当院の漢方著効例11

 

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501.風邪をひきやすいの漢方治療

次の症例は35歳、女性です。
風邪をひきやすい(出産後の半年間に4回ひいたそうです)ため、体質改善のため、平成27年5月27日、漢方治療を目的にたつの市より受診されました。
身長150cm、体重45kg、BMI20.0。
いつものどの痛みから始まり、鼻水・鼻閉になり、その後副鼻腔炎を起こすそうです。
他の症状として、下痢しやすい・薬で胃が荒れやすい・食欲不振・肩こり・手足があれる・体がだるい・疲れやすい・手足の冷え・眠りが浅い・生理痛が強い・出血量が多いなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496参照)を処方したところ、6月24日に来られ、「一度もかぜをひきませんでした。」といわれました。次に8月18日と10月13日に来られましたが、やはりかぜはひかなかったそうです。

漢方がお役に立ててよかったです。

風邪をひきやすい状態は、漢方では体表の防衛力が弱っている状態と考えます。つまり、漢方でいう「気虚」(ききょ)体質が多いです。
西洋医学的には免疫力が弱いということです。

「気虚」を改善する補気剤は、風邪を引きにくくする体質改善薬として知られています。
健康な時に漢方薬を服用することで、免疫力を高めることができます。

502.不眠の漢方治療(短期間でデパスをやめれた症例)

次の症例は60歳、女性です。
7年前より不眠症(寝つきが悪く、夜中によく目が覚める)があり、近医でデパス(抗不安薬)1㎎を処方されています。
知人の紹介で、平成27年10月3日、漢方治療を目的に上郡町より受診されました。
身長150cm、体重44kg、BMI19.6とやせ気味です。
他の症状として、便秘・汗をかきやすい・頭痛・肩こり・イライラする・めまい・耳鳴り・のぼせやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
加味逍遥散(かみしょうようさん);症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496参照)甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう;症例61、168、434、460、461、500参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、2週間目の10月24日に来られ、「よく眠れるようになり、3日間でデパスをやめることができました。また頭痛や便秘も改善しました。お礼を早く言いたくて今日来ました。」といわれました。
デパスを飲まなかった3日間はかなりふらふらしたそうです。

漢方がお役に立ててよかったです。

デパスについては、こちらをクリック画像の説明デパスの依存性とその強さ

503.のどのつまり・腹部膨満感の漢方治療

次の症例は28歳、女性です。
一か月前より、のどのつまり・腹部膨満感が出現し、平成27年6月3日、漢方治療を目的にたつの市より受診されました。
身長163cm、体重43kg、BMI16.2とやせを認めます。
他の症状も多彩で、食欲不振・口が乾く・肩こり・体がだるい・疲れやすい・めまい・立ちくらみ・夜中にめがさめる・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
気虚+気滞と診断し、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、461、472参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、7月22日に来られ、「だいぶましになりました。食欲もアップし、夜もよく眠れるようになっています。」といわれました。
9月26日には、「2週間前より、のどのつまりがよくなりました。立ちくらみがあります。」といわれました。
10月23日には、「だるさ、疲れやすさも改善し、めまい・立ちくらみもよくなりました。」といわれました。
11月17日には、「おなかはまだ少し張りますが、それ以外は大丈夫です。」といわれました。
しかし、12月19日には、「手がふるえ、夜が眠れません。手足に何か力が入らない感じです。」といわれましたので、寝る前に抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144、479参照)を追加したところ、平成28年1月23日に来られた時には、「手足のふるえは止まり、前よりよく寝れるようになりました。おなかも調子いいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

504.腎虚の漢方治療

次の症例は64歳、男性です。
3年前より、夜間頻尿(3~4回)と両耳の耳鳴りが出現、半年前より、左足のしびれで、脊柱管狭窄症の診断を受け、2ヶ月前より咳がよく出るようになっています(腎咳;症例161参照)。
7ヶ月前よりのどのつまりもあります。
平成27年10月2日、漢方治療を目的に赤穂市より受診されました。
身長166cm、体重68kg、BMI24.7。
他の症状として、腹が鳴る・胸がつかえる・手足の冷え・汗をかきやすい・インポテンツなどがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))をはっきりと認め、腎虚(症例42参照)と考えられました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、461、472、503参照)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、10月27日に来られ、「咳、のどのつまりはよくなり、夜間尿も2回に減りました。耳鳴りも右が消えました。」と大変喜んでいただきました。
次に11月25日に来られ、「夜間尿も1-2回に減りました。足が冷えると部分的に真っ白になっていました(レイノー現象)が、今はそれも治りました。インポテンツもよくなりました。」といわれました。
今後どんどん症状がよくなると思われます。

漢方がお役に立ててよかったです。

505.片頭痛の漢方治療

次の症例は34歳、女性です。
2人目を出産後より、頭痛が出現し、脳外科で片頭痛と診断されロキソニンの処方をうけました。
当院通院中の方の紹介で、平成27年8月18日、漢方治療を目的に岡山市より受診されました。
身長160cm、体重60kg、BMI23.7。
他の症状として、肩こり・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・鼻づまり・鼻水・手足が冷える・生理痛が強い・めまい・立ちくらみ・腰痛などがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502)と、呉茱萸湯(ごしゅゆとう;症例51、169、199、213、261、288、293、304、388、400、450参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて2ヶ月分だしたところ、10月21日に当院へ来られ、「頭痛だけでなく、生理痛もよくなりました。」とと大変喜んでいただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。


呉茱萸湯について

本剤の使用目標としては発作性にくる嘔気や嘔吐がある激しい頭痛に用いられ、特に片頭痛に頻用されます。
また、発作の起こる時に痛む側のうなじから耳たぶの後ろにかけて凝るといった場合にも有効です。
発作の時にみぞおちの辺りの膨満感があり、「胃がつまったようだ」と訴える場合が多いタイプや、足がひどく冷えるタイプにも本剤を用いる目標になります。
またこのような頭痛を抱えている人の中には、「じっと安静にしていられず、起きたり寝たりして苦悶する」傾向がある人もいます。
本剤は、従来片頭痛に頻用されていましたが、肩こりのみで頭痛がない例にも有効です。
また、生理痛がひどい月経困難症にも頓服で鎮静剤のように用いることもあり、特に本症例のように、生理痛と頭痛が同時にある人には有効です。

呉茱萸という生薬は、体を温める作用や鎮痛作用などあり、冷え症状や血行障害、頭痛や腹痛や生理痛にも良いとされています。

506.自閉症の漢方治療

次の症例は4歳4ヶ月、男児です。
自閉症のため、平成27年5月18日、東京都調布市の飯田医院を受診し、大柴胡湯(だいさことう)2.5g柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)2.5g を分2で一ヶ月分処方され、以後遠方のため当院で処方を続けるように、紹介状をいただいた方です。
多動があり、コミュニケーション力がないそうです。
6月16日に来られた時には、「便秘でしたが、毎日出るようになりました。それ以外は変化ありません。」といわれました。
また、「漢方薬は、お湯に溶いて飲めません。」ともいわれました。
7月14日に来られた時には、「鍵盤ハーモニカが吹けるようになりました。また、お湯に溶いて薬が飲めるようになりました。」といわれました。
8月11日に来られた時には、「お泊り保育にいけるようになりました。」といわれました。
9月9日に来られた時には、「かぜを引かなくなりました。」といわれました。
10月9日に来られた時には、「今、運動会の練習中ですが、毎日楽しみ
に登校しています。」といわれました。

今後も経過を綴っていきますが、とても順調のようです。

漢方おそるべしです。

飯田医院については、こちらをクリック画像の説明飯田医院

また、こちらも参照ください画像の説明中川信子そらとも広場

また、飯田先生の著書はこちら
自閉症は漢方でよくなる! (健康ライブラリー) 単行本(ソフトカバー) – 2010/10/21
飯田 誠 (著)

507.円形脱毛症の漢方治療(1)

次の症例は31歳、女性です。
平成27年3月頃より、左額の上部に直径約4cmの円形脱毛症出現し、漢方治療を目的にたつの市より平成27年6月26日受診されました。
身長160cm、体重50kg、BMI19.5とやせ気味です。
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505)桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、451参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、7月28日に当院へ来られ、「まわりにうぶ毛がはえてきました。」といわれました。
その後、来院されるたびに髪が生えてきて、11月6日に当院へ来られた時には、脱毛部分がすっかりわからない程度にまでになっておられました。

円形脱毛症については、こちらをクリック画像の説明漢・方・優・美

508.月経前のイライラの漢方治療

次の症例は31歳、女性です。
月経周期が40日(25日~38日が正常)とやや長く、生理の2週間前からイライラが強く、他院で処方されたソラナックス(抗不安薬)を毎日飲まないといけないそうです。
知人の紹介により、漢方治療を目的に平成27年9月14日受診されました。
身長162cm、体重46kg、BMI17.5とやせを認めます。
他の症状として、胃がもたれる・胸やけ・薬で胃があれやすい・足や顔がむくむ・口が乾く・頭痛・体がだるい・疲れやすい・耳鳴り・手足の冷え・生理痛などがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ)。また紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501参照)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497症例)を合わせて1ヶ月分だしたところ、10月5日に来られ、「手足がぽかぽかしてきました。安定剤を飲まなくてもよくなりました。」といわれました。
11月9日に来られた時には、「生理は40日周期のままですが、安定剤は飲まなくてもだいじょうぶです。胃も丈夫になってきました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

