当院の漢方著効例13

 

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601.神経症の漢方治療

症例は65歳女性です。
現在心療内科で、神経症と診断され、ドグマチール(うつ病の薬)とソラナックス(抗不安薬)の処方を受けています。また62歳時に、左乳癌全的術を受け、以後アナストロゾールというホルモン剤も内服(乳がん細胞の増殖に関係している女性ホルモン「エストロゲン」の産生や働きをおさえて、乳がん細胞の増殖を抑制する治療法)されています。
しかし、体調が優れず、知人の紹介で、メモ(症例141参照)を持参して、平成28年5月10日、加古川市より受診されました。
メモには、

  • 平成20年6月に天井がまわるような大きなめまいがあり、いまだにそのめまいがトラウマになっている(耳鼻科では耳から来るめまいではないといわれている)。
  • 動くと足や体がだるくすぐ疲れるので、家事をするのがいや。
  • 何もしたくない。食欲なし。
  • テレビをみていても楽しくない。
  • 平成28年2月から今までで体重が5kg減った。
  • 体のゆれている状況は8年前から感じていたが、こんなにしんどく何もしたくないのは、4か月前から。
  • 手足がふるえている。
  • 頭・首・体が常に揺れている感じがする。
  • 少しの作業で疲れる。
  • 毎日リクライニングの椅子の上で10時間ぐらい過ごしている。
  • 足の先が冷たい
  • 一人で家にいると不安になる
  • 買い物も一人で行けない。

と書いてありました(とにかく平成28年2月から誘因なく体調が悪化したそうです。それまでは1日4km歩いていたそうです)。

身長159cm、体重54.5kg、BMI121.6。
この方の舌を見ると、辺縁が分厚く赤く(この赤みは肝の熱を表しています)、中央に白色の苔を認め、「気滞」体質を認めました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591参照)加味逍遥散を合わせて処方したところ、6月7日に来られ、「あまり変わりません。ふらふらするのが困ります。」といわれました。しかし、よく聴くと、食欲が増してきた、体のだるいのが少しましなどのよい兆候が出ておりました。
7月5日には、「前よりましな感じです。6月8日から週に3回体操をしています。食欲はあります。」といわれました。
8月19日には、「だいぶ元気になってきました。体操も続けています。体のゆれもだいぶよくなりました。以前より長い時間台所に立てるようになりました。」と笑顔でいわれました。
平成29年2月17日には、「体操教室に月20回も通えるようになりました。また家庭菜園を始めて、じゃがいもを植えました。」と笑顔でいわれました。

どんどん体調がよくなっているようなので、このまま続けていく予定です。

漢方がお役に立ててよかったです。

602.気分が落ち込んだり、イライラしたりするの漢方治療

症例は33歳女性です。
6年前に産後鬱(うつ)になり、それ以後気分が落ち込んだり、イライラしてご主人にあたったりするため、知人の紹介で、平成28年1月28日、宍粟市より受診されました。
他の症状として、便秘・快便感がない・腹がはる・腹が鳴る・口内炎ができやすい・手足がむくむ・頭痛・肩こり・にきび・痰がきれにくい・疲れやすい・食後眠くなる・汗をかきやすい・立ちくらみ・手足が冷える・生理痛(先週まで、低用量ピルを服用されていたため、今は症状はないが、それまでは生理痛あり)などがあります。
身長156.5cm、体重47.0kg、BMI119.2とやせぎみです。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594、599参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)を合わせて処方したところ、2月19日に来られ、「少しましです。やはり生理前にイライラします。便秘は解消しました。」といわれました。4月14日には、「同じ感じです。」といわれましたので、生理前には加味逍遥散を3回飲むように指示しました。
6月9日には、「3回飲むとだいぶいいです。まだ生理前は体はしんどいです。」といわれました。8月26日には、「体がむくみやすい以外は特に問題なくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

603.老人性紫斑の漢方治療(2)

症例570に続いて、老人性紫斑の症例です。
症例は72歳、男性です。
高血圧症で当院通院中ですが、平成28年5月25日に薬を取りに来られた時に、「両手の前腕によく内出血を起こします。」といわれましたので、老人性紫斑の説明をし、漢方薬を勧めさせていただきました。
身長169cm、体重52kg、BMI18.3とやせを認めます。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
脾虚(症例97参照)に対して、六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601参照)を処方しました。少しずつ改善し、4ヶ月後の9月16日に来られた時に、両手をみせながら、「紫斑は全くでなくなりました。」といわれました。
また、「今までずっと下痢していたのが、いい便が出るようになりました。またかぜも引きやすかったのが、全くひかなくなりました。ごはんもおいしいです。」といわれました。。

漢方がお役に立ててよかったです。

この症例をみると、「漢方的には老人性紫斑は「脾虚」体質による。」ということがよくわかります。

画像の説明
写真出典;reoreoman.blog.so-net.ne.jp

604.ホットフラッシュの漢方治療

症例は49歳、女性です。
普段、高コレステロール血症で通院中の患者さんです。
平成28年7月2日に来られた時に、「のぼせやほてりで大量の汗が出ます。また生理前はイライラが強いです。」といわれました。
身長159.2cm、体重48kg、BMI18.9とやせを認めます。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551、583参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)を合わせて処方したところ、8月5日に来られ、「生理前のイライラがずいぶんましになりました。」といわれました。さらに続けたところ、9月10日に来られ、「のぼせやほてりで大量の汗が出が出ていたのが、気にならなくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

605.酒皶(しゅさ)様皮膚炎の漢方治療

症例は21歳、女性です。
慢性的に顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを伴い、総合病院の皮膚科で1%メトロニダゾール軟膏(フラジール軟膏)を処方され、半年間続けましたが、改善しないため、平成28年7月15日、たつの市から受診されました(昨年アトピー性皮膚炎がひどく、全身の掻いた後から浸出液が出るひどい状態になり、半月間くらいステロイドの点滴を受け、そのあと酒皶様皮膚炎になったそうです)。
その他に、全身が乾燥肌で、特に背中はサメ肌(サメ肌は「瘀血」です)になっておりました。
身長155.0cm、体重48kg、BMI20.0。
この方の舌を見ると、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
温清飲(うんせいいん)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)を合わせて続けたところ、8月10日に来られ、「顔の赤みがひき、ぶつぶつもほとんど消えて、とてもいいです。」といわれました。
酒皶(しゅさ)については、症例632も参照下さい。

漢方がお役に立ててよかったです。

温清飲について

温清飲というのは、肌の乾燥や炎症などの症状に用いる漢方薬です。肌の乾燥を防ぐ漢方薬である「四物湯」と、熱感や炎症を抑えるための「黄連解毒湯」を合わせた漢方薬で、アトピー性皮膚炎などの疾患に処方されます。
とくに、患部が乾燥していて赤みを帯び、痒みが酷く、痒さからひっかくと粉が出てしまうような場合に、温清飲を処方することが多いです。

温清飲の効能は、月経不順や月経困難、血の道症(女性ホルモンの変動によって起こる精神不安やいらだちなどの精神神経症状や身体症状のこと)、更年期障害、神経症、湿疹、皮膚炎などに効果が認められています。

酒皶様皮膚炎について

慢性的に顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを伴うことの多い主に顏の皮膚疾患です。
原因がさまざまであるうえに、基礎疾患の有無の違い、体質的な素因を伴う場合のある病気であることなどから、治療法が確定しておらず難治性です。
メトロニダゾール軟膏は抗菌剤の一種ですが、抗菌作用以外に抗炎症、免疫抑制作用、組織内活性酸素減少などの効果もあるといわれており、国外では酒皶やアトピー性皮膚炎、ニキビなど様々な皮膚疾患に用いられています。
残念ながら、日本では保険適応外の治療となります。しかし上記のように有効性は確立されているため、国内でも様々な施設が難治性の酒皶などに対して使用しているようです。

 

606.アレルギー性鼻炎の漢方治療

症例は60歳、女性です。
普段、高血症(アムロジピン5mg錠内服)で近くの内科へ通院されています。
小児期より、アレルギー性鼻炎(3年前の検査では、ハウスダストクラス3、ヤケヒョウダニ同3、スギ同4、ヒノキ同3、ハルガヤ同2、カモガヤ同1、オオアワガエリ同1)があり、市販の薬を飲むと眠くなるので今は治療されていません。特に寒暖差があると鼻炎がひどくなるそうです。
当院で治療中の娘さんの紹介で、平成28年8月2日、たつの市から受診されました
身長142cm、体重43kg、BMI21.3。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))を認め、腎虚(腎虚については症例58、128、161、194、216参照)と考えられました。
他の症状として、胃腸が弱い(ストレスがかかると過食症になり胃腸が悪くなる)・残尿感・夜間尿・耳鳴り・腰痛(以上腎虚症状)・足や顔のむくみ・汗をかかない・咳(夜間時々)・痰がきれにくい・くしゃみ・鼻づまり・鼻水・風邪がをひきやすく治りにくい・食後眠くなる・夜中に目がさめる・いやな夢をみるなどがあります。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601、603参照)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、9月2日に来られ、「元気に暮らせています。残尿感・夜間尿が減りました。胃の調子もいいです。」といわれました。
さらに続けたところ、9月30日に来られ、「元気です。腰痛も消えました。鼻炎も全くでなくなりました。耳鳴りだけ残っています。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

