段より脈拍が100以上と頻脈もあるそうです。
甲状腺機能等の検査は異常なかったそうです。自律神経失調症と診断され、メイラックス(抗不安薬)やランドセン(抗不安作用だけでなく、さまざまな効果が期待できるため、躁うつ病やてんかん、睡眠障害などに幅広く使われている)等の投薬を受けましたが全く効かなかったそうです。
平成28年1月30日、当院のホームページをみて、漢方治療を求めて太子町より受診されました。
身長160cm、体重52kg、BMI20.3。
他の症状として、頭痛(こめかみ部)・肩こり・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・些細な事が気になる・とりこし苦労が多い・くよくよする・乗り物酔いしやすい・汗をかきやすい・過眠(休日は10時間以上眠る)・生理の前にイライラするなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、431参照))と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて処方したところ、2月27日に来られ、「不安感が減ってきました。動悸もなくなり、過眠もなくなりました。」といわれました。
4月16日には、「とてもいい感じです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

565.月経前症候群の漢方治療

症例は37歳女性です。
生理前になると、頭痛や体がだるい、イライラするそうです。特に頭痛がひどく、市販のバファリンを飲まれていますが、その量が増えてきたので不安になり、知人の紹介で、平成28年3月16日、漢方治療を求めて太子町より受診されました。
身長158cm、体重53kg、BMI21.2。
他の症状として、便秘と下痢のくりかえし・胃もたれ・のどがつかえる・肩こり・疲れやすい・体がだるい・手足が冷えるなどがあります。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558参照)苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例20参照)に強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて処方したところ、4月18日に来られ、「頭痛はまったくありません。とても体が元気になってきました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

症例478にも記載しましたが、もう一度のせます。

月経前の頭痛について(井齋 偉矢先生)

苓桂朮甘湯は、月経前症候群の第一選択薬で、月経がはじまる約1週間前から服用を始め、月経がはじまって症状が消失したら服用を中止する。月経前症候群に頭痛を合併する症例には効果があるが、それ以外の頭痛にはあまり効果がない。
漢方医薬雑誌2015 Vol22 No4 (138)

 

566.生理がだらだらと続くの漢方治療

症例は39歳、女性です。
約2ヶ月前より、生理がだらだらと10日以上も続く(月経期間が8日以上を過長月経と呼びます)ようになったため、平成27年11月24日、漢方治療を求めてたつの市より受診されました。
また、2~3年前より、頭のかゆみもあるそうです(皮膚科では異常なし)。
身長161cm、体重63kg、BMI24.3。
他の症状として、口の中が苦い・頭痛・口やのどが渇く・耳鳴り・手足が冷える・腰痛・生理痛が強い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562参照)と生理不順に対して当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552)を合わせて処方したところ、平成28年2月19日に来られ、「生理の続く期間が少し短くなりました。」といわれました。
3月18日には、「生理痛がなくなりました。」といわれました。
4月23日には、「体がとても楽です。生理もきっちり、1週間以内に終わるようになりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

症例159、391で記載しましたが、「生理がだらだらと続く」という訴えを効いた場合、脾気虚によることが多い(症例159参照)です。

567.漢方を長く飲んでいるといいことがあります、という(小児)症例(3)

症例は、3歳5ヶ月女児です。
お母さんも、普段から漢方を飲まれ、妊娠中は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14参照)を飲まれ、何のトラブルもなく、平成24年11月に2830gで出産されました(この方のお母さんはつわりがひどく入院されたそうですが、娘がほとんどつわりがなかったので、びっくりされていました)。
1歳1ヶ月の頃、お母さんの飲まれている、補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512,551参照)を自発的に自分の飲みたいと希望し、それからずっと補中益気湯を飲んでいます(もちろんお湯に溶いてです)。
平成27年6月9日受診されたときにお母さんが、「夜中に起きてきて、2時間ぐらい寝ないです。眼瞼痙攣もあります。」といわれ、顔をみると眉間や鼻の横あたりに青筋(症例144参照)が立っていましたので、それ以後、抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144,479参照)1包も朝晩に2回に分けて合わせて飲んでいただきました。
6月19日、保育園に入るための書類をもらいに来られましたが、その時測った身長が90.7cmで体重が12.6kgでした(平均は88.4cm、体重12.2kg)。
面接時に保育園の先生に、他の子より一回り大きいのでびっくりされたそうです。
平成27年7月9日に来られた時におかあさんが、「最近夜8時には寝るようになり、途中で起きなくなりました。」といわれました。
平成28年4月9日に来られた時におかあさんが、「保育園に入ってから、1日も病気で休まず、皆勤賞です。」といわれました。保育園の先生にも、「ありえないことです。」といわれたそうです。
いまだに突発疹すらされていません。

漢方がお役にたててよかったです。

568.起立性調節障害の漢方治療(6)