509.抜け毛の漢方治療(3)

症例458、498に続いて抜け毛の症例です。
次の症例は45歳、女性です。
平成27年3月14日に、当院のホームページを見て、漢方治療を求めてたつの市より当院を受診されました。
身長161.0cm、体重60.0kg、BMI23.1。
他の症状として、下痢しやすい・頭痛・肩こり・食後眠くなる・こむら返りがよく起こる・生理不順などがあります。
この方の舌を見ると、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
症例54に書いておりますが、抜け毛は漢方では、「血虚」に該当しますので、「気虚」+「血虚」の改善薬である十全大補湯(じゅうぜんたいほとう;症例69参照)を一ヶ月分処方しました。
4月11日に来られた時には、「寒さをあまり感じなくなりましたが、抜け毛は少しましかな、という感じです。」といわれました。
5月16日に来られた時には、「こむら返りが減りました。また今まで止まっていた生理が月に2回来ました。」といわれました。
しかし、抜け毛に大きな改善が見られないため、6月13日より「血虚」の基本薬である四物湯を追加しました。
9月5日に来られた時には、「抜け毛だいぶ減りました。」といわれました。
10月31日に来られた時には、「抜け毛なくなり、生理も順調です。」といわれました。

時間がかかりましたが、漢方がお役に立ててよかったです。

血虚の症状をまた記載しておきます。

•のぼせ、めまい、立ちくらみ、頭痛
•不眠、夢をよく見る
•髪が乾燥してパサつく、フケが多い
•疲れ目、かすみ目
•耳鳴り
•唇の色が悪い、舌の色がうすい
•顔色が悪い、皮膚につやが無い、肌がかさつく、化粧のりが悪い
•肩こり、手足の筋肉が引きつる、手足がしびれる
手足が冷える、ひび割れができやすい
•疲れやすい
•腰痛、腰が冷える
•腹痛、便秘しやすい
•大便が乾燥してコロコロ便で出づらい
•爪に血色がない、爪がもろく割れやすい
月経不順、月経量がすくない、月経の色が淡い、生理痛

などの症状が現れます。

四物湯について

月経不順などに対して改善作用を示す四物湯には、当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)・地黄(じおう)という4種類の生薬が含まれています。
当帰、川芎、地黄には、血を補うことで血流を改善させる作用があります。これが、冷えや貧血の解消などに繋がります。この組み合わせに対して、さらに痛みを和らげる芍薬を配合させたものが四物湯です。
四物湯は4つの生薬で構成されており、これを「四物」と表現します。ここから、四物湯という名前が付けられました。

 

510.耳のふさがった感じ・不眠症・不安感の 漢方治療

症例は54歳女性です。
平成26年秋頃より、耳のふさがった感じ・不眠症(寝つきが悪い・夜中に目が覚める・いやな夢をみる)、不安感の他にもさまざまな体調不良があるため、漢方治療を求めて、平成27年9月25日に太子町から来院されました。
身長167cm、体重52kg、BMI18.6とやせを認めます。
そのほかの症状として、便秘・頻尿・汗をかかない・口が渇く・頭痛・肩こり・とにかく体がだるく疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・耳鳴・夏でも足の冷える(足指や足裏のじんじんした感じを伴う)・気分が沈む・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308参照;加味帰脾湯の人は、ちょっと五臓の「脾」が衰えていて(脾虚体質;症例97参照)、軽いうつがある人に使います)当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう;症例92参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、10月28日に来られ、「薬がよく効いています。ただ、足の裏のしびれが気になります。」といわれましたので、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47参照)に変えたところ、11月25日に来られ、「しびれがましになりました。よく寝れるようになり、耳のふさがった感じもなくなりました。不安感も半分くらいに減りました。」といわれました。
症例409の耳管開放症かどうかはわかりませんが、加味帰脾湯がよく効いた症例です。

漢方がお役に立ててよかったです。

511.疲れるとめまいがし、頭がボーとするの漢方治療

症例は62歳女性です。
約10年くらい前より、疲れるとめまいがし、頭がボーとするそうで、知人の紹介により漢方治療を求めて平成26年7月7日に来院されました。
身長159cm、体重63kg、BMI24.9。
そのほかの症状として、足がむくむ・肩こりがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476参照)苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例20参照)を合わせて1ヶ月分処方しました。
その後、来院されませんでしたが、平成27年12月12日に、「前回とまた同じような状態です。」といわれ来院されました。
その時、「前の薬は効きましたか。」と尋ねると、「すぐによくなりました。」といわれましたので、同じ薬を出させていただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

512.非結核性抗酸菌症の漢方治療(4)

次の症例は65歳、女性です。
平成26年11月に、咳と血痰出現し、耳鼻科を受診したところ、「異常なし。」といわれたため、12月に総合病院呼吸器科を受診したところ、胸部CT検査や痰の検査で非結核性抗酸菌症(肺MAC症)と診断されたそうです。ただ、「今は薬は飲まなくてよい。」といわれ、補中益気湯(ほちゅうえっきとう;症例15、166、267、285、328、370、407、410、413、425、442、449、465、476、511参照)を処方されたそうです。
それで、調子が良かったそうですが、その先生が転勤になり、次の先生が、補中益気湯を出してくれず、平成27年7月15日から 、リファンピシン(リファマイシン系抗生物質の仲間で、結核菌に対し強い抗菌力を発揮する)・エタンブトール(結核菌の発育を阻止するように合成された薬)・クラリスロマイシン(マクロライド系抗生物質といわれるもので,細菌の発育を抑制する作用がある)を処方されたそうです。
しかし、体調がすぐれないため、当院のホームページの非結核性抗酸菌症の症例をご覧になられて、漢方治療を求めて、三木市より平成27年8月27日来院されました。
他の症状として、腹が鳴る・のどが痞える・頻尿・口が苦い・食欲不振・頻尿・夜間尿・汗をかきやすい・口が乾く・疲れやすい・動悸がする・手足の冷え・夜中に目がさめる・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、地図状舌も認めました。
身長156cm、体重43kg、BMI17.7とやせを認めます。
補中益気湯とコウジン末(症例449参照)、不眠に抑肝散加陳皮半夏 (よっかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489参照))を合わせて、遠方のため2カ月分処方したところ、平成27年10月8日に来院され、「元気が出てきました。血痰が出なくなりました。夜もよく眠れます。」といわれました。
12月10日に来院された時には、「咳も血痰もでません。」といわれました。
このまま薬を続けていく予定です。

非結核性抗酸菌症については症例30、142、173も参照して下さい

513.頭痛の漢方治療

次の症例は39歳、女性です。
平成27年2月頃より、こめかみを締め付けるような頭痛が毎日のように起こり、カロナール(中枢神経に働きかけて解熱鎮痛効果を発揮する薬)を毎日飲んでいるそうです。
漢方治療を求めて、平成27年10月28日来院されました。
他の症状として、便秘・胃がもたれる・胸やけ・口内炎ができやすい・薬で胃があれやすい・肩こり・手足が荒れる・風邪が治りにくい・疲れやすい・イライラする・めまい・立ちくらみ・手足の冷え・腰痛などがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、地図状舌も認めました。
身長160cm、体重51kg、BMI19.9とやせを認めます。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう;症例51参照)呉茱萸湯(ごしゅゆと;症例51、119、139参照)を合わせて、遠方のため1ヶ月分処方したところ、12月1日に来院され、「全く頭痛が起こらなくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

頭痛については、症例51、199、459もご参照ください。

514.小児のアレルギー性鼻炎の漢方治療

症例は9歳11ヶ月男児です。
年中アレルギー性鼻炎(鼻水、鼻閉、鼻水が後ろに回って咳・痰が出る)があるため、平成27年9月8日に漢方治療を求めて、たつの市から当院を受診されました。
年中耳鼻科に通院し、オノン(ロイコトリエン受容体拮抗薬。小児喘息・アレルギー性鼻炎の薬)、ムコソルバン(去痰剤、また副鼻腔炎の排膿に適応)、アレジオン(ヒスタミンの受容体をブロックし、その働きをおさえることで アレルギー症状を緩和する)の処方を受けています。
かぜや中耳炎にもたびたび罹患し、アトピー性皮膚炎もあるそうです。
身長140cm、体重36.0kg。
小児のアレルギー体質改善薬である柴胡清肝湯(さいこせいかんとう;症例55参照)と鼻血多く、口唇がかさかさしているため、小建中湯(しょうけんちゅうとう;症例26参照)を合わせて処方したところ、平成27年10月6日に来られ、「かなり鼻水が少なくなり、耳鼻科の薬が一つ減りました。」といわれました。
11月4日には、「1回かぜを引きましたが、すぐ治りました。この時期は例年なら頻繁にかぜを引いていました。」といわれました。
12月1日には、「とても調子いいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

515.逆流性食道炎の漢方治療(4)