607.尿漏れと便秘の漢方治療

症例は66歳、女性です。
20年前より便秘があり、平成28年3月8日、宍粟市より受診されました。
便はタケダ漢方便秘薬で、3~4日に一度出るくらいだそうです。
また、子宮脱と尿漏れもあるそうです。
身長167.5cm、体重55.0kg、BMI119.6とやせぎみです。
この方の舌を見ると、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551参照)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、4月4日に来られ、「体調はよくなりました。便通は最初すごくよくなりましたが、最近また便秘気味です。」といわれました。そのまま続けていただいたところ、4月27日に来られ、「また最近便通がよくなってきました。」といわれました。そのまま続けていただいたところ、8月23日には、「便通はいいです。また尿漏れしなくなりました。ただ、子宮脱は治りません。」といわれました。
この2つの漢方には、下剤はいっさい含まれていません。漢方でもできるだけ下剤なしで、便秘を治すようにしたいものです。

漢方がお役に立ててよかったです。

尿漏れについて

30歳以上の女性にとくに多く、大きな咳をした時、大笑いした時、またひどいクシャミをした時、おならをした時などに「尿漏れ」します。
また急にトイレに行きたくなっても、こらえ切れなくなって、途中で「ポトポト漏らし」失敗してしまう。夜寝ていて「遺尿」してしまう等々、大半はこの膀胱括約筋が意に反し弛緩して尿道の蛇口が開いてしまうことによるものです。
下腹部に腹圧がかかるため尿が漏れる状態で、骨盤底筋群の脆弱化が原因といわれています。骨盤底筋群の脆弱化は筋トーヌスの低下で漢方では「中気下陥(脾気下陥ともいう)」といい、補中益気湯が適応します。
補中益気湯は胃腸の働きを補い、痩せた筋肉を補強し、元気を増し、免疫力を増強してくれます。とくに処方を構成する柴胡、升麻、黄耆の配合は、弛緩しやすい膀胱括約筋の筋力を高め、不用意に開かないように引き締める作用があります。
補中益気湯は内臓平滑筋や肛門括約筋の機能低下にも有効ですが、単独で改善が得られないときには補腎薬を併用するとよいです。

中気下陥について

中医学では、内臓一般の下垂症状を「気陥」という状態ととらえます。なぜ本来の位置より臓器が下垂するのか、その本質を見極めて治療を行います。

「気」の働きのなかに”固摂作用”といわれる働きがあります。
気の固摂作用とは、

  • 気・血・津液の過剰な排泄を抑え、留める。
  • 内臓の位置を保つ。

というものです。出血や汗がダラダラと出るのを抑えたり(症例159、391、566、570、603参照)、尿、精液、帯下などの過剰な排泄を防ぎ、内臓が下がらないように一定の位置に保つのが、気の固摂の働きです。
この固摂作用の中で、特に内臓の位置を保つ働き(=脾の昇清機能;症例154参照)が失調することを「気陥」といいます。
内臓下垂の症状を呈する治療では、下垂している器官が胃であっても、腸であっても、また子宮であっても、考え方は変わりません。「気陥」という気の失調を改善することが、すべての下垂症状の治療となります。
そのため理論上、補中益気湯で子宮脱も改善するはずですが、やはり進行したものは、 手術するしかないかもしれません。
「中気」とは、人体の真ん中にあり、おもに飲食物の消化・吸収をつかさどる「脾」の気を指します。
「下陥」とは字の通り、下に陥ちる、下がるということです。

 

608.原因不明の発熱(気虚発熱(6))の漢方治療

症例15、166、267、285、321に続いて気虚発熱(症例15参照)の症例を載せます。
症例は18歳、女性です。
約3ヶ月前よりよく発熱する(38℃を超える発熱)ため、姫路市の総合病院内科で、血液検査や胸部X線写真等の検査を受けましたが、「特に異常なし。」といわれたそうです。
ただその後も熱が続くため、たつの市から9月3日、知人の紹介で来院されました。
他の症状として、便秘と下痢の繰り返し・吐き気・のどが痞える・口の中が苦い・食欲不振・頭痛・肩こり・鼻水・体がだるい・疲れやすい・動悸がする・めまい・手足の冷え・気分が沈む・夜中に目が覚める・いやな夢をみる・生理不順・出血量が多く、だらだら出血する・生理痛が強いなどがありました。
この方の舌を見ると、腫れぼったく歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551、607参照)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552、566、567、575、600)を1ヶ月分処方したところ、2~3日で熱は出なくなりました。
ただ、不安、抑うつ状態はつづくため、心療内科を受診されたところ、適応障害といわれたそうです(薬は処方されなかったそうです)。
そのまま漢方薬を続けられ、10月3日にこられたときには、「熱も出ず、体調もいいです。」といわれました。
10月24日にこられたときには、「生理も順調です。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

609.肛門痛の漢方治療

症例は77歳、男性です。
10日くらい前より、肛門の奥から突き上げるような痛みが出現、近くの病院で大腸内視鏡検査を受けられましたが、特に異常はなかったそうです。
それでも痛みは続き、食事もとれないような状態になり、困っていたところ知人の紹介で、平成28年9月26日たつの市から来院されました。
他の症状として、腹がはる・吐き気・口の中が苦い・食欲不振・口がかわく・残尿感・イライラする・手足のしびれ・いやな夢をみる・ねむりが浅い(痛みのため睡眠薬を飲まないと眠れなくなったそうです)などがあります。
身長162cm、体重53.0kg、BMI120.2。
この方の舌を見ると、腫れぼったく地図状舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
腹診では、腹直筋の緊張を認め、また下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))を認め、腎虚(腎虚については症例58、128、161、194、216参照)と考えられました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601、603、606参照)抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144、479、503参照)を1ヶ月分処方したところ、10月3日、知人の方から、「痛みがすっかりとれて、食欲も増し、元気で畑仕事をされています。」と報告がありました。

漢方がお役に立ててよかったです。

神経障害性疼痛に対する抑肝散の治療効果については、こちらをクリック画像の説明ツムラ

 

610.小児気管支喘息の漢方治療(5)

次の症例は3歳1ヶ月、女児です。
喘息発作を起こし、近医で治療を受けておられます(キプレス(ロイコトリエン拮抗薬)をもらっているが、咳が続く)がよくならないため、平成28年7月5日漢方治療を求めて姫路市から受診されました。
身長91.7cm、体重12.0kg。
神秘湯(しんぴとう;症例74参照)とアトピーもあり、ステロイドの塗繰りをもらっているとのことでしたので、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう;症例222、379、536、582参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、8月22日に来られ、「咳は全くでなくなりました。」といわれました。
10月5日にはお母さんが、「兄が風邪にかかり、いつもならすぐにもらうのに、今回は少し咳が出ただけですみました。アトピーもステロイドを塗らなくても全く出なくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

611.頭痛の漢方治療

次の症例は34歳、女性です。
約10年前より頭痛が出現し、最近だんだんひどくなるため(バファリンが効かなくなり、2日間ほど寝込むそうです)、当院通院中の方の紹介で、平成28年7月6日、漢方治療を目的にたつの市より受診されました。
身長161cm、体重54kg、BMI20.8。
他の症状として、肩こり(頭痛と同時に首や肩がこる)・疲れやすい・足がむくむ・生理不純(間隔が長くなる)などがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552、566、567、575、600)呉茱萸湯(ごしゅゆとう;症例51、169、199、213、261、288、293、304、388、400、450、513、608参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、10月7日に当院へ来られ、「頭痛は、漢方薬を飲んでいるときはおさまっていましたが、薬が切れるとまた痛み出しましたので取りに来ました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

612.アトピー性皮膚炎と便秘の漢方治療

次の症例は3歳3ヶ月、女児です。
元々食べ物の好き嫌いが激しく、薬も嫌いだそうです。
1歳6ヶ月頃より、アトピー性皮膚炎があり、保湿剤やステロイドの軟膏を使っています。
平成27年6月16日、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう;症例222、379、536、582参照)を処方しましたが、飲めませんでした。
平成28年7月9日、便秘と腹痛で来られた時、お腹を診ますと、腹直筋緊張(;症例279参照)を認めましたので、黄耆建中湯を再度処方したところ、今度は飲んでいただけたようで、7月15日にはおかあさんが、「飲んですぐに、便が毎日でるようになりました。」といわれました。10月15日には、「アトピー性皮膚炎も調子いいです。」といわれました。
なお、弟さんもひどい便秘で、5日おきに浣腸して出しているそうなので、もう少し大きくなったら、同じように黄耆建中湯を飲ませる予定です。