症例363、469、473、484、544に続いて、起立性調節障害の症例を載せます。
症例は14歳、女性です。
平成27年秋に、マイコプラズマ肺炎になり、それがなかなか治らず、そこから様々な体調不良(頭痛・めまい・吐き気・生理痛がひどい)がはじまり、小児科を受診したところ、起立性調節障害と診断され、メトリジン(血管にある交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げる)を処方されましたが、全く改善しませんでした。
学校もほとんど行けず、たまに行っても早退するような状態だそうです。まわりの人から、「心療内科を受診したら。」とすすめられていたそうです。
そんな時、お父さんがネットで当院を見つけ、平成28年2月26日に漢方治療を求めて姫路市から当院を受診されました。
身長145cm、体重50kg、BMI23.8。
症状は多彩で、のどがかわく・頭痛・肩こり・にきび・体がだるい・疲れやすい・風邪をひきやすい・のぼせやすい・立ちくらみ・手足の冷え・憂うつ・いつも不安・とりこし苦労が多いなどがあります。
また、中学校に入り、生活が激変した頃より、寝つきが悪い・眠りが浅く、夢をよく見るなどの睡眠障害もあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566参照)桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、431参照))と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて1日2回処方し、生理痛には芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう;症例32参照)を頓服で飲んでいただくようにしたところ、3月15日に来られ、「吐き気はとまり、夜もよく眠れます。ただ頭痛のみが残っています。」といわれましたので、眠前に柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、363、432、484、551参照)を追加したところ、4月26日に来られ、「1日も休まず学校に行けています。頭痛も治りました。」といわれました。
その後も調子よかったのですが、生理痛のみが残ったため、7月29日より、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう;症例427参照)を追加したところ、11月14日には、「生理痛もよくなりました。体調もとてもよく、学校へ喜んでいっています。」とお母さんがいわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

569.ぎっくり腰の漢方治療(2)

症例455に引き続き、ぎっくり腰の症例です。
症例は66歳、女性です。
普段、高血圧症・高コレステロール症で通院されている患者さんです。
平成28年4月5日にぎっくり腰になり、西洋の痛み止めと、湿布薬を希望され来院されましたが、「もっといい薬があるから。」と私の体験談をお話しし、漢方薬をすすめさせていただきました。
筋肉や神経が炎症して腫脹しているのを引かせる、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう;症例439参照)と痛みをとりあえず引かせるため芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を合わせて、1週間分処方させて頂いたところ、5月2日に定期の薬を取りに来られた時に、「2回飲んだらうそのように痛みがとれました。」といわれ、「また次になった時のために持っておきたいので同じのを下さい。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

570.老人性紫斑の漢方治療

症例は75歳、女性です。
「4月4日より、右手の内側と左手の外側が茶色になっている。血液疾患ではないかと心配です。」と、平成28年4月18日に来院されました。
診ますと、老人性紫斑(下記写真参照)でしたので、漢方薬を勧めさせていただきました。
身長155cm、体重42kg、BMI17.5とやせを認めます。
他の症状として、のどがつかえる・薬で胃があれやすい・頻尿・肩こり・疲れやすい・食後眠くなる・足がむくむ・汗をかきやすい・耳鳴り・肩こり・のぼせる・手足が冷える・腰痛・眠りが浅い・いやな夢をみるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
「脾虚(症例97参照)」に対して冷えのぼせに、加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561参照)六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568参照)を合わせて処方したところ、平成28年5月18日に来られ、両手をみせながら、「1週間で、紫斑はきれいに治りました。といわれました。」
ただ、「腰痛と冷えのぼせはまだ続きます。」といわれましたので、加味逍遥散を、五積散(ごしゃくさん;症例;症例36、37、40、180、216、225、226、287、390、487参照)に変更させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

老人性紫斑については、症例603も参照してください。

画像の説明
写真出典;reoreoman.blog.so-net.ne.jp

老人性紫斑の西洋医学的解説については、こちらをクリック画像の説明ヘルスケア大学


脾の統血(とうけつ)作用について

症例97に記載したように、漢方的には老人性紫斑は「脾虚」体質によると考えられています。
血管から「血」が漏出しないようにする働きのことを脾の統血作用と呼びます。
脾の機能が正常であれば、気血が充足して身体活動は旺盛となり、気の固摂作用によって血が脈管内を正しく循行できる作用を指します。
この作用が弱まると、気虚の症状をともなう全身の出血傾向となり、血便、血尿、鼻血、不正出血などが出現します。正確に言えば血が滲み出ていることを意味していて、血管の破れとは異なります。このような状態を脾不統血と呼びます。
この症例のように、六君子湯で簡単に治り、再発もしなくなります。

 

571.イボの漢方治療

症例は95歳、女性です。
二ヶ月前より、顔や足にイボが多発するようになり、お孫さんが当院に通院されているため、平成27年12月1日に漢方治療を求めてたつの市から当院を受診されました。
総合病院で、エディロール(骨粗鬆症の薬)、ネキシウム(プロトンポンプ阻害薬と呼ばれる胃腸薬)、マグミット(便秘薬)を処方され内服されています。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)とイボを消す効果があるヨクイニン散を合わせて1日2回処方しましたが、12月28日に来られ、「まったく変化ありません。」といわれました。
同じ薬を1日3回に増やして処方しましたが、平成28年1月27日に来られ、「やはりまったくかわりません。」といわれました。
あきらめかけましたが、症例570と同様に、老人性紫斑を腕に認めましたので、それだけでもよくしてあげようと思い、六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568、570参照)とヨクイニン散を合わせて一ヶ月分処方したところ、2月27日に来られ、「いぼが全く出なくなりきれいになりました。それだけでなく、老人性紫斑も治り顔の表情もよくなったと人にいわれます。今まで、いぼのため外出できなかったので、よかったです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