症例176、201、463に続いて、逆流性食道炎の症例を載せます。
次の症例は58歳女性です。
咳症状が続き、総合病院内科で胃内視鏡検査の結果、逆流性食道炎と診断され、タケキャブ(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB))と呼ばれる新しい胃酸分泌抑制薬)を処方されましたが、咳が止まることはなく、平成27年11月20日に漢方治療を求めて来院されました。
身長161cm、体重52kg、BMI20.1。
タケキャブに茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463参照))を加えて2週間分だしたところ、11月30日当院へ来られ、「ピタッと咳が止まりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

タケキャブについては、こちらをクリック画像の説明役に立つ薬情報

 

516.ガスでおなかが張る・便秘の漢方治療 (2)

次の症例は61歳、女性です。
平成17年より、脂質異常症で当院通院中の患者さんです。
平成27年11月27日より、げっぷがよくでて排便がなく、食欲もなくなり、腹部の苦悶感が強く、おなかが固く張るため、11月30日受診されました。
身長150cm、体重65kg、BMI28.9と肥満を認めます。
そこで、平胃散(へいいさん;症例100参照)調胃承気湯(ちょういじょうきとう;症例77、100、259参照)を1週間分処方いたしました。
12月16日、定期の薬を取りに来られたときに、「1週間できれいに治りました。」といわれました。
このような患者さんが時々来られますが、西洋薬ではどのように治療するのでしょうか。おそらく難渋するはずです。

漢方がお役に立ててよかったです。

調胃承気湯については、症例259の下田 憲先生のコメントをお読みください。
平胃散と合わせることにより、強力にお腹の「気」を動かすことができます。

517.夜間頻尿の漢方治療

次の症例は63歳、男性です。
約1ヶ月前より、右肩の痛み(朝はよいが、夜間になると挙がりにくい)と1年前より夜間の頻尿(4~5回)があるため、平成27年9月11日、漢方治療を目的に受診されました。
元々第5腰椎すべり症もあり、腰痛もあります。
身長168cm、体重57kg、BMI20.2。
この方の舌を見ると、白い苔を認め、厚くはれぼったい感じがし、また両側の舌の縁に、歯型が波打つようについていました(歯痕舌(しこんぜつ))。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))をはっきりと認め、腎虚(症例42参照)と考えられました。
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう;症例41、481参照)と右肩の痛みに桂枝茯苓丸加薏苡仁 (けいしぶくりょうがんか よくいにん;症例67参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、10月13日に来られましたが、右肩の痛みは辛抱できなかったようで、「整形外科で痛み止めの注射を打ってもらい、薬をもらいました。」といわれましたので、夜間尿と腰痛に対して、桂枝茯苓丸加薏苡仁に変えて八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58、161、497参照)を1ヶ月分処方したところ、11月10日に来られ、「腰痛も夜間頻尿もまし(1~2回)です。」といわれましたので、さらに1ヶ月分処方したところ、12月9日に来られ、「夜トイレに一度も行かない日もあります。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

夜間頻尿に関しては、症例534もご参照ください。

518.みぞおちの痛みの漢方治療

次の症例は40歳、女性です。
平成27年10月頃より、みぞおちの痛みと食べ物が残った感じがあり、総合病院を受診し、腹部CT検査、心電図、胃内視鏡検査等を受けるも異常なく、「薬はない。」といわれたそうです。
しかし症状は続くため、当院通院中の方の紹介で、平成27年11月11日、漢方治療を目的に受診されました。
他の症状として、便秘・胃がもたれる・のどや胸、みぞおちがつかえる・頭痛・肩こり・手足がむくむ・汗をかきやすい・口が乾く・風邪が治りにくい・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・のぼせやすい・動悸がする・手足の冷え・腰痛・手足のしびれ・気分が沈む・ねつきが悪い・夜中に目がさめる・眠りが浅い・生理痛が強い・出血量が多い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。また舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質もありました。
身長163cm、体重95kg、BMI35.8と肥満を認めます。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515参照))当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508症例)コウジン末(症例449参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、12月24日に来られ、「胃の調子はとてもよくなりました。生理もOKでした。」といわれました。
調子がよさそうなので、このまましばらく続けていく予定です。

漢方がお役に立ててよかったです。

519.胃腸の調子が悪い・不眠の漢方治療

次の症例は31歳、女性です。
3年前に子供を出産してから、胃腸の調子が悪い(腹痛・下痢、便秘の繰り返し・快便感がない・腹がはる・吐き気・胃もたれ)があり、一ヶ月前に胃内視鏡検査を受けましたが、異常はなく、パリエット(胃酸の分泌をおさえるお薬。胃潰瘍や逆流性食道炎の治療に用いる)・ガスモチン(消化管のセロトニン受容体を刺激し、アセチルコリン遊離を増大することによって、上部(胃・十二指腸)および下部(大腸)消化管の運動をよくし、機能を改善する)・レンドルミン(睡眠薬;頓服)・リーゼ(不安や緊張感をやわらげ、気持ちを落ち着かせる薬)を処方されましたが全く改善しないため、平成27年8月6日、漢方治療を目的に上郡町から受診されました。
身長161.5cm、体重44kg、BMI16.9とやせを認めます。
他の症状として、のどがつかえる・頭痛・肩こり・風邪が治りにくい・息が吸いにくい・体がだるい・疲れやすい・イライラする・動悸がする・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・手足の冷え・腰痛・ねつきが悪い・夜中に目がさめる・いやな夢をみる・眠りが浅い・生理不順(生理が来ない)・痔出血などがあります。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、518参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507)コウジン末(症例449参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、9月3日に来られ、「のどのつかえがとれ、胃腸は調子よくなりましたが、イライラして、眠れない。」とのことでしたので、加味逍遥散に変え抑肝散加陳皮半夏 (よっかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489参照)を処方したところ、10月8日に来られ、「毎朝4時に目が覚め、夢も多いです。」といわれましたので、抑肝散加陳皮半夏を甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう;症例61、168、434、460、461、500、502参照)に変えましたが、10月17日に来られ、「甘麦大棗湯は合わないです。よけいに眠れません。」といわれましたので、最初の加味逍遥散に戻したところ、11月12日に来られ、「生理が来て、イライラも減ってきました。リーゼもあまり飲まずに済んでます。でも眠れないのだけが残っています。」といわれましたので、加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、510参照)を眠前に追加したところ、12月14日に来られ、「1、2日で眠れるようになりました。胃腸も調子いいです。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。
不眠症については、症例19、82、108、115、193、368、437、467もご参照ください。
特に症例193は同じような症例になります。

520.無月経の漢方治療

次の症例は37歳、女性です。
平成27年8月から、無月経(生理があるときはだらだら出血していた)になり婦人科を受診したところ、「卵胞刺激ホルモンが高いせいだ。」といわれ、ホルモン治療をすすめられましたが、怖いので当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508症例)を処方してもらいましたが、改善しないため平成27年10月3日、漢方治療を目的に姫路市から受診されました。
また、めまいもあり、耳鼻科でアデホスカルナクリンメリスロンを処方されていますが全くよくならないそうです。
身長160cm、体重44kg、BMI17.2とやせを認めます。
他の症状として、胃がもたれる・胸やけ・口内炎ができやすい・薬で胃があれやすい・食欲不振・頻尿・汗をかきやすい・頭痛・手足があれる・風邪が治りにくい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・気分が沈む・ねつきが悪い・夜中に目がさめる・眠りが浅い・痔出血などがあります。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
また舌色が紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質がはっきりとしておりました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508参照)芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん;症例143、308、338参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、10月17日に来られ、「めまいはましになりましたが、生理はまだきません。」といわれました。さらに1ヶ月分処方したところ、11月21日に来られ、「めまいはしなくなりましたがやはり生理はありません。」といわれました。そこで、芎帰調血飲を温経湯(うんけいとう;症例10、64、248、271、335、352、403参照)に変えたところ、12月12日に来られ、「体力がずいぶん上がった気がします。生理はありませんでしたが、おりものがありました。」といわれましたので、そのまま続けていただいたところ、平成28年1月4日に来られ、「量は少ないですが、5日間生理がありました。」といわれました。
また、胃腸も調子よく、風邪も引かなくなったそうです。

漢方がお役に立ててよかったです。

521.月経前症候群(PMS)漢方治療

次の症例は32歳、女性です。
約5年前より、生理の3日前より、気分が重く沈み、頭が働かず、体がだるい、下腹がはる、何もやる気がしないなどの症状があり、知人の紹介で平成27年10月2日、漢方治療を目的に受診されました。
身長166cm、体重54kg、BMI19.6とやせを認めます。
他の症状として、便秘・肩こり・動悸がする・立ちくらみ・腰痛・生理痛・出血量が多いなどがあります。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507)を合わせて1ヶ月分処方したところ、10月31日に来られ、「だいぶいいです。また生理が今まで塊で出血していたのが、さらさらの血になりました。生理痛もありませんでした。便秘はまだあります。」といわれました。
11月30日に来られた時には、「便秘がよくなりました。」といわれました。
平成28年1月5日に来られた時には、「肩こり以外の症状はすべてとれました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