漢方がお役に立ててよかったです。

613.アトピー性皮膚炎の漢方治療

次の症例は24歳、女性です。
幼少期からアトピー性皮膚炎がありましたが、近年は落ち着いておりました。
しかし、仕事のストレスからか、平成28年8月頃より悪化し、首や顔(おでこ)が特にひどかったそうです(肘窩(肘の内側)や手指にもみられました;写真参考)。
消風散、黄連解毒湯、温清飲、桂枝茯苓丸加薏苡仁などを試しましたが、症状は少しましになっても、強いストレスがかかるとすぐにぶり返すといった状態でした。
困っていたところ、10月11日、たまたま早出正人先生のネットで、あごや首筋に湿疹が出るのは腎、おでこや生え際は肝が弱っているとの記載をみて(TRINITY;下図参照)、10月12日、六味丸(ろくみがん;症例128、194、412、414、457、646参照)とストレスに関連の深い臓器である「肝」の熱を冷ましてくれる加味逍遥散を合わせて処方したところ、なんと次の日には患部の熱っぽい感じがとれ痒みもましになり、3日目には下の写真のように著しい改善を認めました。もちろんおでこも、また手指のアトピー(下の写真参照;赤味がとれています)もよくなりました(もちろん経過中ステロイド薬等西洋薬は一切使用しておりません)。
まさに不思議に劇的(益田 総子先生)な症例となりました。

また、この図をみて、気になった症例があります。何年も眉間(みけん)だけの湿疹が治らない人がおられました。「心」の薬を使えばよかったんだと今思いました。
漢方は奥深いです。

画像の説明
出典;http://www.el-aura.com/20121122-02/
先生は、インドの伝統的な治療体系アーユルヴェーダをされているようです。
本当に助けていただきました。
画像の説明
上の写真が8月24日(10月12日もこれと同じ状態)
下の写真が10月15日
画像の説明
上の写真が10月11日
下の写真が10月15日

大人のアトピー性皮膚の症状は、顔、首、手などに現れるといわれていますが、首のアトピーは、一番治しにくいと言われています。
首のアトピーは、他の部位に比べて、一番治るのが遅いのです。
首はしわがあるためそこに汗がたまったり、しわに沿って色素沈着が起こりやすくなります。皮膚が硬いためしわが出来やすく、治りかけた傷口やひび割れも首を動かすことで治りにくくなってしまいます。
また、布団や洋服、冬の乾燥など外気に触れやすく刺激も多いのが首の治りを遅くしてしまいます。
また首から上のアトピーは、動物性食品、特に脂の取り過ぎでの結果です。
よって治りにくいのです。脂は水に浮かびますので、身体の上の方へ向かい、首から上のアトピーや湿疹をつくるのです。
とりわけ、首は「ジュースなどの甘い飲み物、果物」の毒素がたまりやすい部位です。
果糖であれ、砂糖は痒みの元ですので、過剰な摂取は控えるべきです。
とにかく和食中心の食事に変更して下さい。
卵製品は、鶏の卵だけではなく、魚卵なども避けておくとよいと考えます。
また、コーヒー、チョコレート、ココア、ピーナッツなどの豆製品もできるだけ避けて下さい。

まとめ
脂っぽい食事を控える。肉より魚を摂取する。赤身魚より白身魚のほうがいいです。大豆アレルギーがなければ大豆によるタンパク質摂取が望ましいです。さっぱりとした和食を中心にしていき、スナック菓子は控えて下さい。

 

614.むずむず脚症候群の漢方治療

症例210に続いて、むずむず脚症候群の症例です。
症例は35歳女性です。
2年前より、「夜になると、足がむずむずして眠れない。」という症状が出現。足がぴくぴくけいれんする時もあるそうです。平成28年8月3日漢方治療を求めて、姫路市から当院へ来院されました。
身長150cm、体重57kg、BMI25.3。
そのほかの症状として、下痢しやすい・胃がもたれる・胸やけ・体がだるい・疲れやすい・イライラする・動悸がする・腰痛・寝つきが悪い・眠りが浅い・生理の出血量が多い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、舌が紫がかり、白苔と歯痕舌を認め、舌の裏側の静脈が膨れ、「気虚」と「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
「瘀血」に対しては、加味逍遥散(かみしょうようさんを選び、気虚に六君子湯(りっくんしとう)を足して、1ヶ月分だしたところ、9月3日当院へ来られ、「調子よかったのに生理が始まってから、またむずむずしだしました。」と、いわれましたので、加味逍遥散を3回へ増やしたところ、10月15日に来られ、「元気です。代謝もよくなった感じです。むずむずもましになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

615.のどのイガイガ・夜間の咳の漢方治療

症例は34歳女性です。
元々、ダニやハウスダストにアレルギーがあります。
2ヶ月前から、のどのイガイガし、夜間に咳が出るため、平成28年9月9日来院されました。咳喘息を疑い、キプレス(抗ロイコトリエン薬。従来の抗アレルギー薬に比べ、とくに喘息によい効果を発揮するのが特徴)を2週間分処方しましたところ、10月1日に来られ、「少しましかなぁ。」といわれましたので、レルベア(吸入ステロイド薬)に切り替えましたが、10月7日に来られ、「全くよくなりません。」といわれましたので、胸部X線写真を撮りましたが、異常はありませんでしたので、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう;症例64、102、103、373、591参照)麦門冬湯 (ばくもんどうとう;症例558参照)を合わせて2週間分処方したところ、10月20日に来られ、「ほとんど気にならないくらいになりました。」といわれましたので、もう2週間分処方させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

麦門冬湯について

麦門冬湯には西洋の薬にはない「体を潤す」作用があります。風邪をひくと喉がイガイガしたり、声がかれてしまったりします。こういった風邪の症状で喉が渇いた時に麦門冬湯はとてもおすすめの薬です。

風邪をひくと咳が出やすくなりますが、これは体内の乾燥などが原因で起こります。
喉や気道は常に粘液を分泌して表面を守っています。
空気の乾燥によって水分を奪われてしまったり、体の水分不足で十分な粘液を分泌できなくなると粘膜は乾いてしまいます。
保護している粘膜がなくなると喉や気道はちょっとしたことで障害を受けやすくなります。これが咳や喉の痛みの原因になります。
また、分泌された粘液は痰の材料になります。乾燥している時の痰は量が少ない分、ねばり気が出るために流れが悪くなり、喉に張り付きやすくなります。
中には痰を排出することができずゴホゴホと咳がこみ上げてきたり、苦しくて顔が赤くなる方もおられます。

麦門冬湯は体の潤いを補う作用があるので、渇いた喉を潤し、切れにくい痰と咳に有効的だといわれています。

また、秋から冬の空気が乾燥する季節になると、空咳が起こりやすくなります。
空気の乾燥は喉や気道が乾燥する原因となりますので、健康な人でもこの時期は咳が出やすくなります。また、この時期は喘息が悪化しやすい季節でもあります。
空気が乾燥する季節の咳や、喉や気道の乾燥による咳などにも麦門冬湯が効果的です。

麦門冬湯については、こちらをクリック画像の説明内科医による健康創造BLOG

 

616.左前胸部痛・背部痛・心窩部痛の漢方治療

症例は34歳女性です。
平成28年1月から、左前胸部痛・背部痛・心窩部痛(日により、痛みは移動する:冷えると痛む)があるため、平成28年9月21日来院されました。
そのほかの症状として、疲れがとれない・立ちくらみ・不眠などがあります。
身長159.6cm、体重48.1kg、BMI18.9。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
5月30日に健診を受けられて、胸部X線写真、血液検査、検尿などに異常は認められなかったため(便潜血検査陽性で、大腸内視鏡検査を受けたところ、ポリープを認めたそうです)、当帰湯(とうきとう;症例5、71、122、255、408、534参照)を1ヶ月分だしたところ、10月24日当院へ来られ、「痛みは全く消えました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

617.小児いらいらの漢方治療

症例は2歳11ヶ月男児です。
平成26年12月29日、風邪で来られた時に、いわゆる”かんの虫”(興奮してよく泣くとか、自我が発達し、我がままをいって泣いたりする事)があり、「樋屋奇応丸(ひやきおーがん)を飲ませても効かない。」といわれましたので、抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144、479、503、609参照)を2週間分処方しましたが、その後来院はありませんでした。
平成28年9月2日、「最近よくいらいらして、やっと抑肝散が飲めるようになったので、またほしい。」とおかあさんがいわれましたので、1ヶ月分だしたところ、9月30日に来られ、「ずいぶん落ち着いています。」といわれました。ただ、胃腸が弱いとのことでしたので(未熟児;1852グラムで生まれ、体が弱く、頻繁に風邪をひき、肺炎にもよくなる。今も背が低く成長曲線を下回っているそうです)、小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)をあわせて処方したところ、10月25日に来られ、「いらいらも減って、友達とトラブルを起こすこともほとんどなくなりました。椅子に座って、先生の話をだまって聞くこともできるようになりました。食事量も増えてきました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。
樋屋奇応丸については、こちらをクリック画像の説明大幸薬品