なお六君子湯とイボを文献検索してみましたが、全く報告はありませんでした。

572.車を運転すると不安感が強いの漢方治療

次の症例は37歳女性です。
平成27年夏に急性胃腸炎に罹り、それ以後体調不良が続くため、11月26日に漢方治療を求めて来院されました。
身長158cm、体重52kg、BMI20.8。
症状として、口内炎ができやすい・汗をかきやすい・鼻水・風邪が治りにくい・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・月経前にイライラする・のぼせやすい・めまい・手足の冷えなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570参照)六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568、570、571参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、12月21日に来られ、「時々フーとなることがありますが、他の症状はよくなりました。」といわれました。さらに続けたところ、平成28年1月29日に来られ、「今困る症状は何もありません。とても体が楽です。」といわれました。
この後もずっと調子よかったのですが、4月19日に来られた時に、「最近車の運転中に、渋滞に巻き込まれると、血の気が引いて動悸がして、とても不安になるんです。」といわれました。そこで、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、431、560参照))を追加したところ、5月25日に来られ、「車の運転はだいじょうぶになりました。」といわれました。

漢方薬がとてもよく効く方のようで、漢方がお役に立ててよかったです。

同じような症例を、症例318、399、543に載せております。

573.「灼けるような」痛み(灼熱痛)の漢方治療

次の症例は60歳女性です。
平成27年12月6日、左脳出血で脳外科入院、幸い後遺症なく、約2週間で退院されました。
平成28年3月8日、右大腿中央部から下腿にかけて「灼けるような、燃えるような」痛みが出現し、神経内科を受診されましたが、「特に異常なし。」といわれ、リリカ(;症例255参照)を処方されましたが、全く効かなかったそうです。
次に整形外科を受診されましたが、やはり「異常なし。」といわれ、セレコックス(解熱鎮痛薬)、トラマール(非麻薬性鎮痛剤)、エチゾラム(抗不安薬)、ノイロトロピン(ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出。神経痛の薬)、ムコスタ(胃薬)を投与されましたが、同じく全く効かなかったそうです。
痛みはかなり強く、救急車で運ばれたこともあったそうです。
また、足湯でぬくめると少し楽になるそうです。
4月28日に漢方治療を求めて来院されました。
身長155cm、体重50kg、BMI20.8。
他の症状として、頻尿・足がむくむなどがあります。
この方の舌を見ると、辺縁が分厚く赤く(この赤みは肝の熱を表しています)、中央に黄色の苔があり、「気滞」と考えられました。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47、222,223、252、253、563参照)抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489、512参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、5月24日に来られ、笑顔で、「燃えるような痛みがなくなりました。」といわれました。

漢方薬がとてもよく効く方のようで、漢方がお役に立ててよかったです。

574.にきびの漢方治療

次の症例は14歳、女性です。
にきびの漢方治療を求め、平成28年4月25日当院へ来院されました。
てっぺんに黄色い膿(うみ)が見えるタイプのにきびが、おでこに多発しておりました。
他の症状として、下痢(時々朝、腹痛や下痢を起こす)・腹が鳴る・肩こり・立ちくらみ・手足の冷え(冬はしもやけ)などがあります。
身長161cm、体重50kg、BMI21.5。
この方の舌は特に異常ありませんでした。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう);症例306参照)と他院で処方されていた半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう;症例17、163、176、179、188、218、286、292、322、415参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、5月31日におかあさんが来られ、「飲んでいた時はにきびは治っていましたが、やめるとまたでてきました。」といわれました。
このまましばらく続けていただく予定です(続報を症例656に載せております)。

漢方がお役に立ててよかったです。

575.生理が3ヶ月来ないの漢方治療

次の症例は21歳、女性です。
今まで一ヶ月と一週間程度で来ていた生理が、平成27年11月の最初にあってから平成28年1月までなかったため、知人の紹介で2月25日に漢方治療を求めて姫路市から当院を受診されました。
身長153cm、体重48kg、BMI20.5。
他の症状として、便秘・快便感がない・腹がはる・のどがかわく・頭痛・肩こり・にきび・痰がきれにくい・疲れやすい・食後眠くなる・風邪が治りにくい・イライラする・立ちくらみ・手足が冷える・いやな夢をみるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552、566、567)六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、3月24日に来られ、「便秘が治り、すぐに生理が来ました。」といわれました。
そのまま続けたところ、4月21日に来られ、「また生理が来なくなりました。」といわれました。さらに続けたところ、5月12日に来られ、「今やっと生理が来ました。体がだるいです。」といわれましたので、強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を追加したところ、6月16日に来られ、「今回は一ヶ月と一週間で生理が来ました。からだもとても調子よくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

576.頭痛の漢方治療

次の症例は66歳、女性です。
3日前に体が冷えて、それ以後両方のふくらはぎが、だるくて痛いため、家族の紹介で平成28年5月17日に漢方治療を求めて当院を受診されました。
また以前より、ストレスから精神的に不安定になり、心療内科でコンスタン(抗不安薬)と頭痛にカロナールを毎日内服されています。
身長152cm、体重42kg、BMI18.2とやせを認めます。
他の症状として、薬で胃があれやすい・低血圧症(上の血圧が90mmHgくらい)・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
「カロナールは、解熱薬でもあり、よけいに身体を冷やす。」と、中止するようにとお話しさせて頂きました。
そのうえで、桂枝人参湯(けいしにんじんとう;症例420参照)八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、6月15日に来られ、「足がポカポカしてふくらはぎも調子よくなりました。また頭痛もとれました。」といわれました。
なお、血圧を測定すると、122/76mmHgと正常でした。