月経前症候群(PMS)については、症例143、371、388、390、419、478、508、554をご参照ください。

522.生理が年一回しか来ない中学生の漢方治療

次の症例は14歳、女性です。
小学校6年生の時に生理が一度あり、それから年一回しか生理が来ないそうです。また部活は陸上部で長距離を走っていますが、とにかく体力がなくトラック1周ぐらいで息切れしてしまうそうです。
知人の紹介で平成27年10月14日、漢方治療を目的にたつの市から受診されました。
身長157cm、体重46kg、BMI18.7とやせを認めます。
他の症状として、快便感がない・腹が鳴る・腹痛・喉やみぞおちがつかえる・口内炎ができやすい・足がむくむ・頭痛・年中鼻水や鼻閉・風邪が治りにくい・息が吸いにくい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・耳鳴り・めまい・立ちくらみ・手足が冷える・手足のしびれ・嫌な夢をみるなどがあります。
この方の舌は大きな異常はありませんでした。
また念のため血液検査もしましたが、何も異常はありませんでした。
問診から「気虚」と考えられましたので、六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520参照)芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん;症例143、308、338参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、11月10日に来られ、「薬を飲みだして3・4日で生理が来ました。」といわれました。
そのまま薬を続けていただいたところ、平成28年1月7日に来られた時には、「調子いいです。生理は少し早く来たり、遅く来たりはしますが毎月あるようになりました。また陸上のタイムも12月頃より急によくなってきました。」といわれました。
このまましばらく続ける予定です。

漢方がお役に立ててよかったです。

523.不眠症の漢方治療

次の症例は34歳、女性です。
約15年前より、ねつきが悪く、マイスリー(非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬)を常用していたそうです。
妊娠を契機にやめられましたが、1週間前に流産されたそうです。
当院のホームページを見て、平成27年9月25日、漢方治療を目的に太子町から受診されました。
身長156cm、体重46kg、BMI18.9とやせを認めます。
他の症状として、口内炎ができやすい・足がむくむ・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・イライラする・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
「気虚」+「血虚」に使う加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、510、519参照)酸棗仁湯(さんそうにんとう;症例623参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、10月19日に来られ、「少しずつ眠れるようになってきました。また、漢方を飲み始めてお肌の調子がとてもよくなってきました。」といわれました。さらに1ヶ月分処方したところ、11月28日に来られ、「とてもよく眠れれるようなりました。ただ少し冷えてきました。」といわれましたので、体を温める附子末(ブシ末;症例2参照)を追加したところ、平成28年1月7日に来られ、「よく眠れます。体の調子も良く、頭痛もなくなりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)は、心身が疲れて弱っている人の不眠に効果があります。この方の場合、1週間前に流産されており、まさにこの状態と考えました。
穏やかな睡眠作用を促し、鎮静作用があります。
疲れているのに眠れない、なかなか眠れない症状に効果があります。

酸棗仁湯については、こちらをクリック画像の説明昌平クリニック

 

524.捻挫の漢方治療

次の症例は私です。
平成28年1月13日朝、クリニックの前を歩いていた時に、よそ見をしていたため段差に気付かず右足を捻ってしまいました。激しい痛みで、5分くらい立ち上がれませんでした。
はいずるようにして家の中へ入り、すぐに打撲、捻挫などに用いられる処方(捻挫は、血の流れが滞る状態。その滞っている血液の流れをよくしてくれる)治打撲一方(ぢだぼくいっぽう;症例227、228、262、268、355、413参照)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)を合わせて飲み、湿布を患部に貼りました。
しばらくすると、ズキズキと響くような痛みはなくなり、普通に歩けるようになりました。
その後、1日3回服用し、夜には犬の散歩も何とか行くことができました(痛みはあまり感じませんでしたが、何か自分の足でないような違和感がありました)。
次の朝見ると、足首の外側の踝(くるぶし)が脹れて、内出血しておりました。
結局2日間漢方を3回飲み、後は1日2回にし、湿布で様子見ましたが、1月16日朝にはほとんど違和感も感じなくなりました。
しかし、脹れがなかなか引きませんでした。
そんな時、「漢方と診療  Vol.6 No,4(2016.01)」に普天間朝拓先生が、骨折・捻挫・筋挫傷には、治打撲一方五苓散or柴苓湯とありましたので、五苓散を追加したところ、3日ぐらで脹れが引き、違和感もなくなりました。結局完治まで12日かかりましたが、最初から五苓散を飲んでおけばもっと早く治ったと考えられました。

五苓散にお世話になるのは、これで2回目(症例174参照)ですが、本当にありがたかったです。

捻挫については、こちらをクリック画像の説明飯塚病院漢方診療科

 

525.通年性鼻アレルギーの漢方治療

次の症例は14歳、男児です。
約6年前から、一年中、鼻水(毎日テッシュ1箱使うぐらい)・鼻閉・くしゃみが続いているそうです。
また、軽いですが喘息も出るそうです。
耳鼻科でのアレルギー検査でカビやハウスダストなどに陽性で、タリオンが処方されていましたが、あまり効かないので数年前に通院をやめたそうです。
そんな時、知人の紹介で平成27年11月28日、姫路市から来院されました。
他の症状として、下痢しやすい・にきびがあります。。
身長165m、体重64kg、BMI23.5。
舌は特に異常は認めませんでした。
そこで、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう;症例6、27、55,487参照)神秘湯(しんぴとう;症例74参照)の合方を1ヶ月分処方したところ、12月26日来院され、「飲み始めて1週間ほどで鼻水をかむ回数が激減しました。」といわれました。
平成28年1月23日には、「喘息も鼻炎も全く症状が出ていません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

通年性鼻アレルギーについて症例59、171、487も参照下さい。

526.動悸の漢方治療

次の症例は41歳、男性です。
1週間ほど前より、寝起き時に動悸がして息苦しくなるため総合病院内科を受診し、心電図等の検査を受けられましたが、「異常なし。」といわれたそうです。
症状が改善しないため、平成27年11月20日漢方治療を目的に受診されました。
身長191cm、体重88kg、BMI24.0。
他の症状として、便秘・腹がはる・腹が鳴る・胃がもたれる・吐き気・胸やけ・腹痛・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・立ちくらみ・手足の冷え・腰痛などがあります。
当院での採血では、LDLコレステロールが150とやや高めでしたが、他は異常認めませんでした。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
体格は立派ですが、典型的な「気虚」と考えられましたので、六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522参照)とめまいや立ちくらみを改善する苓桂朮甘湯(りゅうけい じゅつかんとう;症例20、473、474、478参照)の合方を1ヶ月分処方したところ、12月21日は仕事が忙しく家人が薬を取りに来られ、平成28年1月18日に来られた時には、「動悸がとまりました。便通もよく、体のだるさや疲れやすさも改善しました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

527.便秘や吐き気の漢方治療

次の症例は35歳、女性です。
平成27年12月24日、妊娠7週で稽留流産(下記参照)の手術を受けられました。
その後より、便秘(普段より、週1回ぐらい)や吐き気があるため、知人の紹介で12月24日漢方治療を目的に受診されました。
身長156cm、体重56kg、BMI23.0。
他の症状として、快便感がない・腹がはる・腹が鳴る・胃がもたれる・胸やけ・腹痛・足がむくむ・汗をかかない・頭痛・肩こり・口が渇く・イライラする・手足が冷える・痔出血など体調不良があります。
舌は白苔を認めました。
産後ならどんな症状に使ってもよいといわれている芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん;症例143、308、338参照) 六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526参照)を合わせて1ヶ月分処方し、念のため便秘薬の麻子仁丸(ましにんがん;症例77、116参照)も渡したところ、平成28年1月23日に来られ、「便はほぼ毎日でるようになり、吐き気もなく、とても体調がいいです。麻子仁丸は使いませんでした。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

稽留流産については、こちらをクリック画像の説明こそだてハック

 

528.胃腸炎後の体調不良の漢方治療

次の症例は36歳、女性です。
平成27年夏に胃腸炎にかかり、以後体調不良が続くため、平成27年11月26日漢方治療を目的に受診されました。
特に生理前に体調が悪くなるそうです。
身長158cm、体重52kg、BMI20.8。
症状として、口内炎ができやすい・汗をかきやすい・頭痛・肩こり・鼻水・風邪が治りにくい・体がだるい・疲れやすい・イライラする・のぼせる・めまい・立ちくらみ・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527参照)加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521)を合わせて1ヶ月分処方したところ、12月21日に来られ、「時々フーとなる時がありますが、他は調子よくなりました。」といわれました。さらに1ヶ月分処方したところ、平成28年1月29日に来られ、「体がとても楽になってきました。どこも悪いところはありません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

529.手足の冷えの漢方治療

次の症例は57歳、女性です。
「手足が冷えるのを治したい。」と、ホームページをみて平成27年10月5日、赤穂市から来院されました。
身長150cm、体重48kg(最近5kg体重が減った)、BMI21.3。
他の症状として、めまい、立ちくらみ、頭痛があります。以前よくしもやけになっていたそうです。
この方の舌をみると、白苔がつき、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528参照)当帰四逆加呉茱萸生姜湯 (とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう;症例92、468参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、10月30日に来られ、「冷えは少しましになってきました。めまいはまだ時々します。」といわれました。さらに1ヶ月分処方したところ、11月28日に来られ、「手はよいが、足がまだ冷えます。めまいや立ちくらみはなくなりました。」といわれました。そこで、体を温める附子末(ブシ末;症例2参照)を追加しましたが、12月24日に来られ、「足にしもやけができました。」といわれましたので、附子末の量を倍の1日1グラムに増量したところ、平成28年1月29日に来られ、「冷えが楽になりました。しもやけもだいじょうぶです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