618.のどがつまって窒息しそうな感じの漢方治療

症例は60歳女性です。
平成27年4月9日より高コレステロール血症で通院されている患者さんです。
約6ヶ月前から、痰が切れず、のどがつまって窒息しそうな感じがし、耳もふさがった感じがするため、総合病院の耳鼻科を受診したところ、「異常なし。」といわれ、次に口腔外科を紹介され、「シェーグレン症候群っぽい。」とのことで、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が処方されたそうです。しかし、半年続けても全くよくならないため(効かない薬を続けるのよくありません)、平成28年9月24日、定期受診されたときに相談を受けました。
身長153.4cm、体重53.1kg、BMI22.6。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
白虎加人参湯に変えて、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう;症例64、102、103、373、591参照)を1ヶ月分処方したところ、10月29日に来られ、「飲み始めて、すぐに楽になりました。ただ、耳もふさがった感じはまだ残っています。」といわれましたので、加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、510参照)を合わせて処方させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

白虎加人参湯について

体の熱を冷まし、唾液を出させる作用があり(前医はこの働きを使って使用したと思われる)、口が渇く、ほてりがある場合(本症例にはこの症状はまったくありません)に効果があり、熱中症などの熱病などに対して使用されます。
また『糖尿病でのどが渇き、水を飲みたがることが多い』、という場合にも応用されます。他にも、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹にも使用されます。

次のような人に有効です。
-体力がある人
-暑がりで汗が出る
-のどが渇く
-尿が多い

 

619.小児の頭痛の漢方治療

症例は10歳女児です。
平成28年9月15日、急に頭痛(頭がガンガンし、朝方がひどく、夕方にかけて楽になる)が起こり、近医で頭痛薬の頓服をもらわれましたが、全く効かないため、総合病院を受診し、頭部CT検査等の検査を受けましたが、「異常なし。」といわれ、起立性調節障害との診断で、メトリジン(ミドドリン塩酸塩)2mgを処方されましたが、全く効かないため、次にジヒデルゴット1mg(エルゴタミン系の血管収縮薬で、片頭痛の痛みをおさえます。基本的には頭痛発現時等に頓用しますが、期間を決めて予防薬として定期服用することもあります)に切り替えましたが、それも全くきかないため、平成28年10月7日漢方治療を求めて、加古川市から当院へ来院されました(この方のおばあちゃんが当院で五十肩の漢方治療を受けよくなられたので、連れてこられました)。
そのほかの症状として、食欲不振・体がだるいなどがあります。
身長144cm、体重33kg。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
小児の習慣性頭痛によく使う(症例186参照)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、155、152、186、304参照)と気虚に使う六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601、603参照)を合わせて、1ヶ月分だしたところ、10月24日当院へ来られ、「3日前から、かぜを引きました。そのため、咳とともにまた頭痛とふらつきがでてきましたが、それまではとても調子よかったです。」といわれましたので、かぜ薬とまた同じ漢方薬を処方させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

620.便秘の漢方治療

症例は36歳女性です。
元々便秘がちで、妊娠中にラキソベロンをもらったところ、腹痛が起こったそうです。
現在は授乳中(今年4月に出産)で、「マグミットなら問題ない。」といわれ飲まれておられます。
平成28年6月には、腸閉塞をされています。
平成28年10月1日、マグミットをもらいに来られました。
しかし、「腸閉塞の既往があるなら、大建中湯(だいけんちゅうとう;症例44、123、396、499、585参照)のほうがよい(症例44参照)。」と私から勧めさせていただきました。
身長160.0cm、体重51.0kg、BMI19.9。
舌は特に異常ありませんでした。
大建中湯を7.5g分3で1ヶ月分処方したところ、10月31日来られ、「2袋ずつ飲めば、毎日いい便が出るようになりました。おいしいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

621.稀発月経の漢方治療

症例は30歳女性です。
生理不順(周期が40日以上=稀発月経;周期が39日以上で、年に数回しか生理がおこらないもので、放置しておくと「無月経」になる場合もある。)があり、婦人科を受診したところ、プロラクチン値が45(正常値30未満)と高いため、テルロン錠0.5mg(高プロラクチン血性排卵障害の薬)を処方されましたが、悪心・嘔気、嘔吐、便秘などの消化器症状が強く出現し、中止となったそうです。
平成28年7月23日漢方治療を求めて、姫路市から当院へ来院されました。
他の症状として、元々便秘・口内炎ができやすい・足がむくむ・肩こり・にきび・体がだるい・疲れやすい・イライラする・立ちくらみ・腰痛・生理痛・だらだら出血するなどがあります。
身長159cm、体重58.3kg、BMI23.1。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601、603参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)を合わせて、1ヶ月分だしたところ、8月20日当院へ来られ、「体調はいい感じです。まだ生理はきていません。」といわれました。さらに続けたところ、9月10日来られ、「生理は来ましたが、45日目でした。イライラはよくなり、便通もよく、体調はいいです。」といわれました。さらに続けたところ、11月3日来られ、「生理が33日できました。生理前に少し便秘気味になりますが、体調はとてもいいです。」といわれました。
稀発月経については、症例260にも記載しております。

漢方がお役に立ててよかったです。

622.腰部脊柱管狭窄症の漢方治療

次の症例は81歳、女性です。
腰痛と下肢の痛み・しびれがあり、総合病院整形外科で腰部脊柱管狭窄症と診断されました(手術をしても痛みとしびれは残るといわれたそうです)。1年半の間、ロキソニン(解熱鎮痛薬)・メチコバール(ビタミンB12)・プロレナール(手足の血管を広げ血流をよくするお薬)・ムコスタ(胃薬)の内服を続けられましたが、症状は改善しないどころか、食欲がなくなったため、平成28年7月23日漢方治療を求め来院されました。
身長157cm、体重56kg、BMI22.7。
他の症状として、便秘・腹がはる・胸やけ・食欲不振・薬で胃があれやすい・夜間頻尿・口がかわく・肩こり・疲れやすい・食後眠くなる・手足が冷える・気分が沈む・寝つきが悪いなどがあります
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
腎虚に使う牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47、222、223、252、253参照)疎経活血湯(そけいかっけつとう;症例1参照)と体を温めるブシ末を合わせ1ヶ月分処方したところ、8月18日と9月13日受診された時にはあまり変わりありませんでしたが、10月11日に来られた時に、「しびれがよくなってきました。」といわれました。11月15日に来られた時には、「薬がよく効いています。西洋薬は一切飲んでません。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

623.動悸・めまい・息が吸いにくいの漢方治療

次の症例は38歳、女性です。
昨年度、動悸・めまい・息が吸いにくいなどの症状があり、病院で心電図、甲状腺機能等の血液検査等を受けられましたが、「特に異常なし。」といわれています。
今回、平成28年8月17日より、また同じ症状が出現したため、知人の紹介で漢方治療を求め、8月18日たつの市から来院されました。
他の症状として、のどがつかえる・頭痛・肩こり・にきび・体がだるい・疲れやすい・イライラする・汗をかきやすい・耳鳴り・腰痛・立ちくらみ・気分が沈む・生理不順・出血量が多い・だらだら出血する・痔などがあります。
身長158cm、体重88kg、BMI35.3と肥満を認めます。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594、599、602参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、3を49、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541、543、555、557、561、570、572参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、9月14日に来られ、「たまに耳鳴りや動悸がしましたが、だいぶ調子よくなりました。だるさを感じるのも10日に1回くらいになりました。」といわれました。10月18日には、「元気になってきました。緊張した時には動悸がします。眠りが浅く、夢をよく見ます。」といわれましたので、眠前に酸棗仁湯(さんそうにんとう)を追加したところ、11月15日に来られ、「楽です。動悸もしなくなり、夜もよく寝れます。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。
酸棗仁湯がよく効いたことから、本症例は気虚よりは、血虚がメインの症例と考えられました。

肝血虚(肝血の不足)・心血虚について

一般的な血虚の症候を呈しますが、爪の色が悪い・目の症状(めまい・目のかすみ・目の疲れ・乾燥感・目がしょぼつく)・耳鳴り・手足のひきつり・けいれん・しびれ・皮膚の乾燥・髪のパサつき・爪がもろく変形しやすいなどがみられます・女性では、月経量が少ないなどがみられます。
急性あるいは慢性疾患による消耗・脾胃の運化不足による血の生成不足・出血などによる消耗によって生じます。
心は、血をつかさどり、肝は血を貯蔵します。五行でいうと、”肝は心の母”にあたり、肝血の不足は、心血の不足につながります。
症状は、肝血虚の症状に加えて

  • 動悸がして胸苦しい
  • 眠りが浅くてさめやすい
  • 夢が多くうなされる
  • 健忘・思考力低下
  • 不安感・焦燥感

などの症状が加わります。
治療は、酸棗仁湯イライラやのぼせ症状が強ければ加味帰脾湯を用います。

酸棗仁湯については、こちらをクリック画像の説明昌平クリニック

 

624.小児の頭痛の漢方治療

症例は11歳女児です。
頭痛が頻繁に起こり、近医で頭痛薬をもらわれていますが、「漢方で治したい。」と7月25日加西市から来院されました。
近医では、「起立性調節障害の傾向がある。」といわれています。
頭痛は特に梅雨時期がひどいそうです。
他の症状として、乗り物酔いしやすい・便秘・鼻づまりがあります。
身長144cm、体重41kg。
舌は、特に異常ありませんでした。
小児の習慣性頭痛によく使う(症例186参照)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、155、152、186、304、619参照)と頭痛のひどい時用に、五苓散(ごれいさん;症例196参照)を頓服で飲むように処方したところ、8月18日に来られ、「頭痛ましです。五苓散もよく効きます。」といわれました。
11月22日には、「この2ヶ月間、一度も頭痛が起こりませんでした。五苓散も飲んでません。自然学校がありましたが、その時もだいじょうぶでした。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