漢方がお役に立ててよかったです。

577.気分が落ち込むの漢方治療

次の症例は42歳、女性です。
以前より、当院で月経前症候群(症例143参照)のため、加味逍遥散を内服されています。
平成28年5月10日に薬をとりに来られた時に、「4月中頃より、気分が落ち込みます。最近家の仕事を手伝ったり、娘が高校生で朝早くからお弁当を作ったりで忙しいせいかもしれません。」といわれました。
加味逍遥散に茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565参照)を追加したところ、6月9日に来られ、「楽になりました。」といわれました。
治療がはやいと大事にならずにすみます。

漢方がお役に立ててよかったです。

578.蕁麻疹の漢方治療

次の症例は8歳、女児です。
約1年前より蕁麻疹が出るようになり(特に寝起きや風呂上がりに多い)、平成28年5月11日漢方治療を求め太子町から来院されました。
身長116.7cm、体重22.6kg。
この方の舌は異常ありませんでした。
顔をみると、眉間や鼻の横あたりにに青筋(症例144、479参照)が立っていました。
抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144参照)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう);症例107、165、306参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、6月9日にお母さんが来られ、「全く出なくなりました。ただ薬を飲まないとまた出てきました。また、今までこわい夢ををよくみていたのが、このごろ楽しい夢を見るようになったようです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

579.風邪のあと体のだるさが続くの漢方治療

次の症例は61歳、女性です。
風邪を引いたあと体のだるさが続くため、平成28年2月22日漢方治療を求め赤穂市から来院されました。
身長150cm、体重46kg、BMI20.4。
症状として、便秘(3日に1回くらい)・口が苦い・肩こり・咳・疲れやすい・食後眠くなる・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん;症例2参照)六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、3月23日に来られ、「便通がよくなり、体の調子もよくなりました。」といわれました。
6月6日には、「便秘も肩こりもありません。調子いいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

580.夜寝付くときの体調不良の漢方治療

次の症例は11歳0ヶ月、男児です。
夜寝る前になると吐き気、汗をかく、手足がほてるなどの症状があり、そのため寝つきが悪く、また夜中に目が覚めてしまうため、総合病院の小児科を受診し、採血や腹部超音波検査等を受けましたが、「特に異常なし。」といわれました。
しかし、よくならないため、漢方治療を求めて平成28年4月15日受診されました。
身長139cm(平均身長142.2)、体重32kg(平均体重34.1)。
他の症状として便秘があります。
また、症例26に記載した、”小児に小建中湯用いるポイント”のうち、目が大きい(=疳(かん)が強い)・最近までおねしょしていた・寝入りばなの頭汗・鼻血が出やすいがありました。
舌診では特に異常を認めず、 腹診では腹直筋緊張(;症例279参照)を認めました。小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)を開始したところ、5月2日に来られ、「鼻血は出なくなり、便秘もよくなりました。」といわれました。6月11日にはお母さんが、「だいぶ落ち着いてきました。寝る前のゲーというのが減ってきました。」といわれました。7月9日にはお母さんが、「汗もかかなくなり、便秘もなく、夜もよく寝ています。」といわれました。そのまま続けたところ、成29年1月14日にはお母さんが、「4月から9ヶ月で、身長が8㎝伸びました(この年齢の1年間の平均成長率は、5.6㎝)。かぜも引かなくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

581.九味檳榔湯(くみびんろうとう)の症例

症例は68歳、女性です。
普段、高血圧症で通院されている患者さんです。
平成28年5月28日に来られた時に、「最近天気が悪いので、体がだるいです。」といわれましたが、特に漢方薬の処方はしませんでした。
6月11日に来られた時には、「最近手足がしびれます。特に座っているとよけいにしびれます。」といわれました。また、「足がむくみ、体がほてり、疲れがピークに達している。」といわれました。
身長155cm、体重56kg、BMI23.3。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
九味檳榔湯(くみびんろうとう;症例150、345、346、348、349、406、422、476参照)を1ヶ月分処方したところ、6月30日に来られ、「手足のしびれがとれ、体調がとてもよくなりました。」といわれました。
7月28日に来られた時には、「 調子いいです。九味檳榔湯はおいしくて、とても飲みやすいです。」といわれました。

症例345に書いていますが、九味檳榔湯は、手足のしびれ(ビタミンB12製剤を入れるような人)によいとされています。

582.少年野球の練習中嘔吐するの漢方治療

症例は11歳、男児です。
「少年野球練習中、よく嘔吐し、練習後に頭痛する。」と、平成28年4月26日漢方治療を求めたつの市から来院されました。
身長141cm、体重30kg。
他の症状として、口角炎をよく起こす・頻尿・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・就寝中寝言が多い・アトピー性皮膚炎などがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
腹診では腹直筋緊張(;症例279参照)を認めました。また、症例26に記載した症状のうち、
•過緊張による下痢
•食が細い。甘い物を好む。食べても肥えない。
•腹を触るとくすぐったがる。
•子供のくせによく、「足がだるい・痛い」という
•口唇がかさかさ乾燥し、ひび割れる
•寝入りばなの頭汗
•小さい時、よく鼻血を出していた。
があるため、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう;症例222、379、536参照)を開始したところ、5月24日にお母さんが来られ、「順調です。練習中に嘔吐しなくなり、アトピー性皮膚炎もきれいになっています。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