530.足裏・背中・腰・首のほてりの漢方治療

次の症例は46歳、女性です。
平成26年9月30日頃より、立ち仕事で体が冷えるのに、足裏・背中・腰・首のほてりがあるため、11月12日、漢方治療を目的に神崎郡神河町から受診されました。
身長150cm、体重47.5kg、BMI21.1。
他の症状として、胃がもたれる・のどがつかえる・口の中が苦い・食欲不振・汗をかかない・肩こり・体がだるい・疲れやすい・イライラする・耳鳴り(右のみ)・手足が冷える・手足のしびれ・腰痛・ねつきが悪い・夜中に目がさめる・いやな夢をみる・眠りが浅いなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))をはっきりと認め、腎虚(症例42参照)と考えられました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529参照)八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58、161、497参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、11月29日に来られ、「変化ありません。11月25日より不眠のため、近医でマイスリーをもらいました。」といわれました。同じ処方を続けたところ、平成27年1月8日には、「少しほてりがましになってきました。体力が増した感じで調子いいです。耳鳴りもなくなりました。」といわれました。以後遠方のため2ヶ月分処方させて頂きました。
そのまま続けていただき、9月12日より、当院に新規採用したウチダの八味丸(下の写真)に変えたところ、9月24日に来られ、「胃がむかむかして合いません。」といわれました。
そのようなことは考えにくいので、「頑張って飲むように。」と話すと、11月14日に来られ、「全く問題なく飲めています。今は生理前の朝方だけほてる感じがするだけです。あとは腰が少し冷えるぐらいです。」といわれました。
平成28年1月16日には、「食欲もあり、とても調子いいです。またマイスリーを飲まなくてもよく眠れます。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

なお、症例418に足裏のしびれの症例、症例212に手足のほてりの症例、症例658に足裏のほてりの症例を載せております。

ウチダの八味丸Mは小粒の丸薬で常用量は3包(1包=20丸・約2g)分3空腹時(食前または食間)が基本。胃に障る時(特に丸薬)は食後の服用可となっています。
画像の説明


丸剤(がんざい)について(牧角 和宏先生)

薬草の粉末を煉蜜(水気を飛ばしたはちみつ)などで「お団子」状態にしたもの。
丸剤は散剤同様に薬草全体を服用でき、携帯に便利であることなどとともに、副作用対策をも兼ねた調剤方法でもあります。
八味地黄丸という処方中の地黄は胃もたれ・腹痛などをもたらすことがあるのですが、本来の丸剤であれば、はちみつと同時に服用することになりますから、これらの副作用はかなり軽減されます。
八味地黄丸をエキス剤、あるいは煎じ薬で服用する場合、残念ながらはちみつが含有されていませんので、しばしば腹痛のため継続服用できない方がおられます。このような場合、面倒でも本来の丸剤同様に、はちみつ少量を溶かしたお湯で服用されると調子がよくなることがしばしば経験されます。

酒服について

また八味地黄丸はごく少量(20cc~30cc程度)の温めた日本酒で服用する(酒服)と、胃にやさしく効き目もよいとされています。もちろんお酒が飲めない方やアルコールを禁じられている方にはお勧めできませんが、そうでない方には一度試してみてはいかがでしょうか。

酒服については、こちらをクリック画像の説明漢方スクエア

 

531.体調不良の漢方治療

次の症例は21歳、女性です。
近医で睡眠薬(マイスリー)と胃薬を処方されていますが、種々の体調不良が続くため、平成27年11月21日、漢方治療を目的に太子町から受診されました。
身長150cm、体重36.0kg(高校生の時の体重は42.0kg)、BMI16.0とやせを認めます。
症状は多彩で、下痢・腹が鳴る・吐き気・胃がもたれる・腹痛・みぞおちがつかえる・食欲不振・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・イライラする・のぼせる・手足が冷える・腰痛・気分が沈む・ねつきが悪い・いやな夢をみる・生理痛が強い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530参照)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん;症例14、158、241、249、254、265、330、338、339、387、400、401、423、452、488、495、497、508、518症例)をあわせて1ヶ月分処方したところ、12月19日に来られ、「口が渇きますが、他は調子いいです。生理痛もなくなりました。」といわれました。同じ処方を続けたところ、平成28年2月2日には、「食欲もあり、体重は1kg増えました。胃腸の調子も良く、マイスリーがなくてもよく眠れます。体はまだ少ししんどいです、」といわれました。
4月12日には、「困る症状はなにもありません。体重はさらに1kg増えました。ごはんもおいしいです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

532.動悸・不整脈の漢方治療

次の症例は52歳、女性です。
12年ぐらい前に、不整脈のため、姫路循環器病センターで心電図や24時間心電図検査等を受けましたが、「治療の必要はない。」といわれたそうです。
ただ、その時に子宮筋腫が見つかり、婦人科で手術を受けています。
また、高血圧症で、アムロジピンを内服されています。
今回、平成27年5月より、脈がよくとび、動悸が激しくなったため、知人の紹介で平成28年1月7日、漢方治療を目的に赤穂市から受診されました。
身長157cm、体重49.0kg、BMI19.9とやせを認めます。
他の症状として、胸がつかえる・口内炎ができやすい・頻尿・肩こり・朝に咳が出る・疲れやすい・手足が冷えるなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、518、519参照)桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、451参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、2月5日に来られ、「動悸がおさまり、不整脈も気にならなくなりました。」と大変喜んでいただきました。

漢方がお役にたててよかったです。

不整脈の漢方については、こちらをクリック画像の説明森クリニック

 

533.のどのつまり・息苦しさの漢方治療

次の症例は38歳、女性です。
平成27年6月頃より、のどのつまりがあり、耳鼻科を受診されましたが、「異常ない。」といわれました。
また、11月下旬より、息苦しさ・胸の痛み・耳鳴りがあり、耳鳴りは低音性障害型感音性難聴と診断され、11月24日より、プレドニン(副腎皮質ホルモン剤)、メコバラミン(末梢性神経障害治療薬)、ファモチジン(胃薬)を2週間処方され、12月8日には少し回復し、現在メコバラミンのみ続けられています。
今回、知人の紹介で平成27年12月11日、漢方治療を目的に赤穂市から受診されました。
身長155cm、体重42.0kg、BMI17.5とやせを認めます。
他の症状として、胸がつかえる・口内炎ができやすい・肩こり・息が吸いにくい・手足の冷え・しもやけ・いつも不安で気分がすぐれない・ささいなことが気になる・背中の痛み・腰痛などがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
「気虚」と「気鬱」に茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、518、519、532参照)と耳鳴り・腰痛に対して牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、平成28年1月18日に来られ、「年末ぐらいから治りだしました。以前よりかなり楽です。背中や腰の痛みはとれました。」といわれました。
調子よさそうなので、このまま続けていく予定です。

漢方がお役にたててよかったです。

534.夜間頻尿・腰痛・下肢神経痛の漢方治療

次の症例は、症例483の方です。
背中や胸の痛みはよいのですが、平成27年10月13日に来られた時に、「足が冷えて、腰や下肢が痛みます。」といわれましたので、それまでの当帰湯(とうきとう;症例5、71、122、255、408参照)と体を温めるブシ末に加えて、八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58、161、497、530参照)を追加しました。
11月11日に来られた時に、「症状はあまりかわりませんが、体がぬくもり、汗をかくようになりました。」といわれました。12月10日に来られた時には、「神経痛がつらいです。」といわれましたので、八味地黄丸を牛車腎気丸(ごしゃじんきがん;症例47参照)に変えたところ、平成28年1月12日に来られ、「やはり冷えます。それと夜間に2~3回トイレに行きます。」といわれましたので、牛車腎気丸を苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう;症例41、481、517参照)に変えたところ、2月8日に来られ、「朝までトイレに起きなくて済む日が多くなりました。腰も楽で神経痛もありません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

535.耳管開放症の漢方治療 (3)

症例409、510に引き続き、耳管開放症の症例です。
症例は、普段高血圧症等で通院中の81歳女性です。
耳閉感・自声強聴(自分の声がひびく)・低音が聞き取りにくい(特に息子さんなど男の人の声が聞き取りにくい)・元々耳鳴りはあったそうですが、それが増強(モーターが回るような音になった)・フアフアする感じというがあり、総合病院の耳鼻科を受診したところ、「年齢のため。」といわれ、補聴器をすすめられたそうです。平成27年12月16日、外来に受診されたときに相談をうけました。
身長153.5cm、体重51.6kg、BMI21.9。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308参照)を一ヶ月分処方したところ、平成28年1月13日に来られ、「かなり、ましです。」といわれました。ただ、「まずて、オブラートに包んで飲んでいます。」といわれましたのでお湯で溶くように話しました。さらに一ヶ月分処方したところ、2月10日に来られ、「息子の声もはっきり聞こえるようになり、耳鳴りも以前の音に戻りました。耳閉感・自声強聴・フアフアする感じもとれました。」と大変喜んでいただきました。
完治したようなので、本人の希望(まずいので早くやめたい)もあり、投薬を中止させて頂きました。

漢方がお役にたててよかったです。

耳管開放症については、こちらをクリック画像の説明耳管開放症ホームページ

 