625.副鼻腔気管支症候群の漢方治療

次の症例は58歳、女性です。
近医で副鼻腔気管支症候群の診断のもと昨年6月9日より、エリスロシン(マクロライド系抗菌薬)の少量投与とムコダイン(去痰剤)を内服されていますが、一ヶ月前より、咳や色のついた痰がひどくなってきたため、漢方治療を求め、平成28年10月20日姫路市から来院されました。
胸部X線をみせていただきましたが、両側下肺野にびまん性陰影が認められました。
身長154cm、体重49kg、BMI20.7。
他の症状として、疲れやすいがあります。
副鼻腔炎やどろどろした後鼻漏に効能のある漢方薬である辛夷清肺湯(しんいせいは いとう;症例52、435参照 )と免疫力をアップする補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551、583、604参照)をあわせて1ヶ月分だしたところ、11月21日に来られ、「咳や痰が全然ましになりました。」といわれました。

漢方で元気になられてよかったです。

下記にも、「本疾患は風邪をきっかけに悪化することが多く、風邪予防に心がけ、風邪をひいても長引かせないことも重要です。したがって抵抗力や免疫力を低下させないために、規則正しい生活やストレスからの解放、心身のリフレッシュに心がけてください。具体的には、十分な睡眠時間の確保、過食や偏食を避け栄養バランスの良い食事の摂取、適度な運動などです。」とありますが、まさに、これを薬剤でカバーしてくれるのが、補中益気湯なのです。
こういうことがわかっていながら、抗生剤の長期投与しかできない西洋医学‥なさけないですね。

副鼻腔気管支症候群については、こちらをクリック画像の説明谷尻医院

 

626.腹満・のどのつまりの漢方治療

次の症例は61歳、男性です。
オメプラール(胃酸の分泌を抑えるお薬で、プロトンポンプ阻害薬という種類の胃薬)、スルピリド(胃薬・抗うつ剤・統合失調症治療薬の3つの効果が期待できる)、プラバスタチン(コレステロールを下げる薬)、ジアゼパム(不安、緊張、あせり、 抑うつといった精神症状を改善する作用を もつ薬)を近医でもらい内服されています。胃カメラでは萎縮性胃炎のみで、ピロリ菌はマイナスです。
腹満・のどのつまりがあり、本HPの症例102、103と同じだと平成28年10月22日太子町から来院されました。
身長173cm、体重62kg、BMI120.7。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594、599、602、603参照)を1ヶ月分だしたところ、11月21日に来られ、「症状が消えました。薬がとってもあっていると思う。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

627.体がだるいの漢方治療

次の症例は53歳、男性です。
1年前くらいより、体がだるいため、漢方治療を求め、9月17日来院されました(現在名古屋に単身赴任中)。
他の症状として、胸やけ・頻尿・残尿感・肩こり・鼻水・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・汗をかきやすい・腰痛・いやな夢をみる・ねむりが浅いなどがあります。
身長166cm、体重60kg、BMI21.8。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591、601、603参照)とストレスやイライラに柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、363、432、484、551参照)をあわせて1ヶ月分処方しましたが、10月19日に奥さんが来られ、「やはり、疲れやすいようです。男性更年期かもしれません。」といわれました。
そこで、柴胡桂枝湯を腎虚の六味丸(ろくみがん;症例128、194、412、414、457、613参照)に変えたところ、11月19日に奥さんが来られ、「とっても元気になった。若い時と同じように動ける、といっています。」いわれました。
腎虚の薬は普通は、じわじわしか効かないことが多いですが、こんなに短期間にすごく効いたのはめずらしいです。

漢方がお役に立ててよかったです。

628.片頭痛の漢方治療

次の症例は62歳、女性です。
以前より左側の片頭痛と左耳のふさがった感じがあり、近医で予防薬としてデパケン(抗てんかん薬;脳の神経をしずめる作用により、脳血管の異常な運動(収縮・拡張)がおさえられ、片頭痛が起こりにくくなる。処方対象は、発作頻度が多く日常生活に支障となる場合、トリプタン系など頓用薬の効果が不十分な場合などである。予防的に定期服用することで、発作回数の減少、前駆症状の軽減、また発作治療薬の減量がはかれる。)と頓服にアマージ(トリプタン;拡張した血管と興奮状態の三叉神経終末に対してセロトニンと同じ作用をし、血管を収縮させると同時に三叉神経を鎮静化させ頭痛を治す)をもらわれています。
しかし、あまりよくならないため、平成27年6月24日、漢方治療を目的に姫路市より受診されました。
身長160cm、体重58kg、BMI22.7。
他の症状として、胃がもたれる・口の中が苦い・顔や足がむくむ・耳鳴り・手足が冷える・寝つきが悪いなどがあります。
この方の舌を見ると、白い苔がつき、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)
加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、510、618参照)呉茱萸湯(ごしゅゆとう;症例51、169、199、213、261、288、293、304、388、400、450参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、7月29日に来られ、「冷えはましになったが、頭痛はあまり変わりません。」といわれました。
さらに続けたところ、9月4日に当院へ来られ、「耳の症状はとれましたが、片頭痛は続きます。」といわれました。さらに続けたところ、10月28日に来られ、「やはり頭痛が治りません。」といわれましたので、呉茱萸湯をあきらめ五苓散(ごれいさん;症例196参照)に切り替えたところ、12月2日に来られ、「痛み止めを使う量が半分くらいになりました。」といわれました。さらに続けると、平成28年1月8日に来られ、「片頭痛がとても楽になりました。痛み止めもほとんどいらなくなりました。」といわれました。
2月15日には、「片頭痛は1回だけ起こっただけです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

629.電車に乗るのが怖いの漢方治療

次の症例は43歳、女性です。
神戸の漢方クリニックに通院(薬は補中益気湯・当帰芍薬散・小半夏加茯苓湯)されていましたが、閉所恐怖症から電車に乗ると呼吸が乱れて乗るのが怖くなったため通院が難しくなり、平成28年8月20日たつの市より受診されました。
身長150cm、体重42kg、BMI18.7。
他の症状として、小走りで呼吸が苦しくなる・吐き気・薬で胃があれやすい・夜間尿・のどがかわく・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・のぼせる・動悸がする・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・手足の冷え・手足のしびれ・気分が沈む・生理不順・生理痛が強いなどがありました。
この方の舌を見ると、白い苔がつき、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)
六君子湯(りっくんしとう;症例97参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例141参照)を合わせて1ヶ月分処方しましたが、10月8日に来られた時には、あまり変化ありませんでした。さらに続けたところ、11月9日には、「体調はまずまずです。」といわれました。さらに続けたところ12月17日には、「体調がとてもよく、呼吸もしやすくなり、いろんなことにも悩まなくなりました。」と明るい顔でいわれました。
車や電車なのど乗り物に乗るのが怖い人(症例318、399、543、572参照)には、加味逍遥散がよく効くようです。

漢方がお役に立ててよかったです。

630.ふらつき・口の中が苦く舌先がしびれるの漢方治療

次の症例は79歳、女性です。
一ヶ月ぐらい前より、ふらつき(めまい止め内服中)・口の中が苦く舌先がしびれるなどがあり、平成28年11月12日、漢方治療を目的に神崎郡より受診されました。
身長160cm、体重53kg、BMI20.7。
この方の舌を見ると、舌をはぶらしで、ゴシゴシこすっているためか、舌質は赤く舌苔は少なくテカテカしていました(腎陰虚)。
他の症状として、快便感がない・腹がはる・汗をかきやすい・のどがかわく・頭痛・肩こり・疲れやすい・動悸がする・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・腰痛・夜中に目がさめる・いやな夢をみて眠りが浅いなどがありました。
桂枝人参湯(けいしにんじんとう;症例420、576参照)と口・舌の乾燥、めまい、耳鳴り、不眠は腎陰虚の症状と考え、八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、12月10日に来られ、「舌の調子はよくなりましたが、まだ舌先が少しピリピリする時があります。めまいやふらつきはよくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

631.小児の便秘の漢方治療

次の症例は4歳6ヶ月、男児です。
「便秘を治したい。」と、平成28年7月23日、漢方治療を目的に受診されました。
身長107cm、体重20kg。
便は、4~5日に1回で、硬くまとめてどさっと出る感じだそうです。
また、鼻血をよく出すそうです。
舌診では特に異常を認めず、 腹診では腹直筋緊張(;症例279参照)を認めました。
まさに、症例26の便秘バージョンですので、小建中湯(しょうけんちゅうとう)を開始したところ、8月18日に来られ、「鼻血は出なくなりました。便は3日に1回出るようになりました。」といわれました。9月13日に来られた時には、「2日に1度になりました。」といわれました。そのまま続けて、12月15日に来られた時には、「ずっといいうんちが出ています。」と大変よろこんでいただきました。
小児の便秘については、症例190、192、279も参照下さい。