583.膀胱炎の後、残尿感が続くの漢方治療

症例は45歳、女性です。
昨日から排尿痛や頻尿があるため、平成28年2月16日、赤穂市より来院されました。
身長157cm、体重55kg、BMI22.3。
検尿の結果、膀胱炎と診断し、抗生剤のフロモックスを処方しましたが、2月19日の検尿ではあまり改善されていなかったため、スオードに変更したところ、2月22日の検尿では、きれいになっておりました。しかし、残尿感が続くため、五淋散(ごりんさん;症例79、140)と介護の仕事されており、体がだるいとの訴えもありましたので、補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551参照)を合わせて処方したところ、3月2日に来られ、「五淋散で、すごく楽です。」といわれ、続けて飲むことを希望されました。
そのまま続けられ、6月7日には、「体も疲れにくくなり楽です。残尿感もありません。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

584.小児のアレルギー性鼻炎の漢方治療

症例は10歳3ヶ月男児です。
2年前より、年中アレルギー性鼻炎(鼻水<鼻閉)があるため、耳鼻科でアレジオンを処方されましたが、すっきりしないため、平成27年10月24日に漢方治療を求めて、太子町から当院を受診されました。
ハウスダスト、スギ、ヒノキにアレルギーがあるそうです。
また、アレジオンを飲むと鼻血がよくでるそうです。
身長131cm、体重26.5kg。
小児のアレルギー体質改善薬である柴胡清肝湯(さいこせいかんとう;症例55参照)葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を合わせて処方したところ、12月19日に来られ、「漢方を飲んでいると、夜間の鼻閉や朝方のくしゃみがましです。」といわれました。
平成28年6月28日現在も、同処方を続けられていますが、引き続き調子良いようです。

漢方がお役に立ててよかったです。

585.便秘の漢方治療

症例は88歳、女性です。
以前より、便秘のため総合病院で、マグミット330mgを1日2錠(朝、夕)と昼にビオフェルミンの処方を処方を受けています。
しかし、排便時に腹痛があり、便も粘った感じで、便器にべたっとつくそうです。
また、冷え症があり、特に下半身が冷え、足の動きが悪く感じるそうです。
平成28年3月30日に漢方治療を求めて、当院を受診されました。
身長143cm、体重40kg、BMI19.6とやせを認めます。
この方の舌を見ると、辺縁が分厚く赤く(この赤みは肝の熱を表しています)、中央に白色の苔を認め、「気滞」体質を認めました(普段より、些細なことが気になるそうです)。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577参照)大建中湯(だいけんちゅうとう;症例44、123、396、499参照)を合わせて処方したところ、4月27日に来られ、「便の粘りが少なくなり、いい便が出るようになりました。腹痛もありません。」といわれました。
さらに続けたところ、6月28日に来られ、「今まで下剤を飲まないと出ないと思っていたのに、西洋薬の下剤を中止することができました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

586.小児の陰部湿疹の漢方治療

症例は10歳8ヶ月男児です。
小学校1年生の頃より、陰部湿疹(陰嚢部)があり、皮膚科で抗アレルギー薬を処方されていますが、改善しないため、平成28年6月10日来院されました。
竜胆瀉肝湯 (りゅうたんしゃかんとう;症例464、467、683参照)を2週間分処方したところ、6月24日に来られ、「きれいになり、痒みもよくなりました。」といわれました。

なお竜胆瀉肝湯の適応症として、

尿路系炎症(腎盂炎、膀胱炎、尿道炎)、排尿痛、残尿感、尿の濁り、帯下(おりもの)、膀胱カタル、膣炎、陰部湿疹陰部掻痒症、子宮内膜炎、陰部痒痛、バルトリン腺炎、睾丸炎、外陰潰瘍、トリコモナス、ベーチェット病(症例464参照)、肝硬変などがあります。

漢方がお役にたててよかったです。

成人の症例を症例683に載せております。

587.熱中症の漢方治療

症例は50歳、女性です。
普段、高血圧症で通院されている患者さんです。
平成28年7月3日に、町内の大掃除で公民館の清掃をしてから、汗が出にくく、39.1℃の発熱と、気分不良・頭痛があり、その後食欲がなくなったそうです。
7月6日に来院されました(来院時、37.7℃)ので、清暑益気湯(せいしょえっきとう;症例397参照)平胃散(へいいさん;症例100参照)を合わせて処方したところ、7月23日に高血圧症の薬を取りに来られた時に、「すぐに熱が下がり、食欲ももどりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