536.中学校1年になっても永久歯が生えてこないの漢方治療

次の症例は12歳7ヶ月、男児です。
夜尿症の治療を泌尿器科でホルモン剤を受けましたが、無効のため、漢方治療を求め赤穂市から受診されました。
身長143cm(平均は153.5cm)、体重35.0kg。
また、幼少期から落ち着きや集中力がなく、弟をよくいじめるそうです。
舌は異常なく、 腹診では、触るとくすぐったがり、腹直筋緊張(;症例279参照)を認めました。
他の症状として、口唇がかさかさ乾燥する・鼻水・鼻づまり・体がだるい・疲れやすい・イライラ・体が冷えるするなどがあります。
また、幼児期に、よく鼻血をだしていたそうです(症例26参照)。
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう;症例222、379参照)抑肝散(よくかんさん;症例24、25、144、479参照)一ヶ月分処方したところ、10月31日に来られ、「食欲も増し、イライラもましになってます。ただ、夜尿症は続きます。」といわれました。
さらに一ヶ月分処方したところ、12月12日に来られ、「夜尿症が週に1~2回に減ってきました。」といわれました。
ただこの時に、「歯が全く生えかわってません。」といわれましたので、抑肝散を八味地黄丸(はちみじおうがん;症例42、58、161、497、530、534参照)に変え、強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)をあわせて1ヶ月分処方したところ、平成28年1月7日に来られ、「おねしょはさらに回数が減り、歯が1本抜けました。ほかの歯もぐらぐらしてきました。」といわれました。2月10日には、「また、歯が1本抜けました。さらに身長が7cmのびて、150cmになりました。」といわれました。
4月9日には、「歯が5~6本抜けました。」といわれました。
7月30日には、「歯が全部生え変わりました。また、5月から一度もおねしょをしなくなりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

ちなみに、症例412に書いたように、永久歯は6歳前後から生え始め、12~13歳で生え揃います。
本症例もやはり、腎虚と思われます。
歯科では、「そのうちはえかわりますから、ほっといてください。」といわれたそうです。

537.変形性膝関節症の漢方治療

次の症例は63歳、女性です。
「足先が冷えて、右膝が痛む。」と、平成27年10月17日、知人の紹介で漢方治療を求めてたつの市から来院されました。
身長160cm、体重70kg、BMI27.3と肥満を認めます。
そのほかの症状として、汗をかきやすい・肩こり・体がだるい・食後眠くなるなどがあります。また脂質異常症のためベザフィブラートSRと、平成5年に下垂体腫瘍の手術を受けてからコートン(ステロイド薬)を服用されています。
舌は、色が紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質と診断いたしました。
また、膝に細絡(皮膚上に表れる糸ミミズ状で赤紫色の毛細血管腫;症例91参照)を認めました。
瘀血体質の神経痛に使う、疎経活血湯(そけいかっけつとう;症例1参照)と膝の痛みによく使う防已黄耆湯(ぼういおうぎとう;症例76参照)に体を温める附子(ブシ;症例2参照)を合わせて開始したところ、11月18日に来られ、「少し痛みが軽くなりました。冷えは感じません。」といわれました。12月15日に来られた時には、「膝の裏が突っ張る感じがします。」といわれましたので、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう;症例32参照)を眠前に1包追加したところ、平成28年1月7日に来られ、「痛みは全く感じなくなりました。足もぬくもっています。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

変形性膝関節症の漢方治療については症例2,76,111,131,184,207,209,227,228,245,268,269,282,283,311,319,334,355も参照して下さい。

538.食べ物が金属の味がするの漢方治療

次の症例は42歳、女性です。
口の中が苦く、生理中に食べ物が金属の味がする(特にチョコレートやコーヒー;スプーンをずっと押し当てたような味)ため、ホームページをみて平成27年8月22日、姫路市から来院されました。
身長171cm、体重57kg、BMI19.5。
他の症状として、吐き気・足がむくむ・のどから胸へのつかえ・頭痛・息が吸いにくい・体がだるい・疲れやすい・動悸・立ちくらみ・腰痛などがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
「気虚」と「気鬱」に茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、518、519、532参照)芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん;症例143、308、338,527参照) をあわせて1ヶ月分処方したところ、11月7日に来られ、「のどのつまりがなくなり、金属の味もなくなり調子がいいです。ただ、3、4年前に突発性難聴をしてから続いている、耳の詰まった感じと耳鳴りが気になります(特に緊張した時)。」といわれましたので、加味帰脾湯(かみきひとう;症例45、193、239、291、308、535参照)を眠前に1包足して、一ヶ月分処方したところ、12月24日に来られ、「耳の症状もとれとても調子いいです。」といわれました。
平成28年1月12日に来られた時に、「生理中にまた大きな耳鳴りがしました。」といわれましたので、加味帰脾湯を2回に増やしたところ、2月12日に来られ、「とても体調がいいです。加味帰脾湯はとてもおいしく2回飲みたいです。」といわれました。
症例535の方は、「まずいので早くやめたい。」といわれましたが、同じように耳の症状に効いていても、味の感じ方が違うのは興味深いです。
3月12日に来られた時には、「とても調子いいです。緊張しても耳がつまらなくなりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

539.心不全の漢方治療

次の症例は、普段高血圧症、脂質異常症で通院中の84歳、女性です。
薬は、リポバスコディオEX(ARB;アンジオテンシンⅡの働きを直接的に阻害して血圧を下げる薬と利尿薬の配合剤)です。
平地を歩いても、走った後のように動悸や息切れが起こり、またふらつきや足にむくみも出るため、平成28年1月22日に来られた時に相談を受けました。パルスオキシメーターで血中酸素飽和度(SpO2)を測りましたが、98%と正常でしたので、呼吸器疾患はなさそうです(古いですが4年前の胸部写真は異常なし)。
平成19年の健診で、心室性期外収縮を指摘されたときに、総合病院の循環器科を受診した時には、「心エコーも異常なく、治療必要なし。」といわれていますので、高齢でもありとりあえず漢方薬で治療することにいたしました。
真武湯(しんぶとう;症例104参照)を1日2回投与したところ、2月5日に来られ、「ヒィーヒィー息切れすることがなくなり、本当に楽になりました。」と大変喜んでいただきました。

もしよくならなければ、また循環器科を受診して頂こうと思っていましたが、簡単に症状がとれびっくりいたしました。

漢方がお役にたててよかったです。


心不全と真武湯(真田クリニック 板倉英俊先生)

真武湯は、利尿薬抵抗性のものに対して利尿作用がある。利尿薬とドパミン塩酸塩を併用することで利尿効果が増強されるが、真武湯にはこれと類似の効果がある。

  • ブシには利尿作用と強心作用がある。
  • 芍薬には血行改善作用がある。
  • 茯苓は利尿作用だけでなく、細胞内とサードスペースの水の不均等を是正し、細胞内脱水を改善する。このため、利尿と口渇を同時に治療する。

心不全は交感神経の慢性的な過緊張状態であるが、真武湯には交感神経の調整作用が期待できる。
真武湯は甘草を含まないので安全性が高い。
β遮断薬との違いは、ブシには陽性変力作用があり、心拍出量はむしろ増加するので、低心機能の患者さんでも安心して処方できる。

実際BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)などのマーカーも改善する(本症例では怠慢で測定していません)。

 

540.背部痛・頭痛・胃痛の漢方治療

次の症例は34歳、女性です。
約3ヶ月前より背部痛・頭痛が出現し、総合病院で頭部CT検査や採血検査を受けられましたが異常なく、テルネリン(筋肉の痛み、こわばり、緊張を解消する薬)・デパス(抗不安薬)・ロキソニン(消炎鎮痛剤)・ムコスタ(胃薬)の処方を受けました。しかし症状は改善しませんでした。
また、胃痛も出現し、近医でストロカイン・ムコスタ・ガスモチン・プロテカジンの胃薬を処方されても改善しないため、平成28年1月25日、いとこの紹介で漢方治療を求めてたつの市から来院されました。
身長158cm、体重50kg、BMI20.0。
他の症状として、食欲不振・息が吸いにくい・体がだるい・疲れやすい・イライラする・のぼせる・動悸がする・めまい・立ちくらみ・夜中にめがさめる・眠りが浅い・手足が冷える・気分が沈むなどがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531参照)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、363、432参照)ををあわせて1ヶ月分処方したところ、2月25日に来られ、「ずいぶんよくなりました。1日の終わりに少ししんどさが出て、その時に軽く痛む程度になりました。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。
なお、六君子湯と柴胡桂枝湯を合わせると、六君子湯に柴胡・芍薬の2生薬を加えた処方柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)という処方を作ることができます。

541.円形脱毛症の漢方治療(2)

次の症例は41歳、女性です。
4年前より、右頭頂部から側頭部に2か所円形脱毛症出現し、皮膚科で塗り薬をもらわれていましたが改善しないため、漢方治療を目的に平成27年7月25日受診されました。
身長159cm、体重53kg、BMI21.0。
他の症状として、疲れやすい・動悸がする・眠りが浅い・手足が冷える・気分が沈む・生理不順などがあります。
この方の舌をみると、腫れぼったく、歯痕舌を認めました。
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528)桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、451参照)に強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、9月16日に当院へ来られ、「側頭部の方にはにうぶ毛がはえてきました。頭頂部の方は抜け毛が止まりました。動悸はおさまりました。」といわれました。
11月13日に当院へ来られた時には、「どんどん生えてきています。」といわれました。平成28年2月26日に当院へ来られた時には、脱毛部分がすっかりわからない程度にまでになっておられました。
1ヶ月分を2~3ヶ月で飲まれていましたが、よく効いたようです。