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632.酒皶(しゅさ)の漢方治療

次の症例は41歳、女性です。
平成27年5月より、顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを伴い、2か所皮膚科を受診されたそうです。1番目の皮膚科では、ステロイド軟こうを出されましたが改善せず、2番目の皮膚科では、ビタミン剤+プロトピック軟膏(皮膚の赤みや腫れをおさえる塗り薬です。アトピー性皮膚炎の治療に用います)を処方されましたが、やはりよくならず、平成28年4月に酒皶と診断され、「漢方が効く人もいる。」とそのドクターから聞き、平成28年7月12日、インターネットで当院を調べたつの市から受診されました。
他の症状として、胃がもたれる・胸やけ・頻尿・頭痛・肩こり・立ちくらみ・手足の冷え・夜中に目が覚める・生理不順・生理痛が強いなどがありました。
身長157.0cm、体重49kg、BMI19.9。
この方の舌を見ると、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
温清飲(うんせいいん;症例605参照)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)を合わせて続けたところ、最初の2ヶ月ぐらいはあまり変化ありませんでしたが、4ヶ月目ぐらいから目に見えてきれいになり、12月16日に来られた時には、ほぼ正常になられ、「とっても皮膚の調子がいいです。また生理痛もとてもよくなりました。」といわれました。
酒皶(しゅさ)については、症例605も参照下さい。

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633.パニック障害の漢方治療

次の症例は42歳、女性です。
3年前より、パニック障害(パニック発作といわれる、急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする病気;症例165参照)を発症、特別な原因やきっかけなしに急性に発症し、発作を繰り返すため、心療内科でカウンセリングなどをうけられましたが改善せず、平成28年9月17日姫路市より知人の紹介で受診されました。
身長172cm、体重67kg、BMI22.6。
他の症状として、便秘(週1回程度)・快便感がない・腹がはる・みぞおちが痞える・足や顔がむくむ・頭痛・肩こり・肌荒れ・疲れやすい・イライラする・動悸がする・めまい・手足の冷え・腰痛・気分が沈むなどがあります。
六君子湯(りっくんしとう)加味逍遥散(かみしょうようさん)を合わせて1ヶ月分処方しましたが、10月15日に来られた時には、便秘・肩こり・頭痛・胸やけ・げっぷなどがあり、体調がよくなりませんでしたので、桃核承気湯(とうかくじょうきとう;症例499参照)茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594、599、602、603、626参照)に変更したところ、11月19日に来られ、「初日に便が1日5回も出て、そこから快便が続きました(最近はまた出ない日もある)。朝が起きやすくなり、気分が落ち込まなくなりました。」といわれました。12月21日には、「便通や胃の調子もよく、胃薬が必要なくなりました。」といわれました。

症例499にも記載していますが、師匠の下田先生は、「桃核承気湯、桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯などの薬味の少ない薬は、合っているか合っていないかが一服で分かります。合っていなければ一服でも具合が悪くなります。合っていれば一服でまず症状が楽になってきます。一服か二服飲ませて、患者さんが、「この薬はいやだな。」と言ったら、自分の診断が間違っていると理解してかまいません。合っていれば本当にすぐ楽になってきます。そんなに時間のかかる処方ではありません。」といわれています。確かにこの方も初日に大量の排便があり、調子よくなられています。

漢方がお役に立ててよかったです。

パニック障害については、症例177も参照下さい。

634.股関節痛の漢方治療

次の症例は59歳、女性です。
かなり以前より、股関節の痛みがあり、鎮痛剤のロキソニンを飲んでいるそうですが、夜間によく痛みよくならないため、平成28年11月24日姫路市より知人の紹介で受診されました。
他の症状として、吐き気・耳鳴り・めまいなどがあります。
腰冷痛、腰股攣急(症例36参照)によく効く五積散(ごしゃくさん;症例36、37、180、216、225、226、232、247、251参照)に膝の痛みに使う防已黄耆湯(ぼういおうぎとう;症例76参照)と、体を温め、痛みをとるブシ末を合わせて一か月分処方したところ、12月21日に来られ、「1日飲んだら、夜ぐっすりと眠れるようになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

635.夜勤明けの下痢の漢方治療

次の症例は30歳、男性です。
普段より下痢気味ですが、特に夜勤明けはひどくなるそうです。
それとともに、きりっと、お腹もいたむ(発作的に起こる疝痛(せんつう;さし込むような痛み)そうです。
腹鳴や冷えは感じないそうです。
平成28年11月3日、姫路市より知人の紹介で受診されました。
身長169cm、体重90kg、BMI31.5と肥満を認めます。
他の症状として、顔がむくむ・肩こり・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・腰痛・気分が沈むなどがあります。
この方の舌を見ると、白い苔がつき、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。
啓脾湯(けいひとう;症例240、364、398、401、454参照)と強壮・強精作用のあるコウジン末(症例449参照)を合わせてコウジン末(症例449参照)を合わせてを一ヶ月分処方したところ、12月27日に家族の方が来られ、「下痢もなく、きりっとした痛みもなくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

636.社会不安障害の漢方治療

次の症例は35歳、女性です。
7年前より、緊張が強く、動悸がしたり、顔が赤くなったり、言葉が出なくなったりなどの症状があり、心療内科で社会不安障害と診断され、デプロメール(選択的セロトニン再取込阻害薬;セロトニンを増やすことで抗うつ効果を発揮する抗うつ剤。強迫性障害や社会不安障害での適応もある)50mg錠を1日2回とデパス(抗不安薬)を頓服で処方されています。
「結婚を控えているため、これらの薬をやめたい。」と、平成28年8月4日大阪市より受診されました。
身長162cm、体重48kg、BMI18.3とやせを認めます。
他の症状として、口内炎ができやすい・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、510、618参照)を処方したところ、8月4日に来られ、「緊張すると、おなかが痛み、下痢をします。」といわれましたので、人参湯(にんじんとう;症例8、110、437参照)と体を温める、ブシ末を追加したところ、9月16日に来られ、「冷えがましになってきました。」といわれました。さらに続けたところ、11月22日には、「調子いいです。冷えもなく下痢もまったくありません。」といわれました。平成29年1月6日には、「デプロメールは飲んでいません。とても調子いいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

637.不安感・動悸の漢方治療

次の症例は43歳、女性です。
2週間前より、不安感(仕事中がひどい)・動悸・立ちくらみなどがあり、平成28年6月9日、知人の紹介で受診されました。
他の症状として、胃がもたれる・胸やけ・口内炎ができやすい・食欲不振・汗をかかない・頭痛・体がだるい・疲れやすい・いらいらする・のぼせる・めまい・手足の冷え・腰痛・気分が沈む・夜中に目が覚める・いやな夢をみる・ねむりが浅い・生理不順・出血量が多く、だらだら出血する・生理痛が強いなどがありました。
身長160cm、体重60kg、BMI23.4。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、白苔と歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591参照)加味逍遥散を合わせて処方したところ、7月7日に来られ、「だいぶ楽です。」といわれました。
そのまま続けましたが、9月1日には、「調子よかったが、1週間前より、毎日動悸とめまいがするようになりました。」といわれましたので、頓服で苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例478参照)を追加したところ、10月6日には、「動悸とめまいの回数は減ってきました。時々胃がむかむかします。」といわれました。11月10日には、「今回は特に問題ありませんでした。」といわれました。しかし、11月22日にまた来られ、「気分が落ち込み、涙がぽろぽろ出ます。夜が眠れず、途中で何回も目がさめます。」といわれましので、気うつに使う半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう;症例64、102、103、373、591、615参照)を眠前に追加したところ、12月15日に来られ、「気分の落ち込みがましになり、不安感やソワソワが気にならなくなりました。ただまだねつきは悪いです。」といわれました。
さらに続けたところ、平成29年1月12日には、「特に問題ありません。半夏厚朴湯を飲むと夜がよく眠れるようになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

638.下半身の冷えと喘息性気管支炎の漢方治療

次の症例は58歳、女性です。
足が冷えるため、夜は靴下を3枚はいて、カイロを使っているそうです。また、3ヶ月前から大きく息を吸ったら咳が出て(痰がからむ)、近医で喘息性気管支炎と診断されて、「最終的にアドエアでましにはなっているが、いまいち。」の状態だそうで、平成28年6月15日姫路市より受診されました。
他の症状として、のどが痞える・口がかわく・頭痛・肩こり・疲れやすい・こむらがえりなどがあります。
身長159cm、体重58kg、BMI22.9。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、白苔と歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542、550、555、558、565、577、585、594、599、602、603、626参照)九味檳榔湯(くみびんろうとう;症例150、345、346、348、349、406、422、476、581参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、7月12日に来られ、「体が温まってきました。散歩の後、顔に発汗するようになりました。こむらがえりも治りました。」といわれました。しかし、咳や痰は改善しないため、九味檳榔湯を加味逍遥散(かみしょうようさん)に変えたところ、9月1日に来られ、「咳がましになってきました。今まで疲れやすくて、すぐに椅子に腰かけたかったのが、1日一万歩も歩けるようになりました。」といわれました。11月1日には、「調子いいです。ただ午前中に痰がのどにある感じがとれません。」といわれましたので、滋陰至宝湯(じいんしほうとう;症例280、494参照) を眠前に追加したところ、12月6日には、「咳や痰は気にならなくなりました。夜、靴下やカイロを使わなくても足はあたたかいです。」といわれました。