熱中症について

私たちの体では運動や体の営みによって常に熱が生まれています。同時に、異常な体温上昇を抑えるための調整機能も備わっています。
暑いときには自律神経を介して末梢血管が広がり、皮膚に多くの血液が流れこむことで、外気への「熱伝導」による体温低下を図れます。
また、汗をたくさんかけば「汗の蒸発」にともなって体の表面から熱が奪われるので、体温上昇を抑えられます。しかし高温の環境に長時間いると、この機能が乱れてしまうことがあります。
すると、体内に熱がこもったり、急激な発汗により体から水分や塩分(ナトリウム)が失われてしまったりするなど、体が適切に対処できなくなってしまいます。
それにより手足のしびれ・めまい・立ちくらみ・筋肉のこむらがえりが起きるなど、多くの症状があらわれます。このような状態を「熱中症」といいます。

熱中症については、こちらをクリック画像の説明日本気象協会推進

 

588.首の湿疹の漢方治療

症例は症例569の方(66歳、女性)です。
平成28年7月8日に来られた時に、「首に湿疹ができて、かゆい。また口唇が脹れている。」といわれました。
漢方がよく効く方なので、梔子柏皮湯(ししはくひとう;症例127、276、314、443、686参照)消風散(しょうふうさん;症例16、220、305参照)合わせて処方したところ、8月5日に定期の薬を取りに来られた時に、「湿疹はきれいに治りました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

589.リンパ浮腫の漢方治療

症例417に引き続き、リンパ浮腫の症例を載せます。
症例は71歳女性です。
2007年に子宮頸癌で、子宮全摘・骨盤内リンパ全摘の手術を受け、放射線治療も受けられたそうです(現在も3ヶ月に1回婦人科を受診されています)。
2013年11月末に左足の浮腫に気付き、同じ病院の外科に紹介され、2014年1月24日にエコー検査で下肢静脈血栓と診断され、その後ワルファリンの投与を受けています。
平成28年6月24日相談を受け、五苓散の処方をさせていただいたところ、7月25日に来られ、「むくみがきれいに引きました。」といわれました。
9月23日に来られた時に、「1週間薬を飲まなくてもむくまなくなりました。」といわれましたので、治療を終了させていただきました。

漢方がお役にたててよかったです。

リンパ浮腫について

リンパ浮腫については、こちらをクリック画像の説明goo ヘルスケア

 

590.舌痛症の漢方治療

症例は43歳、男性です。
2ヶ月前より、「舌がざらざらした感じで、舌先がしびれる。」と、平成28年7月4日に来院されました。
身長171cm、体重60kg、BMI20.5。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。また、舌先が紅くなっていました(舌尖紅潮;症例72、141参照)。
腹診で、みぞおちが硬くなっており(心下痞硬という)、胸脇苦満(=胸から脇(季肋下)にかけて充満した状態があり、押さえると抵抗と圧痛を訴える状態;症例63参照)と腹直筋攣急もあり、腹に2本の棒を立てたように触れました。
四逆散(しぎゃくさん;症例63参照)を1ヶ月分処方したところ、8月2日に来られ、「とても調子よくなりました。」といわれました。

話を聞くと、職場のストレスがとても強いようです。

漢方がお役にたててよかったです。

591.治療に難渋した舌痛症の一例

症例は症例398の方で、68歳女性です。
初診以来、ずっと漢方薬を続けられ、調子よかったのですが、平成27年3月、舌が痛む(特に左側;何かでバンバン叩かれるような痛み)ため耳鼻科を受診されましたが、「特に異常ない。」といわれ、うがい薬をもらわれましたが、全くよくなりませんでした(痛みは頬や口唇の裏などに広がった)。そこで、4月8日に加古川市にある総合病院の口腔外科を受診され、舌痛症といわれ、ソラナックス(催眠鎮静剤・抗不安剤)の処方を受けました。
5月13日より、当院で漢方治療を行うことにいたしました。
そこからが大変で、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、四逆散+桔梗湯、六君子湯+桔梗湯、六君子湯+柴胡桂枝湯、六君子湯+加味逍遙散、六君子湯+抑肝散などを平成28年6月15日まで試しましたが、六君子湯+柴胡桂枝湯が、「バットで殴られたような痛みが竹刀で殴られたぐらいの痛みになった。」ぐらいで、あまり効果ありませんでした。
痛みは場所が左右前後に移動します。ソラナックスも1日3回飲まないと気持ちが落ち着かないそうです。
6月15日より、六君子湯;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、548、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579参照半夏厚朴湯(はんげこうぼうとう;症例64、102、103、373参照)を始めたところ、7月9日に来られ、「舌の右側が痛んだ日が2・3日あっただけです。痛みも少しぴりぴりするくらいでした。ソラナックスも一度も飲まずにすみました。」といわれました。8月10日に来られた時には、「今まで先の見えない階段を下りていた感じでしたが、今はあと2・3段で降り切れるような気がしてきました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

半夏厚朴湯を使ったのは、『心理社会的要因を背景に持つ舌痛症に半夏厚朴湯が奏功した1症例』痛みと漢方 Vol21 pp91-94(2011)を読んだからでした。
寒虚証で水滞と憂慮過多タイプの気鬱を伴う例によいそうです。

 

592.背中が熱いの漢方治療

症例は症例509の方で、46歳女性です。
初診以来、ずっと漢方薬を続けられ、調子よかった(平成28年2月20日には、抜け毛もなく、困ることは何もないといわれました)のですが、6月4日に来られた時に、「2週間前より背中が熱い(冷えは感じない)。」といわれましたので、四物湯を桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)に変えたところ、7月25日に来られ、「一週間ぐらいですぐに効いてよくなりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