漢方がお役にたててよかったです。

542.逆流性食道炎の漢方治療(5)

症例176、201、463、515に続いて、逆流性食道炎の症例を載せます。
次の症例は50歳男性です。
胸やけの症状が続き、総合病院内科で胃内視鏡検査の結果、逆流性食道炎と診断され、ネキシウム(PPI;プロトンポンプインヒビターと呼ばれる薬で、主に胃において胃酸分泌を抑制する事によって効果を発揮する)やタケキャブ(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB))と呼ばれる新しい胃酸分泌抑制薬)を処方されましたが、いずれも飲むと血圧が上昇したり、脈がとんだり、動悸がするため1回でやめたそうです。平成28年1月25日に漢方治療を求めて来院されました。
身長167cm、体重72kg、BMI25.8とやや肥満傾向です。
他の症状として、神経が高ぶって夜眠れないそうです。
この方の舌をみると、白苔を認めました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515参照)を1ヶ月分だしたところ、2月27日当院へ来られ、「胸やけが止まりました。胃がよくなったおかげで、ストレスもとれ、眠れるようになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。


プロトンポンプ阻害薬(PPI)の認知機能に影響を及ぼす可能性について

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用は高齢者で増えているが、同薬が認知機能低下に関係する可能性を示した報告もある。
ドイツ・German Center for Neurodegenerative DiseasesのBritta Haenisch氏らは,ベースライン時に認知症のない75歳以上の高齢PPI使用者7万人超の健康保険データを前向きに追跡し、対照集団のデータと比較した。その結果、PPI使用群では、非使用群に比べて認知症発症リスクが1.4倍有意に高かったとJAMA Neurol(2016年2月15日オンライン版)で報告した。

大規模保険データで前向き追跡

胃食道逆流症(GERD)や胃潰瘍に対するPPIの使用は、高齢者を中心に急増している。また、PPIは全薬剤で見ても最も多く使用されている部類に入り、ドイツでは過去10年間に処方数が4倍に増えた。その処方の40~60%は不適切なものだとする観察研究もある。

一方で、PPI使用は認知機能に影響を及ぼす可能性が示唆されており、その要因として、PPI使用とビタミンB12欠乏、脳内アミロイドβ(Aβ)蓄積との関連が指摘されている。

今回の研究では、ドイツ最大の公的健康保険制度(Allgemeine Ortskrankenkassen)の記録において、2004~11年の入院および外来患者の診断記録と薬剤処方データを前向きに追跡し、PPIの使用と認知症リスクとの関連を検討した。

主要評価項目は,国際疾病分類(ICD-10)のドイツ版による認知症発症とし、時間依存性共変量を用いたCox回帰分析により、年齢、性、併存疾患、多剤服用などの交絡因子を調整し、PPI使用と認知症の関連を検討した。

まず、75歳以上の21万8,493人のデータを抽出。ベースライン期間の2004年と最終追跡年の2011年はそれぞれ1年間を、その間の2005~10年までは18カ月間を集計単位とし、さらに、それらを四半期(3カ月)ごとに区切り、各集計単位のいずれの四半期にも1回以上のPPI処方があった者(定期使用者)と各集計単位に1度もPPI処方を受けなかった者(非使用者)を解析対象とし、21万8,493人からPPIの定期使用でない者や、2004年中に死亡したり認知症を発症した者などを除外して、最終的に7万3,679人が残った。

高齢者が常用する薬剤についての重要な問題提起

7万3,679人のうち、PPI定期使用は2,950人(女性77.9%,平均年齢83.8歳)で、非使用者は7万729人(女性73.6%,平均年齢83.0歳)であった。
追跡期間中に認知症を発症したのは、全体で2万9,510人で、PPI定期使用群の認知症発症リスクは、非使用群と比べ有意に高かった(ハザード比1.44,95%CI 1.36~1.52,P<0.001)

Haenisch氏らは「今回の研究は,過去の薬剤疫学データや動物実験の結果を支持するもので、PPI使用の回避で認知症発症を予防できる可能性がある。」と指摘。
一方で、今回の研究はPPI使用と認知症リスクの生物学的因果関係を証明するものではないことや、既知の認知症危険因子のうち調整できなかったものもあることに言及。「高齢者におけるPPI使用と認知症発症に関して、直接的な因果関係を確認するためには、ランダム化比較試験が必要である」と結論付けている。

米・University of PittsburghのLewis H. Kuller氏らは,同誌の付随論評(2016年2月15日オンライン版)で「今回の研究は,PPI使用と認知症リスクの関連について重要かつ興味深い問題を提起するものである。認知症リスクが非常に高い高齢者においてPPI長期処方が極めて多いことに鑑みると、これは非常に重要な問題である」と指摘している。
(出典;Medical Tribune 2016年2月19日号)

 

543.車を運転すると不安感が強いの漢方治療

次の症例は33歳女性です。
一ヶ月前より、車を運転すると頭がふらふらし、右へ右へ行く感じで、不安感が強く、また、トンネルや高速道路でさらにその不安が増強されるそうです。
もともと閉所恐怖症もあるそうです。
耳鼻科を受診されましたが、「異常なし。」といわれ、メリスロン(めまいを治す薬)の処方を受けられました。しかし、改善せず、今度は総合病院の脳神経外科を受診されましたが、「肩こりからくるものだ。」といわれ、チサニジン(筋肉の痛み、こわばり、緊張を解消する薬)とセレコックス(消炎鎮痛剤)の処方を受けられましたが、やはり改善しませんでした。
平成27年12月2日に漢方治療を求めて来院されました。
身長154cm、体重56kg、BMI23.6。
他の症状として、胃がもたれる・のどがかわく・頭痛・肩こり・体がだるい・疲れやすい・月経前にイライラする・夜中に目がさめるなどがあります。
この方の舌をみると、白苔を認めました。
加味逍遥散(かみしょうようさん;症例72、141、147、165、169、177、178、182、193、195、196、201、204、210、213、214、224、229、230、243、255、256、258、263、271、272、273、277、280、295、297、317、318、326、330、336、349、356、368、371、378、381、391、395、399、405、407、416、419、425、429、430、441、451、464、466、477、491、492、495、496、502、505、507、521、528、541)六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540参照)を合わせて1ヶ月分だしたところ、平成28年1月5日に来られ、「車の運転はだいじょうぶになりました。ただ、人が運転するとまだ不安感があります。また、生理前の2日間ふらつきがありました。」といわれました。
さらに続けたところ、1月29日に、「だいぶいいです。車の運転は問題ありません。ただ生理前にふらふらが少しあり、頭痛も少しありました。」といわれました。そこで、そのようなときに飲むように、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう;症例478参照)を1週間分渡したところ、2月26日に来られ、「調子いいです。」といわれました。
また、風邪の時にはやめに飲むようにとあらかじめ渡しておいた麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう;症例49参照)がとてもよく効いたようで、大変喜んでいただきました。

漢方薬がとてもよく効く方のようで、漢方がお役に立ててよかったです。

同じような症例を、症例318、399、572に載せております。

544.起立性調節障害の漢方治療(5)

症例363、469、473、484に続いて、起立性調節障害の症例を載せます。(起立性調節障害については、こちらをクリック画像の説明起立性調節障害support group
症例は12歳、男性です。
登校前に腹痛(臍周囲)が起こり学校を欠席したり、学校に行けても、「胸がうっとくる(本人の弁)。」ため早退する、を繰り返し、またストレスがかかると左側頭部の頭痛やのどのつまり・過換気症候群が生じるため、小児科を受診したところ、起立性調節障害と診断され、メトリジン(血管にある交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げる)を服用しましたが、全く改善せず、冬休みになると症状がましになったため、内服を中断されました。
ホームページをみて、平成28年1月30日に漢方治療を求めて太子町から当院を受診されました。
身長157cm、体重44kg、BMI17.9とやせを認めます。
症状は多彩で、疲れやすい・気力がない・集中力がない・乗り物酔いしやすい・寝汗をかく・寝つきと寝起きが悪い・寒がり・肩こり・風邪が治りにくい・のぼせやすい・耳鳴り・立ちくらみ・手足の冷えなどがあります。
舌は大きな異常はありませんでした。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう;症例61、168、434、460、461、500、502、519参照)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう;症例39、66、152、155、363、432参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、2月27日に来られ、「頭痛も腹痛もしなくなりました。毎日学校に行けています。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