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639.蕁麻疹の漢方治療

次の症例は42歳、女性です。
平成28年4月に石川県より引っ越しされてきてから、蕁麻疹がよく出るようになったそうです。アレグラを処方され、それを飲むとでないそうです。
その他にも体調が悪いため、平成28年10月12日漢方治療を求め姫路市から来院されました。
他の症状として、下痢・快便感がない・腹がはる・のどが痞える・頻尿・残尿感・夜間尿・手足や顔がむくむ・指がはれてこわばる(リウマチではないといわれた)・汗をかきやすい・体がだるい・疲れやすい・いらいらする・立ちくらみ・手足の冷え・おなかの冷え・手足のしびれ・気分が沈む・夜中に目が覚める・いやな夢をみる・ねむりが浅いなどがあります。
身長165cm、体重66kg、BMI24.2。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また、両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591参照)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう);症例107、165、306、578参照)と体を温めるブシ末を合わせて1ヶ月分だしたところ(アレグラも併用)、11月7日に来られ、「すごく体調がよくなり、朝が起きれるようになりました。下痢もなくなりました。」といわれましたのでそのままつづけましたが、やはりアレグラがないと蕁麻疹が出るため、12月9日から、十味敗毒湯をむくみ(水毒)体質による蕁麻疹(症例9参照)に使う、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん;症例9、13、120、305参照)に変えたところ、平成29年1月26日に来られ、「アレグラを飲まなくても全く出なくなりました。」といわれました。

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640.冷え症の漢方治療

次の症例は74歳、女性です。
「いつも寒くて、特に足が冷えています。」「朝は下半身がぞくぞくして、ブルブルふるえています。」といわれ、知人の紹介で、平成28年11月28日漢方治療を求めたつの市から来院されました。
他の症状として、便秘・腹痛・薬で胃があれやすい・食欲不振・頻尿・夜間尿・足がむくむ・汗をかきやすい・鼻水・疲れやすい・気分が沈む・ねつきが悪い・夜中に目が覚める・ねむりが浅いなどがあります。
身長155cm、体重47.6kg、BMI19.8。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また、両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543、552、553、554、557、562、566、568、570、571、572、575、579、591参照)と腎虚に使う牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47、222、223、252、253参照)と体を温めるブシ末を合わせて1ヶ月分だしたところ、12月21日に来られ、「冷えがましになりましました。ただ腹痛が時々起ります。」といわれましたので、採血検査を行いましたが、とくに異常はありませんでした(胃や大腸の検査はすでに受けられていますが、異常なしといわれています)。また不眠は続いていましたので、酸棗仁湯(さんそうにんとう;症例623参照)を眠前に合わせてそのまま続けたところ、平成29年1月23日に来られ、「食欲もあり、冷えもよく、不眠もありません。」といわれました。

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641.頭痛の漢方治療

本日、2月2日は、「頭痛の日」だそうです。
2001年に頭痛薬も販売しているジョンソン・エンド・ジョンソンが「ず(2)つう(2)」の語呂合わせから制定しました。
ちなみに日本頭痛協会では2月22日を「頭痛の日」と制定しています。
それにちなみ、頭痛の症例を載せます。
次の症例は38歳女性です。
2週間前より、頭痛・肩こり・手足が冷える・足がむくむ・めまい・耳が重いなどの症状があり、平成28年12月13日漢方治療を求め来院されました。
他の症状として、吐き気・頻尿・しもやけ・鼻水・体がだるい・疲れやすい・腰痛・手足のしびれ(朝方)などがあります。
身長158.5cm、体重44kg、BMI17.5とやせを認めます。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477参照)当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう;症例92参照)と体を温めるブシ末を合わせて1ヶ月分だしたところ、12月26日に来られ、「すぐに肩は楽になりましたが、頭痛が続くんです。」といわれましたので、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を呉茱萸湯(ごしゅゆとう;症例51、169、199、213、261、288、293、304、388、400、450、513、608、611参照)に変えたところ、平成29年1月23日に来られ、「頭痛が週1回くらいになり、それも今まで半日くらい寝込まないといけなかったのが、2時間ほど横になるとすぐにとれるようになりました。薬をやめるのが怖いくらいです。」と笑顔でいわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

642.おねしょの漢方治療

症例は10歳3ヶ月、女児です。
ほとんど毎日おねしょをするため、平成28年12月28日漢方治療を求めて来院されました。
身長134cm、体重28kg。
他の症状として、手足が冷えてしもやけができます。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
苓姜朮甘湯(りょう きょうじゅつかんとう;症例41参照) と、しもやけに使う当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう;症例92参照)を合わせて一ヶ月分処方しました。 平成29年月2日10日に来られた時には、お母さんが、「おねしょが2週に1回くらいに減りました。」と、大変喜んでいただきました。ただ、「しもやけは治ったりできたりです。」といわれました。さらに続けたところ、3日31日には、お母さんが、「おねしょは、月に1回しただけです。しもやけは治っています。」といわれました。

苓姜朮甘湯は、手足や腰が冷えるタイプのおねしょによく使います。

漢方がお役に立ててよかったです。

643.体調不良の漢方治療

症例は75歳女性です。
夏が暑かったうえに、ジムの筋トレや仕事で外をよく歩かなければならなかったりで、かなり疲れがたまっていたそうです。
平成28年9月24日、振り返った時、ファーとし、前頭部痛もあったため、耳鼻科を受診されましたが、「特に異常なし。」といわれ、セロクラール(血管を拡張し、脳の機能を回復させたり、血圧を下げる作用のある薬で、脳梗塞後遺症、脳出血後遺症に伴うめまいの治療に用いられる)を処方されたそうです。
しかし、症状が続くため、知人の紹介で平成28年10月26日、漢方治療を求め姫路市から来院されました。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また、両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
また、舌の色は紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477参照)とめまいに苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例20、478参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、11月18日に来られ、「めまいはよくなりましたが、11月18日、信号待ちをしていた時に、車に追突され、軽いむちうちになった。」とのことでしたので、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう;症例227、228、262、268、355、413参照)を2週間分追加しました。
12月21日には、「体調がいいです。」といわれましたが、平成29年1月6日には、「事故後、気分がうつうつします。」といわれましたので、気うつに使う半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう;症例64、373参照)を眠前に1包追加したところ、1月25日には、「ブルーで辛かったのが、少しずつましになっています。」といわれました。
2月15日には、「薬がよく効いて、すっかりよくなりました。」と大変喜んでいただきました。

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644.原因不明の発熱(気虚発熱(7))の漢方治療

症例15、166、267、285、321、608に続いて気虚発熱(症例15参照)の症例を載せます。
症例は12歳、男性です。
5ヶ月間37℃から37.5℃の微熱が続き、近医で採血検査や心電図等の検査を受けましたが、「特に異常なし。」といわれています。
体調不良が続き、学校にも行けないため、平成28年11月17日、漢方治療を求め姫路市から来院されました。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
他の症状として、吐き気・腹痛・のどが痞える・汗をかきやすい・頭痛・肩こり・鼻づまり・体がだるい・疲れやすい・風邪が治りにくい・イライラする・耳鳴り・立ちくらみ・手足の冷え・ねつきが悪い・夜中に目が覚める・いやな夢をみるなどがあります。また、幼少時は毎日のように夜鼻血を出していたそうです。
身長156cm、体重53.0kg、BMI21.8。
小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)を1ヶ月分だしたところ、12月2日に来られ、「半分くらい学校に行けています。」といわれました。さらに1ヶ月分だしたところ、平成29年1月17日に来られ、「熱も出ず調子いいです。学校も塾も行けるようになりました。」といわれました。
2月14日には、「無理をすると頭痛・吐き気のするときもありますが、長引かなくなりました。学校も塾も休んでません。」といわれました。

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645.残尿感の漢方治療

症例は68歳女性です。
約一ヶ月前より、残尿感がひどくなり、内科と泌尿器科を受診されましたが、「検尿も含め、異常なし。」といわれ、内科でトビエース(過活動膀胱治療剤)・タケキャブ(胃薬)・マグミット(下剤)・ユーロジン(睡眠薬)・そして漢方薬の猪苓湯を処方されましたが全くよくならず、知人の紹介で平成29年2月1日、漢方治療を求め佐用町から来院されました。
他の症状として、便秘・胸やけ・胃がもたれる・食欲不振・頻尿・口がかわく・口が苦い・手足の冷え・腰痛・ねつきが悪い・ねむりが浅いなどがあります。
身長160cm、体重47.0kg、BMI21.8。
この方の舌を見ると、辺縁が分厚く赤く(この赤みは肝の熱を表しています)、中央に白色の苔を認め、「気滞」と考えられました。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん;症例79、99参照)八味地黄丸(はちみじおうがん;症例216参照)を1ヶ月分だしたところ、2月24日に来られ、「1週間ぐらいはあまり変わりありませんでしたが、今までの薬にないくらいの効果が出ています。便通もいいですし、冷えもましです。」と大変喜んでいただきました。
さらに、3月24日に来られたときには、「夜もよく眠れますし、食欲も増し(今までお腹が空くことがなかったそうです)、それとともに口渇もなくなりました。薬が効くものやというのが初めてわかりました。」といわれました。
さらに、5月31日に来られたときには、「便秘がよくなりました。太い便が出るようになりました。」といわれました。