背中がかあ~っとなって熱いのは、これこそ更年期症状のひとつであるホットフラッシュです。背中の上半分、肩甲骨の間を中心に熱くなります。ホットフラッシュの症状としてもっとも多い症状のひとつが背中の熱感なのです。

ホットフラッシュについては、こちらをクリック画像の説明ホットフラッシュ 症状・治療・対策

 

593.腎虚による腰痛症の漢方治療

次の症例は72歳、男性です。
ウエストラインの腰痛症・白内障の手術の既往・前立腺肥大症で泌尿器科通院中などがあり、知人に「漢方薬がよい。」とすすめられ、平成28年4月25日漢方治療を求めて赤穂市から受診されました。
身長163cm、体重63kg、BMI23.7。
舌は大きな異常は認めませんでした。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))を認め、腎虚(腎虚については症例58、128、161、194、216参照)と考えられました。
ウチダ八味地黄丸(はちみじおうがん;症例530参照)を1日3包で一ヶ月分処方しました。
5月24日来院された時には、「特に変わりない。」といわれました。
さらに一ヶ月分処方したところ、6月23日に来られ、「腰の痛みが少しずつ楽になっています。」といわれました。
さらに一ヶ月分処方したところ、7月21日に来られ、「だいぶいい感じです。」といわれました。
さらに一ヶ月分処方したところ、8月20日に来られ、「ほとんど腰がいたまなくなりました。」といわれました。

腎虚による腰痛症は、このように、普通2~3ヶ月ぐらいかけてゆっくり治っていくことが多いです。
腎虚による腰痛症については、症例42、359も御参照下さい。

症例58、128、161、194、216、311、351、361、372、412、466、504にも腎虚の症例をのせております。

腎虚については、こちらをクリック画像の説明クラシエ

 

594.お腹が冷えて痛むの漢方治療

症例は59歳女性です。
平成28年2月、お腹が冷えて、激しく痛んだため、救急車で総合病院に運ばれ、血液検査、腹部エコー検査や、腹部CT検査等の検査を受け、「消化不良ではないか。」といわれたそうです。それ以後も時々、同様の症状が起こるため、7月23日に漢方治療を求めて、受診されました。
身長155cm、体重42kg、BMI17.5とやせを認めます。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。また白苔を認めました。
お腹の動きが悪くてよく張るということでしたので、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585参照)大建中湯(だいけんちゅうとう;症例44、123、396、499、585参照)を合わせて処方したところ、8月8日に風邪をひいて来られた時に話を聞くと、「お腹がよく動くようになり、痛むこともありませんでした。」といわれました。8月20日には、「お腹が冷えなくなりました。腸もよく動いて、とても調子いいです。」といわれました。
10月22日には、「長年苦しんだ病気が治って本当によかったです。」といわれました。

大建中湯は、腹痛やお腹の張りをやわらげ、また、体をあたためて胃腸の調子をよくします。体力がなく冷え症で、お腹をこわしやすい人に向く処方です。

漢方がお役にたててよかったです。

595.前胸部の湿疹の漢方治療

症例は71歳女性です。
平成28年8月17日、「前胸部に真っ赤な湿疹ができ、かゆくて仕方ない。」と来院されました。
身長148.2cm、体重54.6kg、BMI24.9。
コタロー黄連解毒湯カプセルを2カプセル、1日3回で処方したところ、8月22日、風邪をひいて再び来られました。
その時には、湿疹は消えており、話を聞くと、2日間できれいに治ったそうです。

漢方がお役にたててよかったです。

黄連解毒湯と湿疹

赤く腫れ、熱感が強い湿疹に効果があります。先ず炎症を抑えなくっちゃ!という時に、出動する消防車のような働きです。

  • 白虎加人参湯とならぶ漢方の代表的な消炎解熱剤です。
  • 首・頭部の痒みによく効きます。
  • 体を冷やす効果があります
  • 痒みだけでなくイライラにも効果があります。
  • 苦いので、本例のようにカプセル製剤を使うか、粉の場合は、水に溶いて冷やと飲みやすくなります。

 

596.母親に暴力をふるう子供の漢方治療

症例は7歳6ヶ月男児です。
「1年半前より、癇癪がひどい。」とのことで、平成24年12月14日、漢方治療を求めてたつの市から受診されました。
顔をみると眉間や鼻の横あたりに青筋(症例144参照)が立っていましたので、抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144,479参照)甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう;症例61、168、434、460、461、500、502参照)を合わせて処方したところ、平成25年1月9日に来られ、「穏やかにすごせるようになってきました。」といわれました。それ以後、同じ薬を続けていましたが、平成27年7月9日、おかあさんが来られた時に、「学校ではよい子をよそおっていますが、最近家庭では攻撃的になってきました。」といわれました。平成28年に入ってから、だんだん母親に発作的に暴力をふるう(顔を殴る)ようになってきました。6月23日、おかあさんが来られた時に、「反抗期なのか、全く人の言うことを聞きません。」といわれました。7月25日にいよいよ暴力がひどくなってきたため、甘麦大棗湯に変えて、コタロー黄連解毒湯カプセルを1カプセルずつ朝夕に飲ませたところ、8月22日に親子で来られ、「ずいぶん変わってきました。」とおかあさんがうれしそうにいわれました。ほとんど暴力をふるうことがなくなったそうです。
そのまま続けられ、平成29年4月26日には、「新学期になりましたが、落ち着いています。暴力をふるうことはまったくありません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