545.脊柱管狭窄症の漢方治療

次の症例は73歳男性です。
左足のしびれと、ふとももや膝から下にこむら返りのような痛みが出て20分ほどしか続けて歩けないため、平成27年8月に総合病院整形外科を受診したところ、MRI検査で脊柱管狭窄症と診断され、オパルモン(手足の血管を広げ血流をよくする薬)、メチコバール(ビタミンB12。手足のしびれや神経痛に用いる)、エトドラク(消炎鎮痛剤)を処方されましたが全く効かないため、知人の紹介により、平成27年10月5日に漢方治療を求めて来院されました。
身長170cm、体重60kg、BMI20.8。
この方の舌をみると、辺縁が分厚く赤く(この赤みは肝の熱を表しています)、中央に白色の苔を認め(柴胡舌)、「気滞」と考えられました。
腹診では下腹部が軟弱無力で、圧迫すると腹壁は容易に陥没し、押さえる指が腹壁に入るような状態(小腹不仁(しょうふくふじん))を認め、腎虚(症例42参照)もあると考えられました。
八味地黄丸(はちみじおうがん;症例216参照)と、「瘀血」体質の神経痛に使う、疎経活血湯(そけいかっけつとう;症例1参照)を合わせて一ヶ月分処方したところ、10月30日に来られ、「少しましかなァ。」といわれました。
ブシ末(症例2参照)を追加しましたが、それ以上は改善しませんでした。
平成28年1月6日に来られた時に、疎経活血湯を苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう;症例41、481、517、534参照)に変えましたが、やはり効きませんでした。
2月3日に来られた時、舌をみましたが、やはり「柴胡舌」でしたので、苓姜朮甘湯を抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、126、404、483参照)に変えたところ、2月29日に来られ、「徐々に効果が出て、今は3時間も続けて歩けるようになりました。」といわれました。

漢方がお役に立ててよかったです。

神経障害性疼痛に対する抑肝散の効果

1.セロトニンに対する部分作動薬作用による神経活動の興奮抑制

2.外液グルタミン酸濃度上昇抑制作用による神経細胞保護作用

3.神経鞘の保護作用により、電気的短絡回路の形成を防ぐ。
などがいわれています。

 

546.おねしょの漢方治療

症例285、481、490に続いておねしょの症例です。
症例は9歳、男児です。
週1回は必ずおねしょをするため、平成27年11月9日漢方治療を求めて姫路市から来院されました。
また、イライラがひどく、すぐにキーキー、カーカーとよくなるそうです。
身長131cm、体重32kg
舌や腹診では特に異常は認めませんでした。
みけんに青筋がくっきりと立っておりました。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368参照)を一ヶ月分処方しました。
12月12日に来られた時には、お母さんが、「キーキー、カーカーが少しましになりました。」といわれました。
次に平成28年1月6日に来られた時には、お母さんが、「おねしょの回数も少しずつ減っています。」といわれました。
3月5日に来られた時には、「おねしょの回数は2ヶ月に1回ぐらいになりました。気持ちもおだやかになっています。」と大変喜んでいただきました。

漢方がお役に立ててよかったです。

547.円形脱毛症の漢方治療(3)

次の症例は6歳、男児です。
平成26年の年末より円形脱毛症が出現し、平成27年6月に総合病院皮膚科を受診したところ、フロジン液(医療用脱毛症治療薬)を処方されましたが進行(多発し、眉毛も抜けた)したため、漢方治療を目的に平成28年1月16日赤穂市より受診されました。
単発型円形脱毛症から多発型円形脱毛症になり、その延長として、ぼつぼつあった脱毛部分が頭全体に拡大し、全頭脱毛症になりそうな勢いです。
「小学校に入学していじめに合わないか心配だ。」とお母さんがいわれました。
身長120cm、体重21kg。
小柴胡湯(しょうさいことう;柴胡と黄芩の組み合わせが中心となる方剤を柴胡剤といい、小柴胡湯はその柴胡剤の最も基本となる方剤である)桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう;症例57、224、286、451、541参照)を合わせて1ヶ月分処方したところ、2月12日に当院へ来られ、「眉毛がまず生えてきました。」といわれました。
3月11日に当院へ来られた時には、髪の毛は全体にまだ薄い感じでしたが、それぞれの円形脱毛部がはっきりしなくなっており、お母さんが、「希望が持てるようになりました。」といわれました。
よく効いているようなので、このまま続けていきます。

漢方がお役にたててよかったです。

548.瞑眩(めんげん)と考えられた症例 (3)

症例は45歳女性です。
1年前に婦人科で子宮筋腫を指摘され、現在鉄剤を内服されています。さまざまな体調不良があり、平成28年1月19日多可郡多可町から来院されました。
身長156cm、体重49kg、BMI20.1。
症状として、便秘・快便感がない・腹が鳴る・腹がはる・口内炎ができやすい・足がむくむ・汗をかきやすい・口が渇く・肩こり・手足があれる・息が吸いにくい・体がだるい・疲れやすい・イライラする・動悸がする・立ちくらみ・手足が冷える・気分が沈む・夜中に目が覚める・眠りが浅い・生理量が多いなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。また紫がかり、舌の裏側の静脈が膨れ、「瘀血」(おけつ)体質もはっきりとしておりました。
漢方薬は「気虚」に六君子湯(りっくんしとう;症例97,154、178、179、182、202、248、258、280、291、301、318、350、352、354、365、391、411、419、430、441、447、450、452、459、470、474、477、478、480、488、491、496、501、508、520、522、526、527、528、529、530、531、540、543参照)と、子宮筋腫に対して桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん;症例67参照)、また緊張して手がよく振るうため抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ;症例19、34、126、368、489、512参照)を眠前に足して処方したところ、3月12日に来られ、「内服を始めて2週間ぐらいしてから、口内炎ができ、また鼻水が多量に出て、それが治ってから、その後急に体調がよくなってきました。今残っている症状は、人前で字を書こうと思うと手がふるうぐらいです。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

なお瞑眩(めんげん;漢方薬が著効を示す直前にみられる特殊な生体反応)については症例411、447、552も参照してください。

549.少陽病の漢方治療

症例は65歳女性です。
平成28年2月25日より、38.3℃の発熱が出現し、体がだるく病院にも行けなかったそうです。インフルエンザが流行っている時期でしたので、おそらくインフルエンザに罹患したと思われます。
ようやく2月29日に来院され、「熱は午前中は平熱ですが、夕方になると微熱があり、口が苦く、食欲もなく、吐き気があり、体もだるいです。」といわれました。
この方の舌を見ると、白苔がべっとりついておりました。
身長160cm、体重61kg、BMI23.8。
典型的な少陽病と思われましたので、小柴胡湯(しょうさいことう;症例547参照)を1週間分投与したところ、3月7日に来られ、「だいぶ楽になりましたが、まだ食欲はありません。」といわれました。
さらに1週間分投与したところ、3月15日に来られ、「調子よくなりました。」といわれましたので、治療終了しました。
舌は白苔もとれきれいになっておりました。

漢方がお役にたててよかったです。

少陽病について

少陽病の漢方医学的な病態は、病位は半表半裏(表と裏の間)、つまり消化器症状が少しでてきたような状態です。
症状・所見としては、午前中は平熱で夕方になると熱発する、または熱っぽいという往来寒熱や、口苦や吐き気などの消化器症状があり、舌には白苔が出現するが時に(実証では)黄苔で、腹証では胸協苦満や心下痞鞕などが特徴的です。
少陽病の治療原則は、太陽病のように汗をかかせて治療する解表や、陽明病における瀉下ではなく、病邪をその場で消していく和解(中和療法)です。
少陽病の典型的な病態に対する治療方剤は小柴胡湯(小柴胡湯を中心として、柴胡を含有している方剤を柴胡剤という)であり、この病態を小柴胡湯証といいます。
小柴胡湯証とは小柴胡湯が適応となる漢方医学的な病態という意味であり、少陽病の典型的な病態ともいえます。

なお、六経分類については、こちらをクリック画像の説明漢・方・優・美

 

550.主婦湿疹の漢方治療

症例は60歳女性です。
平成27年11月24日に、疲れやすい、冷えのぼせ、集中力がない、冬になるとうつっぽくなるなどの症状があり、漢方治療を求めて宍粟市から来院されました。
身長161cm、体重60kg、BMI23.1。
他の症状として、下痢・腹が鳴る・腹がはる・薬で胃が荒れやすい・のどがつかえる・足がむくみやすい・頭痛・肩こり・息が吸いにくい・体がだるい・疲れやすい・食後眠くなる・イライラする・腹や下腿が冷える・気分が沈む・眠りが浅い・青あざができやすいなどがあります。
この方の舌を見ると、腫れぼったく、歯痕舌を認め、「気虚」体質と考えられました。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう;症例50、402、432、440、463、515、542参照)と強壮・強精作用のある、コウジン末(症例449参照)をあわせて1ヶ月分だしたところ、12月22日に来られ、「おなかの冷えがよくなり、イライラしなくなりました。」といわれました。さらに続けたところ、平成28年1月18日に来られ、「よく眠れるし、胃の調子もとてもいいです。」といわれました。
次に2月15日に来られた時に、「15年前より、手のひらや手指に湿疹があり、皮膚科で主婦湿疹といわれ、ステロイドを塗っている。」といわれ、口唇や皮膚もかさかさしておりましたので、温経湯(うんけいとう;症例10、64、248、271、335、352、403参照)を追加したところ、3月14日に来られ、「手がきれいになりました。ごはんもおいしく体調もとてもいいです。足のむくみや冷えもありません。」といわれました。

漢方がお役にたててよかったです。

主婦湿疹については、症例263、315、352も参照下さい。