前医では、西洋薬に加え、漢方の猪苓湯まで出ておりましたが、膀胱炎症状=猪苓湯と考えられたのでしょうが、症例99に記載したように、猪苓湯は漢方でいう実証(体力が充実していること)タイプに適しています。この方はどう見ても、実証ではなく体力が弱い虚証(体力が虚弱なこと)タイプで、清心蓮子飲を選択すべきです。
この方は胃腸が弱く、胃腸虚弱を改善する四君子湯がベースとなった清心蓮子飲はまさにぴったりだと思います。
また、頻尿や残尿感など膀胱炎様の症状があって、かつメンタル面で不安を抱えていたり、イライラが続いて不眠につながっているような場合にも、本剤は使用され、本症例はその意味でもぴったりです。

八味地黄丸はいらなかったかもしれませんでしたが、「便秘(清心蓮子飲は下痢の人が多い)や冷えを更によくしてくれれば」と考え足しました。

なお、前医では薬が5種類出ていましたが、体調は悪いままでした。しかし、漢方をきちんと処方すれば、たった2剤で、それもわずか3週間で体調をよくできました。漢方が医療費削減(トビエースだけで1日薬価190.9円、今回使用した漢方は2剤で153円)にも役立つ証明のような症例でした。

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646.おねしょの漢方治療

症例は7歳10ヶ月、女児です。
週に3回はおねしょをするため、平成29年1月14日漢方治療を求めてたつの市から来院されました。
身長127.9cm、体重30kg。
舌は特に異常ありませんでした。
暑がり以外に特徴のある症状や所見がありませんでしたので、六味丸(ろくみがん;症例128、194、412、414、457、613参照)を1ヶ月分だしたところ、3月4日に来られ、「おねしょが週1回くらいになりました。しかし、薬が切れて1週間ぐらいするとまた元へもどりました。」といわれましたので、薬が効いているのは間違いないようです。

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六味丸が著効した夜尿症の兄弟例(日東医誌 Vol.60 No6 635-639,2009)
を読むと、「この兄弟は、夜尿以外には大きな異常はなく、腎虚を疑わせる所見はなかった。しかし、この父親にも小児期に夜尿の既往があり、12歳まで続いた。そのため、先天の気(腎気)の問題が疑われた。」とあった。
次回来院されるまでに、両親の夜尿の既往を聞く必要がありそうです。

六味丸には、腎機能を高める働きがあります。腎機能が高まる事で、尿のトラブルを解消することができます。

 

647.小児の便秘の漢方治療

症例は3歳1ヶ月、男児です。
便秘がひどく、4~7日に一回浣腸で出しているそうです。
平成29年2月18日、漢方治療を求め来院されました。
口唇がカサカサ・身長が低い・顔の血色が優れない・体がだるい・神経質などがあり、小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)を2週間分処方したところ、3月4日に来られ、「3日に1回、自分の力で排便できるようになりました。」とお母さんがいわれました。
5月30日に来られた時には、「2日に1回、自分でトイレに行って排便できています。身長も2cm伸びました。野菜嫌いだったのが、食べれるようになりました。」とお母さんがいわれました。
このまま続けていく予定です。

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小児の便秘については、症例190、192、279、631も参照下さい。
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648.起立性調節障害の漢方治療

症例は15歳男性です。
平成27年夏頃より朝に起きられない・立ちくらみ・全身倦怠感などの種々の体調不良があり、姫路市の総合病院小児科を受診したところ、起立性調節障害と診断され、加療の結果、一時的に改善されていました。しかし、平成28年6月から再び強い立ちくらみと頭痛が出現し、近くの小児科を受診、体位性頻脈症候群との診断で、メトリジン(血管にある交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げる)を処方されましたが、症状の軽減が見られず、頭痛に対しては、インデラル(高血圧・狭心症・不整脈・片頭痛治療剤)の処方で軽快されましたが、立ちくらみは続き、朝は10時から昼前にならないと起きれないため、リズミック(交感神経を刺激して、心臓が1回の収縮で送り出す血液の量を増やし、血圧を上昇させる薬。本態性低血圧症、症候性低 血圧症、起立性低血圧症の治療に使う)・ジヒデルゴット(起立性低血圧や、片頭痛の症状を改善する薬)・漢方の半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう;症例51参照)苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例20参照)を処方されましたが、効果ないため平成28年12月28日、その小児科の先生から当院を紹介され受診されました。
紹介状には、「受験を前にして、成績は群を抜くも、体力がないなどの理由で第一志望校は断念。今はただ生活リズムを保つことと体力保持のための運動を指示しています。」とありました。
身長174cm、体重53.0kg、BMI17.5とやせを認めます。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
体力をアップする補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511、512、551、583、604、625参照)半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう;症例51参照)と強壮・強精作用のあるコウジン末(;症例449参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、平成29年1月27日に来られ、「朝が起きやすくなりました(7時半から8時くらいに起床)。頭痛はたまにあるくらいです。」といわれ、さらに続けたところ2月25日に来られ、「学校に行けてます。頭痛はありません。」といわれました。

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649.トリコチロマニア(自己抜毛症) の漢方治療

トリコチロマニアとは、頭髪や眉毛、まつ毛などの正常な毛を自分で習慣的に抜くことによって引き起こされる脱毛症で「自己抜毛症」や「抜毛癖」などとも呼ばれています。
症例は13歳女性です。
夏頃から塾に通うようになったそうですが、結構スパルタで、9月頃より、無意識に髪の毛を抜くようになったそうです。
塾をやめましたが、その後も続いたそうです。
平成28年12月12日、姫路市から漢方治療を求めて来院されました。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
他の症状として、頭痛・にきび・イライラする・耳鳴り・立ちくらみ・気分が沈む・いやな夢をみる・生理痛が強く、量が多い・冷えは感じないが、体温は35℃代と低いなどがあります。
身長137.5cm、体重43kg。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489、512、548、555参照)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518、531、552、566、567、575、600、608)を合わせて一ヶ月分処方したところ、平成29年1月7日に来られ、「生理が来ましたが、楽でした。自己抜毛は少しましかなぁ。」といわれました。2月6日には、「生理は量も減りました。しかし、2、3日前よりイライラが強く、また抜いています。」とお母さんがいわれましたので、抑肝散加陳皮半夏をツムラ製1日2回からクラシエ製に変えた(クラシエ製は1日3回分を2回にした製剤)ところ、つまり投与量を増やしたところ、2月6日には、「毛を全く抜かなくなりました。」といわれました。

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トリコチロマニア(自己抜毛症)
については、こちらをクリック画像の説明ヘアケアナビ

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650.典型的な釣藤散の症例

次の症例は40歳、女性です。
平成28年12月25日から、血圧が高め(150代/90mmHg後半)になり、頭痛、肩こり、めまい(ふわふわする感じ)などがあり近くの内科を受診したところ、メリスロン(嘔吐中枢にはたらきかけて吐き気・嘔吐を鎮めるほか、内耳へ伝わる刺激を抑えて、めまいを止める薬)、ロキソニン(消炎鎮痛剤)、ムコスタ(胃薬)、メチコバール(ビタミンB12製剤。自律神経失調症の症状を緩和し、自律神経の乱れが原因のめまいや耳鳴りの治療に使用される)、ミオナール(筋肉の緊張をやわらげ、痛みに効く薬)を8日分処方されましたが、体調不良が続くため、平成29年1月5日平、たつの市から漢方治療を求めて来院されました。
身長143cm、体重60kg、BMI29.3と肥満を認めます。
舌は大きな異常はありませんでした。
他の症状として、吐き気・汗をかきやすい・肩こり・イライラする・のぼせる・目が充血する・耳鳴り・手足のしびれなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
釣藤散(ちょうとうさん;症例60、132、274、324、445、451、561参照)を1日2回処方したところ、1月23日かぜをひき来院され、「ふわふわがなくなりました。」といわれました。さらに続けたところ、3月8日に来られ、「とても体調がよくなりました。このまま続けていきたいです。」といわれました。
血圧も124/72mmHgに下がっておりました。

漢方がお役に立ててよかったです。

なお、前医では薬が5種類出ていました。
さしずめ、
めまい⇒メリスロン
頭痛⇒ロキソニン
めまい・耳鳴り・手足のしびれ⇒メチコバール
頭痛・肩こり⇒ミオナール
に処方されたのでしょうが体調は悪いままでした。しかし、漢方をきちんと処方すれば、たった1剤で体調をよくできました。
症例645と同様、本症例も漢方が医療費削減にも役立つ証明のような症例でした。

釣藤散については、こちらをクリック画像の説明漢方セラピー