黄連解毒湯と鎮静作用

黄連解毒湯には、身体にこもっている熱や炎症を取ったり、活発になりすぎている身体の機能を鎮めたりする働きがあります。これにより、イライラが目立つ精神的に不安定な方に使われます。
精神不安、イライラ、怒りっぽい、興奮、顔色が赤い、のぼせ、そして狂躁状態の人などに使用します。目がさえて眠れない場合にも即効性があります。

 

597.月経前症候群の漢方治療

症例は29歳女性です。
生理前になると、イライラしたり、胸が張ったりするため、平成28年7月6日、漢方治療を求めて姫路市より受診されました。
以前他院で、加味逍遥散をもらわれたそうですが、まずくてやめてしまったそうです。
他の症状として、下痢・口内炎ができやすい・足がむくむ・のどがかわく・頭痛・肩こり・手足があれる・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・汗をかきやすい・動悸がする・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・のぼせる・手足が冷える・腰痛・気分が沈む・ねつきが悪い・いやな夢をみる・眠りが浅い・生理痛が強い・出血量が多い・青あざができやすいなどがあります。
身長156cm、体重48.6kg、BMI120.0。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)を合わせて処方したところ、8月3日に来られ、「症状が半分くらいになりました。朝起きるのがつらかったのが、すっと起きれるようになり、生理痛もほとんどなく、胸の張りもなくなりました。漢方薬の味にもだいぶ慣れてきました。」といわれました。
8月31日に来られた時には、「楽です。生理前のイライラもありませんでした。たまに朝起きるのがしんどい日がありますが、それも一瞬です。他の症状はすべてなくなりました。」といわれました。
また、最初は、漢方薬がまずかったのに、最近は非常に甘く感じるようになられたそうです。興味深いことだと思います。

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月経前症候群(PMS)についての解説は症例143をご参照ください。
また、PMSの症例は、症例143、371、388、390、419、478、508、521、554、555、565を参照ください。

598.変形性膝関節症の漢方治療

次の症例は、83歳、男性の方です。
この方は、13年前より両変形性膝関節症があり、10年前よりサントリーのグルコサミン&コンドロイチンを飲んでいるそうですが、痛みは続くため、平成28年7月6日、漢方治療を求めてたつの市から受診されました。
ひどいO脚も認めました(O脚は、変形膝関節症の原因になります。人間が二足歩行するようになり、膝には大きな負担がかかるようになりました。膝には歩行時には体重の2~3倍の負担がかかるといわれています。O脚傾向にある膝では、自分の体重と地面からの衝撃が、内側の関節面で激突を繰り返すことになるので、内側に機械的負担をかけます)。
他の症状として、足がむくむ・頻尿・残尿感があります。
身長165cm、体重70kg、BMI25.7とやや肥満を認めます。
この方の舌は、大きな異常は認めませんでした。
膝の痛みによく使う防已黄耆湯(ぼういおうぎとう;症例76参照)に、薏苡仁湯(よくいにんとう;症例40、111、281、303参照)を合わせて処方したところ、8月3日に来られ、「寝返りをしても痛かった膝が、痛くなくなりました。また、左腕も挙がりにくかったのが、挙がるようになりました。尿もよくでます。」といわれました。

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599.咳・痰の漢方治療

次の症例は、58歳、女性の方です。
3ヶ月前より、痰のからむ咳が続き、いろいろな病院で、診察治療を受け、最終的に喘息のアドエアという吸入薬で落ち着きましたが、今いちの感じだそうです。大きく息を吸ったら咳が出るそうです。
他の症状として、のどが痞える・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・下半身が冷える・口が渇く・こむらがえりなどがあります。
身長159cm、体重58kg、BMI120.0。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594参照)九味檳榔湯(くみびんろうとう;症例150、345、346、348、349、406、422、476、581参照)を1ヶ月分処方したところ、7月12日に来られ、「体があたたくなり、散歩の後には顔に発汗するようになりました。こむらがえりもよくなりました。ただ、痰のからむ咳は多いです。」といわれました。
九味檳榔湯に変えて、加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)に変えたところ、9月1日に来られ、「調子いいです。咳はずいぶん減りました。1日1万歩、歩いても疲れなくなりました(以前は買い物で少し歩いても疲れた)。冷えもありません。肩こり以外はすべてよくなりました。」といわれました。

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600.ふくらはぎがだるくて痛むの漢方治療

次の症例は、34歳、女性の方です。
10年くらい前より、ふくらはぎがだるくて痛むため、平成28年6月21日、漢方治療を求めて姫路市から受診されました。
他の症状として、にきび・体がだるい・疲れやすい・イライラする・立ちくらみ・生理痛が強いなどがあります。
身長154cm、体重49kg、BMI120.7。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552、566、567、575)九味檳榔湯(くみびんろうとう;症例150、345、346、348、349、406、422、476、581、599参照)を1ヶ月分処方したところ、8月22日に来られ、「よくなりました。」といわれました。
10年続いた患者さんを悩ませた症状が、たった一ヶ月でよくなりました。

漢方がお役にたててよかったです。

九味檳榔湯については、こちらをクリック画像の説明小太郎漢方製薬